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詩 『魔の五感』

あの匂いとあの場所で私は立ち止まらない
あの季節とあの時間に私はもう戻ることはない
貴重で捨てられない宝物も
汚れてた真っ黒なあの記憶も
全て失われていくから

くだらないと笑われたあの日も
好きだと笑ってくれたあの日も
全て私の中で混ぜられていく

くやしさに勝てるなにかを求めてる
赤いランプが点滅する
耳から脳へと突き刺さる音が鳴り響く
歩みを止めても進めても
針は動き続ける
スローモーションになることなんてないのに
なぜかすべてがスローモーション
大切な心を切り離していく
自分に嫌気がさしていく

深夜3時に机に向かった
明日も朝が早いというのに
眠れない
眠らない
過去が透けて迫ってくる
私の明日を妨げに

リサーチのボタンを押せば
ほら電話番号が出てくる
情けないけれど
うまく伝えられなくて

私には何も得られるものはないのに
思い通りにならなければ悲しくなる
勉強だって2年遅れの魔法がかかる
全ての意味が消えて見えて
心全てが腐っていくから 

だけど、なぜだか
あの背中にあった手の温もりは
二度と忘れられない
誰よりも温かさを与えてくれた
それだけだけど
諦めるより夢を見ていい
照れてしまうより素直がいいの
我慢するよりやりたい放題
それでいい。それでいいと思いたい。

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