形のない生活必需品

気がついたら、私の人生にあったもの。なんでもないと思っていた高校生活の通学中、友達と泣くほどお腹を抱えて笑った日々、大好きな彼にフラれた次の日、仕事で辛くて辛くてどうしてここまでして人間は生きていくのかと思った夜。

私をここまで励ましてくれたのは、叱ってくれたのは、寄り添ってくれたのは何より音楽だった。

2月からの自粛によって、ほぼすべてのライブは延期になった。一番最初に名指しで自粛すべきとされた場所は、ライブハウスだった。
ライブハウスでもアリーナツアーでも、アーティストは全力で私たちに手を差し伸べて、その言葉や姿に涙が出ることなんて数えきれないほどあった。その場所は、あっという間に謎のウイルスによってすごくすごく遠いものになってしまった。

一番大事なのは何があっても人間の命で、他の動物の命を頂戴することの多い私たちのエゴかもしれないが、私たちは人類である以上人類を守る。
あの空間で飛沫感染しまくるなんて誰でも分かる。

だからこそ、日本で孤独になった私たちには、こんな曲が必要だったんだと思う。

ヘイ　ロンリーベイビーズ
ライブハウスで会おうぜ
僕ら孤独になって見えない手を繋ぐのさ
ヘイ　ロンリーベイビーズ
ライブハウスで会おうぜ
涙を流したってきっとここじゃバレないさ
　ライブハウスで会おうぜ / ハンブレッダーズ

この期間、ライブハウスに限らず楽しみにしていたイベントがなくなった人たちはたくさんいると思う。そんな人に聞いて欲しい、そしてそんな人たちに考えて欲しい。生きている限り私たちは何回でも楽しみを作れる。自分と周りの人を守るための行動を、いまは孤独になることによって協力しあっている。

一刻も早く収束しますように。
なんの心配もなくあのもみくちゃになって音楽に何千人で向き合う時間が帰ってきますように。

sugi