60日目記念・ジャニーズは素人か
連続投稿60日目なので、ちょっと自分ルールを破って毛色の違う文章を書いてしまおうかと思います。
先日ジャニーズの一人が、「(ジャニーズは)ダンスも歌も素人」と発言し、ファンの反感を買ったそうです。
ファンにとっては嫌な言葉だったのだろうと思いますが、私は少し違うことを思ったので、ふんわり書いていきます。
その前に、まず私の立ち位置をお見せしておきましょう。
私がこれまでに触れた芸能をあげておきます。
本編にサクッと行きたい方は飛ばしちゃってください。
わたくしの舞台観劇歴
ミュージカル
中学くらいから母の影響で宝塚歌劇団のミュージカルをよく観るようになりました。それから大学まで、というより贔屓のタカラジェンヌさんが退団するまでは、ずっと追い続けていました。多いときは1ヶ月に数回通っていました。大学に入ってからはミュージカル趣味の友人が増え、東宝ミュージカルや劇団四季にも足を運ぶようになります。
また、社会人になってからは知人に誘われて2.5次元ミュージカルも観劇するようになりました。2.5次元と既存のミュージカルとは全く異なるジャンルだと思っていますが、それについては、気が向けばそのうち書きます。
演劇
知っている方が出ればたまに観るくらいです。
ミュージカル俳優の井上芳雄さん目当てで見に行った「謎の変奏曲」が一番演劇らしい演劇だったでしょうか。他は娯楽性の高いわかりやすいものばかり観ていると思います。
落語
「芸能」とくくったので、なんとなく入れます。
ちょこちょこ寄席に出入りしています。
歌舞伎・オペラ
いずれも生で見たのは一度だけ、しかも全ては見ていないのでまとめました。
バレエ
発表会とプロの公演、それぞれ二回ずつ見ました。
そのうち発表会の一回は、教室の何周年記念とかでプロのダンサーさんを呼んで一緒に出演していただくものでした。当時私は大人のバレエクラスに所属していて、発表会は出たくないと言っていたのですが、こんな機会他に無いからと出ることになってしまいました。結果として、プロの練習の様子や、リハーサルへの取り組みを目の前で見ることができて、本当に貴重な体験になったと思います。
ジャニーズ
本題のものです。初めてライブを見たのは一昨年です。職場の同期にKis-My-Ft2ファンの女の子がいて、彼女に連れていかれました。その後、その子からCDを借りてみたり、出演番組やドラマを見たりして、去年のライブでファンクラブの会員になりました。推し(ジャニヲタ界隈では担当というらしいです)は北山さんです。
ちなみに他グループまで追えていないので、Kis-My-Ft2のバックダンサーをやったことあるグループしか知りません。
しょっぱなから結論
さて、ジャニーズは歌もダンスも素人かですが……
プロではないと思います。
正直に書いてしまうと、歌とダンスだけでお客さんからお金を取って生活できるレベルかというと、かなり難しいと思っています。
でもね……「ジャニーズ」なんだから当たり前じゃないかと思うのです。
わたしにとって、ジャニーズタレントが歌とダンスのプロではないというのは、日本料理の板前さんがイタリア料理のプロではないというのと一緒です。
板前さんの技術にもイタリアンのシェフの技術にも同じ料理として共通項は多いでしょう。だから板前さんは一般の人よりはうまくイタリア料理を作るかもしれません。でも、板前さんはプロのイタリアンのシェフではありません。
実は先に書いた自己紹介でもうネタバレしていたのですが、ジャニーズはジャニーズというジャンルの芸能だと思っています。
もう少し一般化すると「アイドル」なのかもしれませんが、私が他のアイドルに明るくないのでここでは「ジャニーズ」というジャンルにしてしまいましょう。彼らは「ジャニーズ」という芸能のプロなのです。だから歌とダンスのプロではありません。歌のプロはオペラ歌手、ダンスのプロはバレエなどのダンサーでしょう。
ジャニーズってどんなもの?
じゃあ、「ジャニーズ」ってなんなんだろうって話になりますよね。
歌もダンスもそこまでではないと思っているものに、私はどうしてお金を出すのか……個人的にこうかなと思ったものを順を追って書いてみます。
ジャニーズという芸能ジャンルがあると考えたのは、Kis-My-Ft2を追いはじめてからです。
初めてKis-My-Ft2のライブを見たときには驚きました。
彼らのライブは歌やダンスも勿論、音響や照明、舞台演出全てを使って舞台に立つ彼らを魅せるためのエンターテイメント作品でした。
ミュージカルや演劇等ストーリーがあるものは勿論、メインが歌唱の舞台であっても演者自信がメインとなる舞台はないと思います。
観客の主目的が演者であることはありますが、提供側がそこをメインにすることはほとんどありません。
舞台上は演者や奏者の表現を伝えるところです。表現を通して彼ら自身を垣間見ることもあるでしょう。彼らの経験等から染みでてくるものもきっとあります。しかし、そこに立つ「Kis-My-Ft2の誰それ」がメインディッシュになることはあまり無いのではないでしょうか。
そのため、ジャニーズのライブというのはとても不思議な空間でした。
彼らの活動の仕組みが知りたくて、メディアで追うようになりました。
そして、気づいたことがあるのです。
ジャニーズというのは、一人当たりの負担と取り分を減らしたパトロン制度ではないでしょうか?
ジャニーズタレントに多くの支持者をつけて、支持者への見返りを分散させることで、パトロンのいやらしい部分が消えます。さらに、分散したことでそれぞれの支持者の負担が減り、支持しやすくなるのです。
たくさんの支持者がつけば、支持者たちを製品の消費者にしたい企業がジャニーズタレントをCM等に起用するでしょう。集客が難しい舞台は多くの支持者を持つジャニーズタレントを使うことで、観客の増員、つまり収入が増えることを期待します。(あえて「収益」とは言わないでおきますね。舞台は作るだけでも大変なのです)
タレントは多くの支持者のおかげで仕事が得られます。そして、支持者に還元するために、タレント自身をメインとした舞台を提供します。それが、あの不思議なライブです。さらに新しい支持者を増えることもあるでしょう。
本当にこういう形のもの作ろうという意識でやっていたのだとしたら、ジャニーさんという方のとてつもない方なのだと思います。
このミニパトロン制度を成り立たせるために、ジャニーズタレントに必要なものはなんでしょうか?
まず、CM等何かの広告に使われるために必要なのは、容姿、良いイメージ、カメラに綺麗に写る知識と技術等でしょうか。
容姿は良い方が良いですが、それだけでは綺麗に写ることはできません。自分がどう見えるのかしっかり理解して、よく魅せるというのはそれなりの技術や積み重ねのイメージが必要なのです。
また、ドラマや舞台に使われることもあります。
プロの俳優の練習量や経験値を考えれば、ドラマや舞台だけで生活している人たちかなうはずがありません。プロの俳優はジャニーズタレントがCMやテレビに出たりしている間も、芝居や歌やダンスばかりやっているのです。しかし、一緒に立つ以上、短時間である程度のクオリティにしなければいけません。必要なのはそのための基礎力と、折れない心、そして、やはり魅せ方なのです。
ミュージカルというと、一人が歌、ダンス、芝居、全て完璧にこなさなけれないけないということはありません。歌と芝居ができなければ主役はできませんが、踊ってみるとバックのダンサーさんには敵わないし、芝居メインの脇役はそこまで歌えなかったりします。
しかし、宝塚歌劇の主演は全てやることになります。歌と芝居は勿論、ダンスではセンターをつとめて、他の組子を引っ張っていかなければ行けません。だから、宝塚歌劇の主演はなんでもできる……とはなりません。実は、とても歌が苦手な主演がいることもあります。しかし、上手く魅せてしまうことはできるのです。ダンスも同様です。
誤魔化しているのではなく、その時に来たお客様に楽しんでもらうために、彼女たちが能力を最大限に使った結果です。それが、チケット代と劇場までの足代をはらい、休日の数時間を使って観に来ている私たち観客へ、彼女たちが提供してくれるものです。
私たちはすごい技術を観に行っているのではなく、一時の夢の時間を買いに来ています。彼女たちはできうる力を持ってそれを与えてくれます。
宝塚歌劇の舞台とジャニーズは、意外と共通項が多いのではないかと思います。
閑話休題。
ジャニーズタレントがしなければならないことは、ミュージカル俳優よりはるかに多く、歌やダンスだけで生計を立てるプロほどに、歌やダンスの技術に時間をかけることはできません。彼らは自分を魅せることに特化していると思っています。その手段の一つとしての歌、ダンスです。
彼らがグループの誰それとして、魅せる姿、頑張り、そういうことで、ファンは元気になれたり、前向きになれたり、感動したりするのです。
なんともチープな結論ですが、娯楽ってそういうものですよね。ちょっと前向きになる理由が、美しい歌でも、すごいダンスでも、何故か目が惹きつけられてしまうタレントでも、受け取るファンがほしいものも受け取ればよいのです。
私たちファンがジャニーズタレントの活動を支持したいと思うのは、ちょっと笑顔が増えるくらいの単純な理由です。そんな単純な理由でも、それを引き出すのは生半可な努力では成せないことです。
だからね、ラウールくん、「歌もダンスも素人みたい」なんて卑屈にならないでください。
あなたのファンは、あなたがファンのために頑張ってくれていることを知っているはずです。歌もダンスも素人みたいでも、あなたにたくさんの魅力があって、ファンは元気をもらったり、笑顔をもらったりしているのだと思います。もっと自分の強みを知って、自信をもってファンに恩返しできるようになれますように。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?