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ハンバーガー

一度だけ馬に乗ったことがある。予想以上に身体が上下し、その度に馬の背で自分の尻がぺったんぺったん餅を搗く。ならばと鞍の下に硬い肉を置き、己の動きで肉を叩いて柔らかくしたのがタタール人で、それがヨーロッパに伝わった時、「肉は火を通して食うもんだ」と言って(たぶん)ステーキにされ、ハンブルクの人に卵と一緒にパンに乗せられアメリカへやって来た。そこからは更に諸説様々、最初はステーキサンドだったとか、ミートボール売りの少年が売れねぇーとぺんっと伸してパンにはさんで売ったのが最初のハンバーガーだったとか・・・・。

初めてハンバーガーを食べた日のことを覚えている。最寄り駅にオープンしたばかりのマックで、ぎゅうぎゅうに人が詰まった店内でチーズバーガー、フィレオフィッシュ、ホットアップルパイを食べた(よく食ったなあー)。この世にこんな美味いものがあるなんて…と思うくらい本当に美味かった。そしてかりりとしたピクルスの風味に、これは外国の食い物だなと思った。

以前、友人たちとブロードウェイ・ミュージカル三昧の旅をした時、鑑賞前の夕食に「シェイク シャック(Shake Shack)」と言うハンバーガー店へ行った。混雑する中、なんとか立ち食い用のテーブルを確保。注文時に渡された呼び出しベルみたいな物で呼ばれると、出来立てのハンバーガーを渡される。このやけに香ばしい匂いは――
「このハンバーガー、ステーキの匂いがする」
べらぼうにいい匂いだった。それもそのはず、この店ではパテにサーロインを使っているのだから。その匂いは旨味の予告で、実際、今まで食べた中で一番美味しいハンバーガーだった。上質な肉を柔らかくして、肉汁たっぷり含めてこんがり焼いて食べたと思えるハンバーガーであった。

さすが国民食なだけあって美味しいのがあるよねぇーと話していたのだが、なんとその半年後、シェイクシャックは東京に上陸した。
なんでもやって来るな、東京。


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