XREAL Beam徹底解説
MRデバイスに分類されるスマートグラスのNrealLightやXREAL Air(旧Nreal Air)を展開するXREAL(旧Nreal)が新製品の2023年5月25日(木)にXREAL Beamを発表しました。
発表の数日後にXREALの関係者様から詳しい解説付きで先行体験させていただきましたので購入を考えられている方の参考になれば幸いです。
XREAL Airを始めとするMRデバイスの現在
2023年6月5日(月)にはAppleが空間コンピュータという新しいプラットフォームの位置付けでApple Vision Proを発表したこともあり本格的に注目を浴び始めているMRデバイスですが、Apple Vision Proの価格は$3,499とまだまだ高価な商品で一般消費者向けではありません。
ですがXREALはMRデバイスを一般消費者向けに開発および販売していて、XREAL Airは45,980円というリーズナブルな金額設定になっています。
低価格を実現しているポイントの一つに、現時点では一般消費者にとって余計に感じられるハイエンドな機能は削ぎ落として、場所を選ばす使える空間ディスプレイとして位置付けていることにあるようです。
XREAL Airは発売当初は一部のハイスペックなAndroid端末にしか対応していませんでしたが、現在は別売りのXREAL Adapterを使用することでiPhoneやiPadはもちろん、Xbox Series(X/S)やPlayStation 5、Nintendo Switchといったゲーム機にも利用できます。
また、XREAL Adapterをお持ちでなくてもApple シリコン(M1およびM2)搭載のMacであればXREAL Airを直接接続して利用することができます。
XREAL Beamとは?
ここまで読んで「XREAL AdapterでXREAL AirをiPhpneやゲーム機と繋げられるのであればXREAL Beamは何に使うのだろう?」と思われた方も少なくないかもしれません。
一言で伝えるなら『ワイヤレスに進化した上位互換のXREAL Adapter』ですが、個人的に感動した部分はワイヤレスになった部分ではありません。
0DoFにしか対応していなかったXREAL Adapterとは異なり3DoFにも対応したことなど色々と魅力がありますが、まずはワイヤレスの部分をご説明します。
XREAL AirとXREAL Beamは有線で接続します。
この状態でXREAL Airを装着すると接続可能なiPhoneやゲーム機がWi-Fi経由でグラス越しに表示されるので、任意のデバイスを選択するとXREAL Beamとワイヤレスで接続されます。
XREAL Beamをポケットに入れておけばiPhoneやゲーム機に繋がっていたケーブルのストレスから解放されて快適に操作できるようになります。
※現時点でprime video、Netflix、YouTubeのアプリによる動画視聴は未対応で今後対応予定のようです(時期未定)。
魅力はワイヤレスだけではない
ここからが本題です。
ワイヤレスと聞いて以下ような感想を持たれた方がいらっしゃると思います。
「XREAL AirとXREAL Beamを結局は有線接続するのであればXREAL Adapterと大差がないのでは?」
「そもそもiPhoneやNintendo Switchなどのデバイスで使用する場合はデバイス本体は常に手に持っていることの方が多く、デバイス本体から離れた状態で使用する場面は少ないのでワイヤレスであることに大きなメリットは無いのでは?」
私も試用する前は同様の疑問を持っていました。
その疑問を打ち砕く最大のメリットはSpatial Display(空間ディスプレイ)として用意されている以下の3つのモードです。
また、これらの機能がXREAL Beam本体の左側面にあるオレンジ色の『モード切り替えボタン』を押すだけで直感的に変えられることも魅力的でした。
Smooth Follow
これは0DoFと呼ばれる機能です。
0DoFは『頭の動きや歩行時の振動による映像のブレ』が弱点でしたがSmooth Followは名前の通り滑らかに映像が付いてくるので、この弱点を極限まで軽減しています。
このブレ補正がかなり快適で驚きました。
0DoFという言葉に聞き覚えがない方のために補足すると、0DoFはグラス越しに映されたディスプレイが自分が向いた方向に付いてきます。
視界に貼り付いているようなイメージでディスプレイがずっと視界内にある状態になる機能が0DoFです。
ちなみにXREAL Adapterは0Dofしか対応していなかったので今までXREAL AirをXREAL AdapterからiPhoneやゲーム機に接続して使用していた方は0DoFの体験だったということになります。
従来の0DoFは単純に接続しているデバイスの映像をXREAL Airにミラーリングしているだけなので先にも記述したように、歩行や頭を動かした時などの微振動によって映像がブレてしまうことが弱点でしたが、Smooth Followを使用すればスマホのカメラの手ぶれ補正機能のように映像のブレが大幅に軽減されます。
そもそもスマートグラスを体験したことが人は映像のブレを想像することが難しいかもしれませんが、以下のXREAL公式サイトの映像がわかりやすいです。
Sideview
個人的に一番気に入った機能です。
こちらも0DoFになるのですがグラス越しに見えるディスプレイを左上に縮小して表示させられます。
これがあればスマホのナビを使用する時に頻繁にスマホの画面を見なくて良くなります。
よくFPSやアクションゲームで画面の隅にマップが常に表示されていたりしますが、あれが現実世界で実現できます。
※前方の景色も見えるので歩きスマホよりリスクは少ないかもしれませんが、安全上の理由からナビとして使用される場合は自己責任でお願いします。
Body Anchor
こちらは3DoFになります。
3DoFというのはグラス越しに見えるディスプレイが予め決められ方向に固定される機能です。
例えばXREAL AirをiPhoneやゲーム機に接続してベッドに寝転んで使用する場合など、グラス越しに見えるディスプレイが天井の方向に留まり続けていて欲しい時には、この機能が役立ちます。
0Dofとは異なり、ディスプレイは定められた方向に固定されているので頭を動かしたり他の方向を見てもディスプレイが付いてきません。
ですので少し目が疲れた時はXREAL Airを外さなくても、違う方向を向くだけでディスプレイから目を離すこともできます。
XREAL Adapterを介さなくてもXREAL Airを接続できるAndroid端末で利用されている方は公式アプリのNebulaで3DoFに切り替えられるので使い慣れた機能ですが、iPhoneやゲーム機などXREAL Adapter介してXREAL Airを使用されていた方には目から鱗の機能になると思います。
これは余談ですがXREAL Airには備わっていない機能で、ディプレイに近付いたり自由な角度から眺めることができる6DoFという概念も存在します。
充電問題のクリア
XREAL AdapterとiPhoneの組み合わせではワイヤレス充電器を使用しない限りはiPhoneを充電しながらXREAL Airを楽しむことができませんでした。
理由としてiPhoneのLightning端子にXREAL Adapterのケーブルを接続する必要があるためです。
また、仮にiPhoneにワイヤレス充電器を使用したとしてもXREAL Adapter自体を充電しながら利用する機能が備わっていなかったので結局は利用時間の制限がありました。
ですがXREAL BeamはケーブルをiPhoneのLightning端子に接続する必要がないだけでなく、XREAL Beam自体も充電しながら利用できます。
悩まれている場合は絶対にXREAL Beam
対応のAndroid端末やMacで使用される場合にはXREAL Beamがなくても3Dofの体験は可能ですが、それでも充電問題のクリアやボタン一つでSideviewなど複数のモードを切り替えらることは十分に魅力があるので購入する価値があると思います。
iPhoneやiPad、ゲーム機でXREAL Airを使用予定でXREAL Adapterを購入するべきかXREAL Beamを購入するべきか悩まれているのであれば絶対にXREAL Beamをオススメします。
0Dofしか使えない状態ではXREAL Airの体験価値も半減してしまいますのでマストアイテムとも言えます。
XREAL Beamは現在予約受付中です。
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