山田尚子監督 最新作 "きみの色" PV について "響け!ユーフォニアム3" がはじまる前にメモしておこう #きみの色 #山田尚子
山田尚子監督ファンでもあり、京都アニメーションファンでもある私にとって2024年は忙しい年になりそうです。4月からまず"響け!ユーフォニアム" 3期がはじまる!その前に、先日公開された山田尚子監督作品 最新作「きみの色」PVについて
気になるポイント
過去の作品と比較
考察 / 妄想
などをメモっておきます。が、その前に公式サイトをじっくり見てからお読みください。
簡単に著者の自己紹介
過去に山田尚子監督作品のファンイベントである"平ハウス物語"を主催させて頂きました。その時の思いの丈などを綴ったnoteのリンクを貼っておきます。また出演者の皆様の協力の元に作り上げた濃厚な動画コンテンツが残っております。山田監督作品のファンの方であれば楽しめる部分もあると思いますので、ご興味あればこちらもよろしくお願いいたします。
また以前DJグループを組んでいる友人と映画やアニメにまつわるブログを(数は少ないですが)投稿しておりました。特に"リズと青い鳥"をベン図を元に読み解いてみようという記事は比較的SNS上でも反響がありました。本記事もブログで言及しているネタがある前提で書いています。お時間があればこちらのブログも併せてどうぞ。
ポスターについて
3人のキャラクターの色 = RGB
メインビジュアルで最初に気になったのは各キャラクターの色がRGB(R = Red, G = Green, B = Blue)、光の三原色で描かれている所です。"きみの色" と題したタイトルや主人公のトツ子(赤い子)は人の"色"が見えるという所から色にまつわるお話という事で、この構図を採用しているのかと思います。
光の三原色は皆さんのお手元のディスプレイなどでも利用されています。例えば本記事の背景もRGB3つの光が組み合わさって白く見えています。(多分)
物語では、バンドを組むようなので三位一体で白色に"光るとき"を見せて貰えるのでしょうか。白色は物語においても重要な色になりそうです。
あ、"光るとき"は山田監督作品"平家物語"の主題歌です。話しはズレますが歌詞が良すぎる・・・作品のテーマはこれまでで最高傑作だと個人的に考えているので是非ご視聴ください。
光の三原色 ベン図
勘の良いファンの方ならもうお気づきだと思いますが、光の三原色の図はベン図!!そう"リズと青い鳥"で私たちを悶絶させたあのベン図です。リズと青い鳥では二人のベン図が一瞬重なる軌跡の瞬間が描かれていましたが、二人の女の子の1:1の関係が中心でした。
本作では3人という事で、それぞれの関係性やバンドとして3人集まったのパターンを併せて4パターンの関係性(シアン・マゼンタ・イエロー・ホワイト)を見せて貰えるのではと予感させます。メインヴィジュアルでは背景に採用されている楽器やレコードや本などはCMYの色が多く使われているのが気になります。
シアン = グリーン(G) + ブルー(B)
マゼンタ = ブルー(B) + レッド(R)
イエロー = レッド(R) + グリーン(G)
ホワイト = レッド(R) + グリーン(G) + ブルー(B)
トツ子と青い鳥
部分的にはリズと青い鳥みたいな少女同士、トツ子とキミの湿度ある関係性も描かれるのでしょうか。
この感じの演出だといつもならキミ(右の子)は右を向いていて、二人の進行方向が逆になっている事が多いのですがカメラ側を向いています。3人なのでこれまでの作品のような1:1の関係とは違った演出の現れとして受け止めました。
メインビジュアルを良くみるとトツ子とキミの間にルイが足を放り投げて動線を塞いでいるようにも見えます。例えば、キミが凄く魅力的な子でトツ子とルイが恋のライバル関係になるといったこともあるのかも・・・。
瞳の色
色にまつわる話しで少し疑問があります。上の絵のようにトツ子の目は自分のパーソナルカラーである赤色になっています。
"リズと青い鳥"でも自分を象徴する色が目の色になっていて、中央にはさらに相手の色が差し色で入るキャラクターデザインがされていました。
しかし、ルイとキミは似たような青緑系の色をしています。普通に考えたらルイは緑系、キミは青系としてしまいそうですがこのシーンではあえて外してデザインされているように感じます。
トツ子が他の人の事を色として感じられる特殊なチカラを表現しているのか、またはルイとキミが何かしらの関係性を持っているからなのか、単純に他の人の色はトツ子を通してじゃないと見えないからかもしれません・・・
長崎といえばキリシタン - 白い猫とシスター日吉子と天使
白色は重要な色である事は間違い無いでしょう。メインビジュアルを見渡すと異彩を放つ"白い"猫。他のオブジェクトは輪郭まで色付けされている中で、輪郭が黒系なのも他と違って浮いてます。でも中心ではなく右上に。わたし、気になります!
西洋絵画では白猫は"天使"の象徴だったりするのかな〜?と調べてみると"神"もありましたが多く出てきたのは"悪魔の象徴"でした。猫のきまぐれな性格や行動が人智の及ばぬチカラやエネルギーを表現しているのかどうか・・・少し不穏です。
白猫 = 白びわ説
神秘的な白い猫で思い起こすのは、"平家物語"の主人公びわ。彼女も未来を見通す目を持ち、序盤では猫のような描かれ方をしていました。メインビジュアルの猫はもしかして(手塚治虫のスターシステム的な)白びわの化身として物語を見届けるような存在なのかもしれません。
キリスト教
そして白に近い色として"灰色"のシスター日吉子も気になります。長崎といえば潜伏キリシタンは義務教育でも出てきた覚えがありますが、物語的にも宗教的な要素も含まれていそうですね。「心の内を歌にしてみるのはどうでしょう?」とバンドに助言を与える存在のようですが、彼女たちを"白色"に導いてくれるのでしょうか。
アーメン
そして出来た曲が「水・金・地・火・木・土・天・アーメン」この流れだとアーメンはキリスト教の用語の方だと思いますが、アーメンブレイクを載せたRemixつくる人が出てくると予想しておきましょう。
キリスト教の三位一体 - 妄想度 高
RGBの3人がバンドを組んで三位一体と書きましたが、キリスト教では三位一体は父・子・霊(精霊)の三つが「一体 (=唯一神 / 唯一の神)」という概念・教えなのだそうです。上の図もエヴァンゲリオンで見たよう気もしますが、メインビジュアルの構図にもちょっと似てますね。
ただWikiなどを読んでも理解するのが難しい概念でした。3人のうち当てはまりそうなのは特殊なチカラを持つトツ子 = 霊 くらいなのかなと思いますが、神のバンドなのか?!はたして
楽しい
とくにルイくん、地方都市に暮らして(いや都心でも・・・)サブカル好きの打ち込み少年になってしまったら、共感できる友達がいなくなるのも無理はなさそうです。他の二人も公式サイトを読む限り問題を抱えていそうな雰囲気です。そんな3人が出会ってバンドを組む。スリーピースバンド、3本の矢じゃないけど安定して最高じゃないですか。
友達をつくろうとする物語といえば「聲の形」。ヒロイン西宮硝子の当初の行動原理は"仲良くなりたい"でした。"きみの色"の3人も人との繋がりを通して成長する姿が描かれるのかもしれません。
その他いろいろ
リズと青い鳥では学校 = 時間の止まったような鳥籠 だったので時計は針すらも描かれていませんでした。希美は時計を隠してしまうし。本作はそういう閉鎖的な環境を望む人がいるわけではなく時間(とき)が過ぎていくようです。
たまこラブストーリーはたまこという強力な引力に心を惹かれてたもち蔵のお話と思いきや、たまこもまたもち蔵に惹かれて、バトンの重力を受け止められるようになったら告白の返事もできる万有引力が話の根底にありました。本作の劇中歌では"くるくる回って〜わたしは惑星〜"と歌われていますが、人の引力に惹かれあうみたいな意味なんでしょうか?
音楽をつくって録音するのでしょうか。テープは"くるくるまわる”けど永遠には周り続けずいつか折り返し地点が来ます。たまこラブストーリーではカセットのA面からB面へのオートリバース機能を活かしたギミックがお話しに組み込まれていました。
影平ルイ(緑の子)は・・・ぶっちゃけ牛尾さんっぽいですよね。レコードはTRESORが元になっているようでTLのテクノおじさん達(わたしも高校生の頃はテクノ好き・・・)も歓喜の声をあげていました。
でも油断できないのは眼鏡です。山田尚子監督の古巣である京都アニメーション作品で例をあれば、
響け!ユーフォニアム 田中あすか
たまこまーけっと 朝霧史織
境界の彼方 栗山未来
など最初は本音や本心が隠されているキャラクターによく付いているアイテムです。特に田中あすかは2期の中盤までは俯瞰して中々本音を語らない油断ならないキャラクターでした。
さらに言えば苗字が気になります。(ひかりのお話で)"影"が入っていたり、平家物語の"平"を冠してるのは十分に怪しさがあります。
レコード・DTM・テルミン・ATARI などサブカル〜オタク餌におじさん達が釣られて最後にやられるなんて事もあるかもしれないので本当に要注意です。
両親から医者になる道を望まれているが本当は音楽の道に行きたいプロフィールにある通りの本音かもしれませんが。
けいおん!の澪ちゃん(ベース)をより令和スタイルにしたような凛とした魅力がありそうな子
平家物語の徳子を感じちゃいます。
スーパーティザーPVの秘密
まだまだ書きたい事もありますが、朝になってしまったので最後に。以前公開された文字だけのスーパーティザーPVではフォントの色が 赤系(R) = 山田尚子監督 / 青系(B) = 吉田玲子さん / 緑系(G) = 牛尾憲輔さんでした・・・おいおいおいおい。確かに山田さんは吉田さんへのリスペクトをインタビューでも常々語っていました。いよいよ自己言及的な作品になるのか?
この3人が組む映像作品は聲の形・リズと青い鳥・平家物語・きみの色で4作品目。本作品はここまで書いてきたように山田尚子監督のこれまで創り上げてきた演出というか概念、企画書から言葉を借りれば「好きなもの」が所狭しと詰まったベスト盤的な雰囲気が漂っている気がします。
本作品のプロデューサー川村元気さんが過去にプロデュースして大ヒットした"君の名は”も新海誠監督のベスト盤的な雰囲気あると感じました。本作も世界数十カ国で公開されるという事で、気合いの入った作品なんだろうと"わくわくわくわく"です。
3アルバムとベスト盤、バンドならそろそろ・・・なんてこともありそうですが。嘘です一生やってください。本当に楽しみな作品です。