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Vol.1 天川悠雅(ギリシャラブ)

第一弾は、年が明けて3月15日に1stフルアルバム『イッツ・オンリー・ア・ジョーク』を発売予定のギリシャラブのボーカル、天川君!

【今年の漢字】

いま少しネットで調べた限りでは今年は「不倫」の年だそうですが、テレビも置いてないし新聞もとってないので、いまいち何のことだかわからないし、個人的にも今年不倫をしなかったしされなかったので、全き個人の事情ですみませんが、「腸」です。

もともと腸が弱いのですが、今年は何度も大事な場面で腸炎を患い、初めての救急搬送も経験し、ほとんどトイレの中で過したという気さえする。


【今年聴いた音楽 BEST5】

・The Avalanches / Wildflower (2016)

テーマは今年聴いた音楽、ということで、必ずしも今年発売されたものである必要はないのですけれど、一枚くらいは今年発売されたものを、とおもって、これを。

サンプリングアルバムです。膨大な数の引用があります。

サンプリングといえば、J・ディラというヒップホップのアーティストがいて、そのひとが三十二歳の誕生日にリリースした『ドーナッツ』というアルバムがあるのですけれど、ぼくは去年それをはじめて聴いて、衝撃を受けました。

すごすぎる、なんだこれは。ところで、J・ディラは『ドーナッツ』リリースの三日後に死んだそうです。病に臥せっていながらにして、『ドーナッツ』を作ったのです。
なんてクールな奴なんだ……。でもなんだか、「自分がいままでやってきたことは全部無駄だったのでは」的な考えにとらわれたりもしました、すごすぎて。

アヴァランチーズに話を戻します。『ワイルドフラワー』はアヴァランチーズにとって二枚目、十六年ぶりのアルバムです。ジャケットでは極彩色に塗られた星条旗が描かれています。パトリオティズム、という言葉がいまぼくの頭に浮かびましたけれど、固い話になりそうだから、忘れます。

アヴァランチーズはわかりやすい。何をやりたいのかが明白で、ポップで、誰が聴いてもわかる。しかしこれだけ膨大な引用をしながらこれだけポップな作品に仕上げるには、その再構築は、微に入り細を穿っておこなわれたのでしょうし、その結果には感嘆するばかりです。

最近は雑多なものをごちゃまぜにして整理させないままにアウトプットする音楽が多いような気がしますけれど(それはそれですばらしい)、『ワイルドフラワー』はとてもよく整理されている。

そしてそしてなぜだか、いままた聴いてみたら、「自分がいままでやってきたことは無駄じゃなかったんだ!」とか思えてきて、阿保のようにへらへら笑っております。


・Shelby Flint / 風の吹くまま (1966)

今年の夏、自分の部屋とベランダとの間の段差(ぼくはこの十五センチほどの幅の段差のことを、愛情をこめて「縁側」と呼んでいる)に座って、『風の吹くまま』を聴きながらよしなしごとを考えたが、その時思索したことは忘却の彼方に消えて、ぼくの心の中にはいま、シェルビー・フリントだけが残っている。


・Amadou et Mariam / Dimanche a Bamako (2004)

マリの盲目の夫婦デュオ。後の作品ではブラーのデーモン・アルバーンがプロデュースしたりする。今作はマヌ・チャオプロデュース。とにかくポップ。

マリのバンドはブルースのイメージが個人的には強くて、この人たちも前作まではブルース色が強かったのですが、今作ではそれは後退して、曲毎にばらばらだけど全曲「普通にいい」って感じです。

「普通にいい」曲ってどんな世界にもあるし世界のどこにでもあるのだなあと改めて実感しました。


・Bebel Gilberto / Tanto Tempo (2000)

ブラジルの女性歌手。ジョアン・ジルベルトの娘。
今作、ひとことでいえば洒落たボサノヴァ・アルバムという感じで、ぼくなんかは「洒落たボサノヴァ・アルバム」なんて大抵くだらないと高を括ってしまっているところがあるのだけれど、このアルバムを聴くと、洒落てていいなあと素直におもったりする。


・The Teardrop Explodes / Kilimanjaro (1980)

今年の後半は原点まではいかなくとも少し昔に回帰しようという流れがはじめぼくのなかに、次いでバンドの中にも生まれて、しばらく聴いていなかった「ロック」をまた聴くようになったのですけれど、「八〇年代」とか「イギリス」とか「ポストパンク」というのがやんわり自分の中にあって、

それならエコー&ザ・バニーメンだっているしペイル・ファウンテンズだっているしマイティー・ワー!だって、さらにいえばスミスだってジョイ・ディヴィジョンだっている、

しかしなかんずくティアドロップ・エクスプローズは、ぼくにたやすくフィットした、という感じがします。

たやすくフィットする、ということが、いいことなのか悪いことなのかはわかりませんけれど、ああ、たぶん、こういう感じのバンドはこれからもずっと好きなんだろうな、俺、と思いながら聴きました。

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以上、ギリシャラブの天川君でした。

彼らの音楽もぜひチェックしてみてください。

次回はボンボヤーズのアコーディオン&ボーカル、マチ子さんです。

お楽しみに!




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