会計と税務の考え方は、正反対です!

法人税は、「利益」に対してではなく、「所得」に対して約30%がかかります。「所得税引前当期純利益」だという反論もあると思いますが、実は違います。所得は〝税務" の単語、税引前当期純利益は"会計〟の単語です。

会計の視点からは、利益をなるべく減らして計上して税金を少なくしたい、と考えます。 一方、税務の視点からは、税金をしっかりと多く払ってほしいと考えます。税金を多く支払うということは、利益を多く稼ぐということです。

会計上、交際費や引当金を計上することに特にいくらまでといった制限はありません。しかし、税務では、経費をたくさん計上されると、税金が減ってしまうので、ある程度は制限します。法人税等を計算する 「税務申告書」では、損益計算書の税引前当期純利益をもとに、こうした項目を調整して、所得を計算します。

大きな損失を出して所得 (≒税引前当期純利益)を赤字にすると、税務の世界においては、「欠損金」が発生します。ある年に、所得(≒税引前当期純利益)が赤字になると、翌年以降で所得が黒字になっても、最大で10年間は、この所得を減らせる(=税金が減る)ことができます。将来に繰り越す欠損金(繰越欠損金)がなくなるまでは、税金をほぼ払わずに済みます。

たとえば、10億円の繰越欠損金が出た場合。 翌年以降、毎期2億円の税引前当期純利益があっても5年間は税金を一切払う必要はありません。この繰越欠損金は税務特有の制度のため、損益計算書には載りません。


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