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稲妻上陸時の旅人は人生で一・二を争うインフィニット大荒れマインドだった


 この記事はタイトルの通り『稲妻上陸時の旅人は人生で一・二を争うインフィニット大荒れマインドだった』という話をしていく。

 ありとあらゆるネタバレが存在する。気をつけてね。
 そしてここに書いてある全てのことは個人の意見である。ちゃんと自分でゲーム内であれこれを調べた上で、あなたの考えを持ってほしい。

 X上で『旅人は稲妻の困っている人々や神の目を奪われた町民たちを見ても別になんにも思わなかったのに、哲平という友人が死んだら本気になって怒り出した』という誤解をしている人が多くみられる。

 でもそれ全然違うぜ!!!!という話をする。



はじめに


 何故旅人にとって稲妻なんてどうでもよかったというイメージがついているかというと、第一にトーマや綾華からの協力要請を何度も断ったからだと思われる。
 その中で自分には関係が無い、雷電将軍に会いたいだけ、と頑なな態度を取っていたために稲妻の諸問題に興味が無いと感じてしまったのだろう。
 だが稲妻の魔神任務をすればまぁ、その、そんな勘違いしないと思う……。

 何はともあれ、何故そのような勘違いが生まれやすいかというと。

 前提としてあの時の、稲妻上陸時の旅人は人生で一・二を争うインフィニット大荒れマインドだったのである!!

 つまり、いつもより荒れてたため頑なに協力を固辞していた→表面上いつもの『無』な旅人になった→ブチギレた、だから余計ブチギレ前がなんとも思っていなかったに見えていた!!!のではなかろうか。

先にまとめ


1・原神初期の旅人は人間味が薄く、多くのプレイヤーはそもそも旅人の自我や精神状態についてあまり考える機会が無かった。
2・稲妻前の魔神任務第一章四幕で初めて片割れと再会、アビス側についたと知りショックを受けていた

3・当時のプレイヤーには片割れ関係でどれだけ旅人がショックを受けるかわからないままだった

4・利用しようとしてくる他人や勝手に巻き込まれた諸問題に一歩引いた態度をとるのは当然
5・三人の神の目を奪われた者達と会わされて稲妻の現状を見せられてからは、いつもの旅人に戻っていた

6・長く続く辛い状況で哲平の死による強いショックと「明確な敵」が出現したせいで感情の指向性を与えられ怒りとして爆発した

 だから「三人の神の目を奪われた人々や稲妻の現状をなんとも思ってなかった」も「哲平が死んでから本気出した」も違うぜ!!!

 以下は詳しい説明をしていく。長々と。

稲妻上陸前に何があったのかのおさらい


 魔神任務第一章四幕は、ずっと探していた片割れとの初めての再会と同時に片割れがアビス側に立っていた、ということが判明したストーリーなのである。

 そのまま何か知っていそうなダインスレイヴは片割れを追って消えてしまい、同じく何も知らないパイモンと二人で放り出されて終わった。

 旅人は凄まじく動揺している上に事情を知る者によるきちんとしたフォローを受けることないまま、知り合いもいない情勢不安定な国に密入国する羽目になったのだ。

 もうここまででいつもと違うポイントが沢山あるのだが、当時プレイヤーが旅人の心境が通常と全然違う状態である、ということがわからなかった

 何故かと言うと、旅人がここまで感情を表に出すことが無かったからだ。
 そりゃ最初からずっとトンチキ選択肢はあったし、現在よりは少ないがそこそこ会話中に意思表明する選択肢も存在していた。

 初期の旅人と言うのは、ソシャゲ主人公にありがちな感情が薄く人間味が希薄で、好き放題プレイヤーの精神を投影しやすい操り人形だった。

 だがそれはシステム上の入り込みやすさ以外、ストーリー面にも大きく関わってきている部分でもある。

 今では自己主張が多くなり、会話中に選択する場面や表情の変化も増え、悠木碧と堀江瞬の仕事も増えている

 同時に様々なストーリーで旅の記憶や経験や思い出が旅人をテイワットに生きる当事者に押し上げ、異邦人のままではいられなくなった心境や道程を描いてきた

 いうなれば、モンドや璃月の時点は良い人たちと出会い楽しい思い出もあるが、双子の片割れと再会すれば「素敵な土地だったね~」と笑い合ってさよなら出来るくらいの気持ちでいられたのだ。

 だがアビスの王子/姫となった片割れを見て、再会も旅立ちも嬉しさも寂しさも踏みにじられてしまった旅人は、そのまま次の神から情報を得るために旅を続けるしかなくなった。
 再会までの一時的な、少し寂しいけれど新たな出会いと冒険のあった楽しい旅が、再会したのに終わることのない・終わりの見えない『放浪』になってしまったが『俺たちはいずれ再会する』と稲妻編の流れであった。

 そのぐっちゃぐちゃな状態でありながらも、プレイヤーには伝わらない。何せずっと感情を出す旅人を見てこなかったので

 この時はまだパイモンも兄妹関係では踏み込めず腫物に触れるようだったし、旅人も何も言わず黙ったまま旅を続ける=動き回ることで気を紛らわせることしかなかった。

 現在だとパイモンもストレートに何を考えているのか聞き出そうとするし、旅人はそれに応じて心境を吐露するようになった。
 そして何より、目に見えて休むシーンが増えた。宿を借りたりキャンプに行ったりと、どこか一か所に留まる場面が見られるようになったのもきっと旅人の心境の変化の表れの一つだと考える。

 まぁもっとメタ的なことを言うと、第一章四幕(Ver1.4)→二章プロローグ(Ver1.6)→稲妻上陸(Ver2.0)で多くの人がすっかり旅人の動揺や置かれている状況を忘れていたというのもある!!!!!!!!

 今では全てのプレイヤーの中に「旅人にとっての片割れは別格」という知識や納得があるが、当時はそうではなかった。

 そんな俺らもベッドタイムストーリーであまりの別格っぷりにひっくり返りましたけどね。え、旅人……お前もしかして片割れと寝て※粛清されました※

作中二回見られる旅人の感情爆発場面のもう一つとは


 フォンテーヌまで終わったプレイヤーならばもう一つ、ストーリー中に旅人がインフィニット大荒れマインドを見せたシーンに思い至るのではないだろうか。

 そう!今でも賛否両論のリネリネへの態度である。

 リネの弁護に立った裁判中に、まさかの相対するフリーナからの告発でファデュイバレをしてからのアレだ。
 ブチギレにブチギレて何も知らないナヴィアにまで冷たくあたり、その後もずっとリネには辛辣な態度のままで明確な仲直りイベントも無く、互いに数バージョンかけて歩みよったあの流れである。

 以前この辺りの旅人のことはVer4.0当時ふせったーに書き、なんかビビるほどにバズって、今年改めてnoteにまとめた。

 その時旅人は嘘が嫌いだ、と書いた。それは今もそう思っている。
 あと当時リネは嘘をついたんじゃなくて本当のことを言わなかっただけだ、という意見も受けたり、リネ役の下野紘がラジオに出演した回を聞いて考えたりした結果「まぁ~確かにそうかも……嘘をつくと真実を言わないは違うもんな」と考えていた。皆も聞いてみてね。

 が、先日リネの復刻に合わせてXに投稿されたポストではパイモンは「自分達を騙していた酷い奴!」といいリネは「ちょっとした嘘をたま~につくことがあるし、それに抵抗もないよ」という誠実な真実を告げている。
 パイモンがそう言うということは公式があの一連の話を騙していたと考えているということで、手首がぎゅるんぎゅるんするんじゃー!!!となった。

 何はともあれ稲妻上陸時とリネリネ裁判ショック、この二つは旅人のメンタルが荒れに荒れていた異常事態トップ2である。

 ナタは今の所ずっと落ち着いている。それはカチーナという庇護対象と最初に出会ったことと、問題がありつつも各部族が団結し前向きに戦う国だったことと、炎神が協力的であることが関係している。
 カチーナを侮辱した例のクソカスモブには「殺すか……」の顔をしていたが先にムアラニが爆発したので落ち着いた。プレイヤーだけが顔と名前は覚えたぞ……している。

 つまり『もう片割れ以外にも、友人に対してもこんなにも強く心を傷つけられるまで入れこみ寄り添うようになってしまった』という変化の一端である。

 もう旅人はテイワットに笑ってさよなら出来ないね……。

嘘以外に嫌いなもの、つまりは不義理(裏切りではない)


 嘘をつかれるのが嫌い、とはどういうことかを考えた結果、つまり『(とくに身内に)不義理かまされるのが嫌』なのかもしれないと考えた。

 身内に不義理かまされるのが嫌なので嘘が嫌い。筋も通ってる。
 片割れが怪我を隠したり嫌なことを一人で対処していたら心配だし呆れるし怒るだろうが、一言で表すとそれって不義理、かなと。

 これだとオセル討伐後の北国銀行でタルタリヤに怒らず同情的だった理由に『タルタリヤも仲良くしていた人物=身内に不義理かまされた奴』判定が下ったのもあるかもしれん。

 璃月を巡る数々の騒動は鍾離と淑女のマッチポンプでありタルタリヤはただの実行役で、それを理解した旅人は自分達に嘘をついていた鍾離の方に不快感を抱いた、と以前は結論付けていた。

 だがそれだけではなくタルタリヤに対し、共に食事をする仲の鍾離と同僚の淑女に都合よく利用されたことから身内に不義理をかまされた奴だと感じたのであれば、そりゃあ同情的にもなるかもしれない、と。そもそも鍾離と旅人はタルタリヤの紹介で知り合ったしね。

 鍾離の方に、よりマイナスがあったから比較してタルタリヤを責めなかった、だけではなくて、タルタリヤ側にプラス感情もあったから責めなかった、としたらリネリネにより強固な態度を取った理由もわかる。いや納得は出来ないけど。

 どうしてわざわざ嘘が嫌い以外に不義理が許せんを追加したのかというと、稲妻上陸後はずっと不義理をかまされまくっていたせいで態度が頑なだったという点もあるからだ。

 不義理をかました相手とは~~~~?トーマと綾華です

稲妻上陸後の旅人に何があったか


 北斗に離島まで送ってもらった旅人は離島の顔役トーマと引き合わされる。彼女の知り合いであるならば安心できる、と行動を共にする旅人だが、やたらと旅人がどういう行動をするか見極めようとしてきたり、試練を課してきたりする。

 あの二人、言うなれば面識の無い旅人を自分達の都合で利用する気満々だったのだ。

 綾華は是非協力してもらいたい!と本人の気持ちの上ではそう言っているが、離島以前から監視していて、試練として自分の力で離島を脱出する力があるかどうか見極めさせてもらうとか言い、その後将軍に会いたいだけの旅人を連れ回して自分達に協力させるために今の稲妻の状況を見せ続けたのである。

 良くないと思うよ!!!
 やってることはわりと鍾離とどっこいどっこいだ。

 トーマはその辺りは自覚的だしストーリー中に謝罪もしている。彼は爽やかで善良な性格だが普通に闇討ち暗殺お手の物だし、綾人と綾華のため裏仕事もこなしている。
 だから物腰柔らかに近づいてきて、俺が払うよジョークもかました上で勝手に旅人を試し一方的に見定めようとする行動は彼の立場や性格にもあっている。

 直前の似た系統のタルタリヤがあれで謀略苦手で正直な奴なのでトーマの印象もそれに引っ張られがちになるが意図的かもしれんね。

 一方綾華は本当に無自覚だ。凄い事をしたという伝説の旅人さんに手伝ってもらいたい!という純粋な気持ちで、結果的に旅人を利用しようとしている。

 旅人は知り合いもいない情勢不安定な未知の国に訪れた上に第一村人に「さ~てお手並み拝見……」され「合格!仲間になってくれ」されている。
 おまけに先ほども言ったように、片割れのこともあってインフィニット大荒れマインドである。

 そんなん「は?知らんし。稲妻の事なんて稲妻人で解決しろや。なんで初対面で余所者の自分が勝手に作戦に組み込まれてんねんアホか」な態度になるのは当たり前である!!!

 だからこそ序盤は何度も「自分は雷電将軍に会いたいだけであり、反旗を翻したいとか目狩り令を止めたいとか考えていない。そういう協力はしない」と二人に告げるのだ。

 今までならばもうこの時点で引き受けていた+何度も断るシーンがあるせいで、大昔に魔神任務をした人や話を読むのが苦手な人などは旅人がずっと稲妻の問題に関心が無かったようなイメージがついたようだ。

 また(ずっと後の)哲平のシーンでは感情的になったという印象が強いから、「つまり、それ以前はどうでもよかったってこと?」と物事を単純化してしまったのだろう。

 一応稲妻に来てすぐの北斗やトーマに対しての態度は普通であった。万国商会や可哀そうな外国人たちにも優しかった。
 だが離島の稲妻人の最悪ムーブと最悪マインドを見せられたりトーマが試練とか言いだしたり身分を隠していたとわかったり旅人を迎え入れるため離島で一か月も準備していたり結局離島から出してくれずに一人だけ去ったりしたために、トーマと綾華への態度が頑なになったのだ。

 綾華に会わされた旅人は彼女の(コネによる)将軍に会わせてやるという言葉を信じ、三人の神の目を奪われた人々を見に行くこととなる。

 最初こそ将軍に会うための新たな試練程度の考えであったが、当事者の三人を見て、そしてトーマと綾華は(不義理かましてきたが)本気でこの国をなんとかしようとしている良い奴だとわかってきたことで、旅人は少しずつ荒れた心を落ち着かせて稲妻に向き合い始めたのだ。

 信用ならない最初の綾華達への態度ならともかく、見るからに様子のおかしい三人や正勝先生に旅人は冷たい態度などとっていない。それどころか凄く寄り添っている。きちんと彼らに何があったのか調べていたし、同情を寄せている。

 ここでやっと『旅人の荒れていてマイナスだった綾華達への態度が平常時に戻った』が正しい。
 いつもの無表情で人間味の薄い、我々の知っている旅人に表面上戻ったのだ。そこで鍋遊びの時は少し楽しそうな顔を見せていたし、トーマのピンチには真剣になって飛び出して行ったというわけだ。

 しかしそれは片割れのことへの不安が消えたわけではない。あくまで冷静さを取り戻して目の前の不幸な人々を見たり目標のため修正した小目標を目指したりしているだけだ。

稲妻後半の旅人はどうだったか


 哲平と仲良くなるきっかけは『指名手配されたから身を隠すために抵抗軍なる謎の団体のもとに身を寄せることになり、彼らと共に戦うことになったから』である。

 稲妻で知り合った数少ない知り合いもいない、心海とゴローは自分を助けて庇ってくれた良い人達だろうが別にまだ友達でもないし、見知らぬ場所に、正規軍に追われて逃亡を余儀なくされてここにいるしかないのだ。
 そりゃ心も荒れるよ。海も荒れてるし心も荒れる。

 トーマを助けるまでは自分の意志だったが、その後の本島脱出は別だ。離島の次は鳴神島脱出である。

 次から次へと自分に関係のない問題で流れ流されていくために、今振り返ると稲妻は旅人にとって結構な苦痛だったのではないだろうか

 街もろくに見て回れないし人はバタバタ死んでいくし、城下町にはとくに問題無くのんびりグルメのこととか考えてる人や「目狩り令も内戦も俺には関係ないけど嗜好品の輸入のために鎖国だけは解いて欲し~」みたいな奴もいるし。

 だからこそ哲平という友人の死に抑えていた大荒れマインドが再び荒れ狂いだした。

 ずっと悪い何かがいてそれを倒せばいいわけではなかったため暴れられなかった旅人に明確な敵が出現してくれた、のが爆発シーンに繋がったのだ

 こんなに怒るの!?と感じた人もいたのは、片割れの重みだったりそのせいでわりかしずっと不安定なままだったりそれが我々に伝わっていなかったり、という描写不足のせいだろう。
 そこが上手く描けてないから意外と怒っている、初めて見た、と温度差を感じるプレイヤーを生み出したりしたのだろう。

 勿論多くのプレイヤーや哲平が大好きになったプレイヤーは、なんか旅人はいきなり怒り出したwとかそんな言うほど友達だったかあいつ(困惑)、突然怒りだしたな……みたいなことを感じることはなかったろうが。

 そして敗北と八重神子の助けもあり、所詮一時的な火でしかない怒りも消えた。頭の冷えた旅人はこれまでの全ての稲妻の旅の記憶を元に、全ての悲しみを終わらせるために雷電将軍を止めるという強い意志を持った……という話である。

身内が増えてしまったねぇ旅人よ


 最近の旅人シナリオは旅の記憶や思い出の重要性が語られている、と述べたが、明確にその国の旅の記憶でもって意思決定を下した最初の国は稲妻だと思う。意思が大きなテーマの一つの国だからだろうか。

 モンドや璃月ではまだ記憶や思い出を積み重ねるより早く決戦に挑んでいた。

 だが稲妻で初めて義理も関係も無かった人々の悲しみを知ってしまったがために、余所者の自分が最後まで戦うことを選んだ。わりとターニングポイントではないだろうか。
 ここからスメールでもフォンテーヌでも旅人は行きずりの余所者ではなく、同じテイワットを旅する一人の人間として人々と接し、神を知り、歴史を見届けてきた。

 人々からしてもそれは同じで、すでに旅人のことは同じ世界を生きる友人になっている。

 閑雲の伝説任務はその最たるものの一つで、旅人が自ら歩み寄ってしまったからこそ世界や人々(閑雲)は旅人のため優しい夢を見せてくれる。旅人に入れこんで、その寂しさに寄り添ってくれる。
 これは旅人が無関心な異邦人のままであったら見られない夢だし、来るはずのない現実である。

 片割れ以外のことでもインフィニット大荒れマインドが発動するようになったことは辛いことでもあるだろう。
 これからスネージナヤやカーンルイアの話が来る時に、更に心が千々に乱れるのは必須だし。

 しかしもう旅人は選択した。この世界の良き友であることを。

 プレイヤーとして出来ることは旅人の変化を見届け、画面の向こうからでも寄り添うことなのだと思う。

番外編・邪悪な鍋遊び


 ところで鍋遊びに対する文句がある。そもそも稲妻への魔神任務に対して自分は常にあらゆるキャラの扱いやストーリーの整合性の無さに文句を言っているが。
 おっと稲妻の魔神任務を肯定しているプレイヤーだと思ったか?
 あのさー!ここがさー!と悪い部分を批判することと、勘違いや誤解を訂正したりその点に対して持論を述べることは別に相反しない。良き点は褒めるし。

 神の目を失った武士・黒澤の物語『仁義を通す人には善意を持って接するべき』を覚えているだろうか。

 配給を横領したと町民に責められる貧しい武士である黒澤は、神の目を失う前は仁義のために困窮する民に自分の財を切り崩して食糧支援を行っていたようで……という話だ。

 不自由ない生活を送る他の武士たちと違い、黒澤は個人的に食糧支援をしていた。だが物価の向上により以前と同じ量を調達することが難しくなり、借金をしてまでも活動を続けていた。
 だが今はそれも忘れ、あまつさえ守ろうとしていた町民に父親から受け継いだ大事な刀を向けようとしてしまうほど以前の彼と変わってしまった。

 国からの配給だと思っていた者達は突如支援が止まったことで責任者の黒澤が横領したと思い込み彼に不満をぶつけてくる。

 借金していた店員にも「あぁいうことして何になるんすかね笑」と否定的なお言葉まで喰らい、父との思い出も自分が仁義を貫こうとしたことも人々を助けていたことも全て思い出せない。
 現在の黒澤自身も「そんなことして何になるんだ?人々からは感謝されないし、ただ自分が損しているだけだ」と過去の行いが理解できない。
 このように旅人とプレイヤーが凄く陰鬱な気分になるストーリーである。

 稲妻は鎖国で緩やかに衰退する中でとうとう漁業の禁止(つまり海に出ることの禁止)が言い渡され、更に多くの者が失業して困窮していった。

 元々鎖国前は栄えていた宿場町である紺田村や、各地で仕事が無いために志願兵となった若者が相次いで脱走兵となり強盗となっている現状など、永遠への到達前に普通に民衆がじわじわ苦しんで死んでいこうとしている日常の紹介として黒澤の物語がある。

 あとこの辺、わざわざ花散里に「ファデュイとかは知らない」と言わせている大型世界任務『神櫻大祓』と合わせて『稲妻の問題はファデュイという余所者の仕業ではない。それでも同じく余所者のあなたが身を切り介入するのか?なんのために?』の強調でもある。あった。なんと2.1でこれまで稲妻で起こった全てのことがファデュイのせいbyパイモンになっちゃったんですけど……。

 旅人の自分が何故現地の問題に介入するのか、というのは原神のテーマの一つでもあり、今は上記でも述べたように同じ世界に生きる当事者意識が芽生えてきてしまっている、という理由もあり複雑さを帯びてきている。そう、人生のように……。わからなかったか?ここはとくに何もかかっていないぞ(感じの悪いセノ)

 そんな話の後に 鍋遊び させられる。

 実は稲妻の上流階級……花見坂や天領に住む人々はあまり内戦や目狩り令に興味が無い。リアルだね。一応街中の掲示板では結構な数の人が徴兵されているようだが城下町で家族が……と話してくれる人は小倉澪くらいなものだ。

 よりによって神里が懇意にしている上に九条の寄子である呉服屋小倉家の長男だけが徴兵されている町民役を果たしているのは結構な闇である。
 今も彼は実際にマップ(しかもたたら砂に一人で)配置されたままである。
 いや寄子だから優先的に徴兵されたのか?富裕層の長男が徴兵されるの末期も末期だろ。澪さんがやんわり寄子仲間の援助を断っているのもただの遠慮かもしれないけど好き。闇を感じて。

 だから鍋遊びもその文脈なのかな?と思ったのである。
 稲妻の民のために!と言いながら、ケーキとか鍋に放り込んで食べ物で遊んじゃうお姫様とそれを止めない従者、みたいなブラックな文脈かと思ったのだ。

 しあkしこれはただ単に日本の闇鍋ネタと天然行動でアイスブレイクを狙っただけのギャグ文脈なのであまり考えないほうがいい。
 結局他の要素と違って内戦や目狩り令に城下町とその他で温度差がある話はあまりされなかったからだ。

 ところが掲示板を見ていると、鳴神大社と社奉行は炊き出しと就労支援を行っていると書いてある。人が増えて支援が行きわたらないことや彼らも物資の確保が難しくなっているとも。

 綾華!!!!!!!!!!!!!!お前さん炊き出しやってんのに鍋にケーキ入れて遊んでんじゃないよ!!!!!!!!!!!!!

 上でギャグなんだからあんま考えない方がいいと言ったが、なんでピンポイントでおいおいおいと言いたくなることをさせちゃうんだよHoYoverse!!

 いえ、支援者が遊ぶなとかそういうことは言わんよ。でもよりによってここで食べ物関連のことをするという……その……なんかさぁ!

 ボランティアとか善意の活動者じゃなくてバリバリの特権階級で公権力側だからよ……あと直前に黒澤という困窮する農民らと身を切るボランティアの話をドンピシャでお前さんが見せてきたんだぞ!と色々言いたくなる感じなのはちょっとどうかと思うぞHoYoverse!

 この辺の作り込まれている設定と相反するキャラやストーリーの見せ方が稲妻では結構目立つのである。裟羅が突然アホになったり心海が空気になったりさぁ!

 現パロだと綾人が炊き出しやってる時に、一方綾華は子ども食堂(民間経営でどこも苦しい)の視察行って「応援してます!頑張ってください!」と激励した後で友達と馴染みの高級店で闇鍋で遊びました!とかSNSにケーキが投入された鍋の写真あげちゃう感じやね。頑張らなあかんのは神里や九条や柊やねんで……!!!

 綾華は一生懸命で真っすぐな箱入りお嬢様ってだけなんです……!という自分と、なんとも言えない顔の自分もいる。

結論:あの頃のあんまり何も考えてないHoYoverseのせいです。

 ケーキを旅人に用意する、というのは良いよね。
 当時の稲妻の状況でケーキを用意するには万国商会からケーキなり材料なりを調達しないといけないのだが、苦しい立場にある万国商会と神里(社奉行)が取り引きをするというのは対外的にも良い影響を与えるだろう。
 自分達の代わりに万国商会の問題を解決してくれた旅人へのもてなしという文脈から見ても素敵な流れだ。

 鍋にさえ放り込まなければ……………………!!!!

 いえ世界任務などはどれも粒ぞろいなのが稲妻の魅力なのでなんか魔神任務だけアレなんだよな。

 世界任務は一貫して稲妻がどんどん滅びに向かっているぞ、ここが瀬戸際だどうする旅人!&全ては今までの稲妻の負の積み重ねで旅人には関係ないんだぞ、と描いていて、これをどう止めるのかワクワクしていたものだ。
 2.0であんなことになった長次の話題が次に出ていたのは4.6だったが……。

 あー、緋木村再建イベント来ないかな~。何年言ってるんだ。何年も言い続けてるんすか!?!?!?

最後に


 いきなり鍋遊びへの愚痴を言って申し訳ない。でも神の目と三つの願いの話と何故かテーマ事故を起こしているシーンなので、語るなら今かと思って……。

 旅人の話に戻ろう。自分は魔神任務稲妻編に思う所があり幾度も語ってきたしアンケートにも色々書いてきたが、それでも旅人が稲妻や三人のことをどうでもいいように扱っていたわけではない、と胸を張って言える。

 誰のでもいいからちょっと稲妻編の配信とか見て振り返ってほしい。紺田村の手島の願いの話とかとても良いストーリーだし、旅人とパイモンの反応も抒情的でいい。
 稲妻の旅人が結構感傷的なのも片割れとの決別の影響もあるのかな、と今なら思う。

 見直したら自分と同じくらい遠国監察の手数料ふっかけクソ女と権威に弱いクソださ嫌がらせ足軽にキレて欲しい
 それと離島にいる外国人のほとんどは急な鎖国令で帰れなくなった被害者なのだが、そんな彼らに稲妻の人々は結構な仕打ちをしている。

 この辺りの諸々に旅人が毅然と批判しているわけでも倒したりしたわけでもないのも、旅人が稲妻の問題に関心が薄いというイメージに繋がっているかもしれない。

 悪徳役人と盗賊団と悪徳足軽とまた別の強盗と犯人蔵匿罪村長と色々な犯罪者を全て野放しにしているのも稲妻編の特徴である。そんなのを特徴にすな!
 でも指名手配犯になる前も事を大きくしたくないから見逃したり通報しなかったりしてるから……。

 ちなみにこの時旅人とパイモンに手続き料400万モラをふっかけてきたクソ女は今も普通に遠国監察に務めているが、自分がこっちに400万モラ請求したことは忘れているらしく、現在汚職を一掃し500モラに規定された手数料に驚いていると笑ってくる。なにわろてんねん!!!!

 稲妻編ってほんと柊慎介と九条孝行にだけ罪おっ被せて、ほとんどのキャラが平然と元のポストに居座っているのも解決した感が薄い要因だと思う。
 神造計画に参加した人員総入れ替えをした教令院か、いっそびっくりするくらい話に関わらなかった執律庭くらいにしてほしいぜ。

 当時は旅人もパイモンも片割れの話を口にしなかったから自分のようなぼんやりしたプレイヤーは汲み取れなかった。

 だが当時からしっかり旅人のことを考えていた人々はちゃんと「ここまで雷電将軍に会う事だけに固執しているのは片割れの影響がある」「早く片割れに関する情報を知りたくてたまらないからだと思う」「焦っているのかも」と言っている。

 文句を言うと止まらなくなる魔神任務ではあるが、深みも温かみも良さもあり、見どころも沢山あるストーリーである
 好きな所も感動した所も、語りたくなる魅力にも溢れた物語ではあるのだ。

 4.xでは稲妻もあまりフィーチャーされなかった国だ。5.xでは大型で真面目な話を展開してもらいたいものだ。

 ドーンマンポートマップや様々な厄ネタを抱えるモンド、いくらでも無から仙人を生やせる璃月、地下の扉と世界樹炎上がこれから来るスメールと違い、稲妻は影ちゃんがなんか意味深なことを言っていたくらいしかフラグがないのが心配だが、いつだって稲妻イベントをお待ちしておりま~す。

 皆もこれからは変化していく旅人の心境をリアルタイムで見ていこうぜ。
 自分も旅人の心に寄り添い、共に旅をする一人として物語を楽しみたいと思っている。

 ここまで読んでくれてありがとう。


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