モチベーション
この前バイトしている立ち飲み屋に1人でふらっと女の子が来た。
私はその子に会うのは初めてだったが、何度も来ているというお客さん。
その場に1人で飲みに来ていた男性と、「ちょっと1人じゃ寂しいので乾杯いいですか」と立ち飲み屋にはよくある風景がこの日も繰り広げられてた。と思ったのも束の間。
彼女はどうも今日仕事中にものすごい喧嘩をして帰ってきたようで、その怒りは治らないまま、仕事先の和歌山から大阪まで帰ってきてここにたどり着いた様子。
腹が立ちすぎてコンビニで缶チューハイを買って電車に乗り込み、ICOCAをなくしてやってきた。
彼女は27歳。フリーでWeb広告のディレクションなどを仕事にしているらしい。Aさんとでも呼んでおく。
その日一緒にHPを作成するデザイン会社の社長と23歳の女性社員Bさんと3人で依頼された現場に撮影、打ち合わせに向かった。
女性社員Bさんはデザイナー志望、だけど、現場に呼ばれた理由は人員不足のため、カメラマンとしてだった。良い写真を撮っていたので現場にいた全員が彼女を褒めた。でも彼女はずっとふてぶてしい表情で仕事をしていた。(たぶんAさんのバイアスもかかってる)
様子を見兼ねた社長が現場を出たあと、食事に行こうと誘い、3人で食事をしながら話を聞くと、Bさんは、やはりデザインがやりたいからこんな事したくない。今日は渋々来た、と。
Aさんは、褒められて伸びるタイプ。どんなに疲れてても、受けてよかったのかなと思う仕事も、少しモヤモヤしながら仕事しても、また仕事を依頼されたり、褒められる事で、自分の知らない一面が知れた喜びだったり、モチベーションに繋がる。あなたのモチベーションは何?と問いかけたそう。
すると急に「Aさんみたいに誰もが褒められてモチベーションがあがると思わないで欲しいです」と半笑い(たぶんAさんのバイアスもかかってる)で言われたAさんは「こいつ私のこと舐めてる」と感じ激怒。さらに社長のお金でいただいてる食事の中、「この会社もずっといるつもりないし」等、平気で言える彼女の気持ちが理解できず、論争を起こして帰ってきたらしい。
Aさんは初めて会ったけど、こいつ泣くまで責めたんねん思って喧嘩してたと舌を巻きながら話してて爆笑した。
ものすごい勢いで1時間以上怒りが収まらず、話し続け、それを聞くのは軽い気持ちでたまたま隣にいて、乾杯した男性。
たぶんそんなつもりでふらっと飲みに来てはいない。ちょっと同情した。笑
結局23歳の女性社員Bさんのモチベーションは何だったのかはわからなかった。
Aさんの話を聞いていると父を思い出した。
私の父も結構、怒りのままにお酒を飲んで愚痴酒をしてしまうタイプ。くそー、腹立つわー、と言いながら飲んでる姿をよく見る。
父も自営業の自動車整備士。オープンっちゃオープンなタイプで、お酒を飲むと声もテンションも高くなる無邪気な父。
休日もアクティブでスノーボードとウェイクボード、キャンプの作法は、子供の頃に全て父から教えてもらった。
でも実は繊細さんで誰かとお酒を飲んだり集まったりするのは、あんまり好きじゃない。そういう場で自分の仕事を馬鹿にしたような一言を、酔っ払った相手がポロッと口にする。相手は悪気ないんだよね、そういう時。むしろ相手は言ったことすら忘れてたりする。
でも父はそういうのを聞くと数週間は引きずってお酒を飲む。
父も好きなことを仕事にして、地元のお祭り行事も試行錯誤を繰り返しながら、夜の宮入りで布団太鼓が良く見えるように電気系統をあれやこれやと準備してよく働き、自分のすることに誇りを持って働くかっこいい父。
Aさんもそうだと思う。
何が言いたいかっていうと、好きな仕事をしている人はいくら怒ってる姿でさえ輝いて見える。
怒れるくらいの熱量を持って仕事をして、他から見ればワーカホリックなくらいの人が私はやっぱり好きだなと。
Aさんのことも一気に好きになった。
いままでバイトしてきた仕事の中には、スーツの営業マンがオフィスにずらーっと並んで仕事してる中で働いていたこともある。生活費維持のために働いていた。
その会社は離職率が高い。すぐにいなくなる。
でもその理由は明らか。別にやりたい仕事じゃないんだな。やりたい仕事が特にないのかもしれない。
いっつも「眠い、だるい」「取引先のおっさんがさー」と、朝から今日も頑張ろって気持ちをものすごい勢いで台無しにしてくる人が1人2人じゃなかった。
私のバンド周りには当たり前だが、そんな事を言いながら仕事をする人なんて1人もいない。
だから結構カルチャーショックを受けた。でも実際は、世の中にはそういう環境で働く人の方が多く、一緒働いている人も当たり前のように受け流している。本当に驚いた。
「そんなもん」で済む事が多すぎた。ライブに来るお客さんもこういう職場だったらそれはさぞ辛いだろうなー、平和だったらいいなーとか社会勉強と思って割り切ってやってたつもりだった。上司はめちゃくちゃいい人で、バンドのことも応援してくれていて、快く休みもくれた。
私はその会社に3年程いたけど、退社する頃には、誰かと話すこともなく1日を終えるようになり、中途半端なことをする営業マンへの不満をお客さんから聞き、それを会社の人間として代わりに謝る日が続いていた。
こんな事よくある話で、上に立とうが、下であろうが、世の中誰もが務める事なんだと思う。
でもよく分からないが気持ちが心を侵食していっていつの間にかボロボロになってた。
辞めることを伝えられたときは喜びのあまりに1人で肉を食べに行った。ご褒美。
やっぱり楽しく自分がワクワクしながら、
熱量が怒りに変わろうと、喜びになろうと自分らしく毎日過ごすことが一番健康。
私は旅行でも仕事でもどこか自分の拠点から定期的に離れた土地に行くことや、ライブハウスに足を運ぶことで、自分の居場所だったりするべき事を再認識しながら仕事していたのかもなーとつくづく。
すべてを奪ったコロナウイルスさん。マジ勘弁。
そんな私は最近、いろんな勉強してる時間が1番楽しかったりする。
いまは写真も映像もデザインも色んなことに興味がある。
そういう時期なのかなと思うので気持ちに身を任せてせっせと吸収しまくっておきます。
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