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フリーレンを観た後の心情は異常

 私はどうしても逆張りオタクのムーブメントをしてしまう。
大体のアニメのブームに乗れていない。大抵半年から一年経ったあとに「前はやってたあのアニメ、見るアニメも尽きたし見てやろう」などとどこか上から目線な気持ちで見るのだ。そして大体後悔して学校で友達にあれ見たんだけどクッソおもろいな!?などと話していた。最近薬屋のひとりごとを見たし、ブルーロックもリアタイなんてしなかった。どっちもラブコメやスポーツ作品などとだけ聞いていたこともあり、両ジャンルともあまり好んでみないタイプである私は避けていたのだ。(私は王道バトル系が好きだ。呪術廻戦などがこれに当たるが呪術も一期を見たのはテレビ放送から半年ほどたった頃だった。)今ではこれまでに名前を出した作品全部にどっぷりはまっており、逆張りオタクを後悔するたびに次はリアタイで見る、と心に決めているのだ。そして歴史は繰り返されるのだが。
 そして、タイトルに戻ると、最近見た作品がフリーレンなのだ。
 この作品自体はフリーレンがマンガの賞を取った時から知っていた。知っていただけだったが。そして最近ついにアニメを見終えたのだ。
 やばい。賞をとったりアニメ化の時にもネットや友達から絶賛されていたが、本当に良かった。
 まず、スタートからもう異常。なに?魔王倒してから始まる物語って。まずそこの疑問から始まる物語だった。正直、一話の大部分は好きか嫌いかもよくわからないまま見ていた。判断するには少なすぎる情報量だった。まあ、かろうじて感じていたのは勇者ヒンメルかっこいいなくらい。
 だから、一話の終盤には度肝を抜かれた。ヒンメル、おまえ、死ぬんか。顔がいいと思っていたキャラだっただけにショックだった。なんかめっちゃメインキャラっぽい顔してすぐ死ぬやん。キャラデザ詐欺かと思った。ブルーロックの吉良くんみたいな。正直、そこからはずっとノンストップだった。空き時間を総動員してアニメを見終えた。
 まず、内容をざっと説明しよう。まず、勇者一行が魔王を滅ぼす。ここから物語が始まる。勇者一行の中には勇者、僧侶、戦士、魔法使いがいて、フリーレンは魔法使いだった。エルフである彼女は勇者一行の中では最も長寿な種族で10年にも及んだ冒険を「人生の100分の1にも満たないものだ」とばっさり切り捨てるなど人間離れした感性を持つ(実際、人間ではないのだが)。そんなフリーレンは冒険の後すぐに魔法を集める一人の旅に出て行ってしまった。そして、急に50年経つ。そんでもって勇者ヒンメルが死ぬ。その葬式に参列したフリーレンは彼の墓の前で人間の寿命は短いと知っていたのにどうして彼についてのことをもっと聞こうとしなかったのだろうと後悔の涙を流すのだ。確かここまでが一話。そして彼女は10年間の冒険の軌跡を辿り彼らのことを知る旅に出る、という物語である。
 …いやエッモ⁉⁉いま改めてエモを感じてしまった。なんて良い物語なんだ本当に。そしてこの旅に出たフリーレンは旅の途中で仲間が増えたり、色んな人に出会ったりヒンメルたち勇者一行よりも前に出会った人たちにも思いを馳せていったりしていくのだが、私はこれを見ているとたまに情緒がおかしくなりすぎて吐きそうになったりする。
 私の感受性が超豊かなのもあるだろうが、この物語が構造的にエモとしんどがぎっちぎちに詰まっているのも悪いと思うのだ。
 フリーレンは行く旅の先々でいろんなことを回想する。回想しない回がないためEDには毎回「ヒンメル 岡本信彦」と書いてある。もう死んでんのに。
 そう。もう死んでいるのだ。フリーレンがどんなにヒンメルとの思い出を振り返っても、その思い出を一緒に懐かしむことができる人はもうこの世にはいないのだ。「こんなことがあった」と振り返り微笑むフリーレンを見るたびに心の中の私は「でも、もう死んでいるんでしょう?」と水を差してしまう。そのたびにエモとしんどで情緒が乱されまくってしまう。どうしても悲しいのにどこか温かい気持ちになってしまうのだ。
 私はこの感情に近いものを「不滅のあなたへ」で感じたことがあると思った。不滅のあなたへも構造的にはフリーレンに近いものがある。不滅のあなたへは主人公が本来なにものでもない球で、触れたもののコピー能力を持っている。死なない主人公は様々な人間と交流していく中で出会いと別れを繰り返していく、という物語なのだが、この作品もエモとしんどでぎっちぎちなのだ。
 不滅のあなたへについてはここでは詳しく話さないが、マジで最高の作品なので全人類観るべきだと思う。友達に布教しまくったら見事に何人か沼に落とせた。フフフ。
 フリーレンは本当にしんどいしエモいし心情がずっとやばいので先を見るのがやめられない作品だった。まだアニメしか見れていないが、原作の絵の雰囲気も好きなので漫画でも読んでみたいな。

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