【20ヶ国108社】フェムテック①不妊治療に関する課題に取り組む6ヶ国18社のスタートアップ
不妊治療の市場規模は、2019年に203億8,861万米ドル(約2兆3200億円)を生み出しており、2020年から2027年にかけては15.9%のCAGRで成長し、2027年には257億964万米ドル(2兆9300億円)に達すると予測されています。
特に日本では2020年の出生数は87万人で過去最少となり、少子化が深刻化する一方で、不妊治療をしている女性は50万人以上存在すると言われています。
このnoteでは不妊治療に関する課題に取り組む日本、アメリカ、スイス、ドイツ、カナダ、スペインの6ヶ国18社のスタートアップをご紹介します。
1 株式会社ファミワン (日本)
【創業】2015年6月
【調達】Pre-Series Aで約1.5億円 (2020年4月)
【プログラム採択】Plug and Play Japan Insurtech Batch 5
妊活に取り組む夫婦がLINEを活用し匿名で専門家に相談できる妊活コンシェルジュ「ファミワン」を提供しています。
最近のプレスリリースでは、三菱地所株式会社が進めるプロジェクト「まるのうち保健室」との共創プログラム「ファミワン×まるのうち保健室 ウェルネスプログラム」を、2021年9月~2021年12月の期間で開催することを発表しています。このプログラムでは、丸の内エリアで働く男女が悩むさまざまな事柄に対して、それぞれが相互を理解し多様な選択肢を持てるように、ヘルスケア・ライフプラン・キャリア・社会の動向など、多岐に渡るテーマのセミナーと個別カウンセリングを実施するそうです。
2 vivola株式会社 (日本)
【創業】2020年5月
【調達】Seedで3,000万円 (2021年4月)
【プログラム採択】Plug and Play Japan Insurtech Batch 6
不妊治療を取り巻く「自分に合った情報が得られない」「通院頻度が多く仕事との両立が難しい」「治療の長期化により、経済的・身体的・心理的負担が大きい」などといった多数の課題を解決するため、自分と似た状況の人の治療データが閲覧できるアプリ「cocoromi」を提供しています。
今年の4月にはシードラウンドで、ANRIやDEEPCOREから、3,000万円の資金調達も完了しており、正式に不妊治療データ検索アプリ「cocoromi(ココロミ)」もリリースしました。
3 株式会社ステルラ (日本)
【創業】2019年2月
【プログラム採択】Plug and Play Japan Insurtech Batch 6
妊活・不妊治療のクリニック検索予約プラットフォーム「婦人科ラボ」を運営しています。
株式会社ステルラは、昨年、スカイマーク株式会社へ卵子凍結・不妊治療の福利厚生プラットフォームの試験導入を開始しました。不妊治療はその通院頻度の高さから、仕事をしながら治療をしている人の2割が退職を選択せざるを得ないと言われています。大手企業はスタートアップと協力しながらこのような社内問題の解決に取り組んでいます。
4 株式会社MEDITA (日本)
【創業】2017年9月
【調達】約1.2億円 (2021年1月)
【プログラム採択】Plug and Play Japan IoT Batch 1
個人向け基礎体温記録用アプリ「HERBIO」を提供しています。妊活の際の体調管理や排卵日予測に役立っています。
今年1月には、総額1.2億円の資金調達を行っており、体温を軸として、熱中症予防管理システムの開発など幅広い分野での研究を行っています。
5 株式会社ninpath (日本)
【創業】2020年3月
【調達】約3000万円 (2021年10月)
不妊治療の記録・管理や自分に近い状況の第三者の治療データとの比較ができるサービス「ninpath」を提供しています。今年10月には、約3000万円の資金調達を実施しました。
6 Glow (アメリカ)
【創業】2013年5月
【調達】Series Bで$17M (2014年10月) 合計$23M (約26億1100万円)
San Francisco, Californiaを拠点とし、データ分析を駆使して自然妊娠を目指す人たちを支援しています。PayPal社の共同設立者であったMax Levchinが設立しました。
iOS版とAndroid版が公開されている「Glow」のアプリは、年齢、排卵周期、体温、ビタミン摂取量などの個人データに基づいて、妊娠のために最も良いタイミングをユーザーに個別に知らせてくれます。ユーザーが情報を日々更新する度にアプリは自ら学習し、より正確な助言をできるようになる仕組みです。
7 Rinovum (アメリカ)
【創業】2009年
【調達】Series Cで$6M (2015年7月) 合計$36.4M (約41億3300万円)
Monroeville, Pennsylvaniaを拠点とし、自然な不妊治療や妊娠を助ける家庭用医療機器Storkの開発を行っています。
8 Elanza Wellness (アメリカ)
【創業】2020年10月
【調達】Pre-Seedで$120K (2021年5月)
San Francisco, Californiaを拠点とし、不妊治療に取り組む人へのチャットを通じたコーチングサービスを提供しています。会社の創立者は、自身も卵子凍結を行った2人の女性で、彼女たちは、実際に卵子凍結をするためのリサーチに苦労した経験から、ニーズを感じ、副作用の管理や良い病院の探し方などを気軽に話し合えるコミュニティを構築しました。
9 univfy (アメリカ)
【創業】2009年11月
【調達】Series Aで$6M (2018年2月) 合計$18M(約20億4300万円)
Los Altos, Californiaを拠点とし、女性やカップルが最も効果的で安全な不妊治療を簡単に受けられるようにサービスを提供しています。univfyの提供するUnivfy® AI Platform for IVFは、AI、Fintech、臨床の専門知識、ビジネス戦略などの技術を組み合わせ不妊治療を容易にしています。これらの技術を応用し、妊活に取り組む個人に対して個別のレポートを作成し、最初の3サイクルで赤ちゃんを授かる確率や、あなたと同じような状況の患者との比較、あなたの生殖歴、体外受精の費用と、より経済的な選択肢を提供しています。
10 Kindbody (アメリカ)
【創業】2018年
【調達】Series Cで$62M (2021年6月) 合計$125.3M(約141億9200万円)
New Yorkを拠点とし、人工授精、体外受精、ドナーサポート、卵子凍結、胚凍結などのサービスを提供しています。同業他社と異なる点は、標準的な婦人科治療から妊娠、栄養、メンタルウェルネスまで、エンド・ツー・エンドの不妊治療サービスを、近所のクリニックやオンラインで提供している点です。
11 Carrot (アメリカ)
【創業】2015年
【調達】Series Cで$75M (2021年6月) 合計$114.2M (約129億4700万円)
San Francisco, Californiaを拠点とし、福利厚生の一環として従業員向けに雇用者負担で卵子凍結などの不妊治療を提供するサービスを展開しています。SurveyMonkeyを提供しているMomentiveや、Box、Samsaraなどのカリフォルニアの企業が続々と導入しています。
12 Alife Health (アメリカ)
【創業】2020年
【調達】Seedで$9.5M (2021年5月)
San Francisco, Californiaを拠点とし、人工知能を使って体外受精を最適化しようとしています。過去の何百万もの体外受精(IVF)サイクルやデータを分析し、重要なパターンを特定するためのソフトウェアを開発しています。患者が来院した際には、このノウハウを活用して体外受精のプロセスを最適化し、可能な限り短期間で体外受精を成功させることを目指しています。
13 Mira (アメリカ)
【創業】2015年7月
【調達】合計$4.3M (約4億8800万円)
Pleasanton, Californiaを拠点とし、99%以上の精度を誇るAIを搭載した女性の健康に関するホームモニタリングプラットフォーム「Mira」を提供しています。病院レベルの技術を手のひらサイズのデバイスに搭載し、生理周期の追跡、排卵の予測、胎児の健康状態のモニタリング、卵巣予備能の測定、更年期障害の検出などを、全て1つの機械で自宅で行うことを可能にしました。データは自動的にMiraアプリに同期されます。AIが個人の健康パターンを学習し、遠隔医療においては、ユーザーのデータを医師に共有します。
14 Future Family (アメリカ)
【創業】2016年
【調達】Series Aで$9M (2021年5月) 合計$123.2M (約139億9200万円)
San Francisco, Californiaを拠点とし、女性とカップルのために、手頃な価格かつ最高クラスの不妊治療を提供しています。Future Familyは、不妊治療をすべての人にとって身近で手頃なものにしようとしています。Fintech、不妊治療、遠隔医療の技術を組み合わせ、女性とカップルの不妊治療の旅を献身的にサポートしています。
15 Ava (スイス)
【創業】2014年9月
【調達】Series Bで$30M (2018年5月) 合計$42.4M (約48億1700万円)
Zurichを拠点とし、夜間に装着するセンサーブレスレットを開発しています。9つの生理学的パラメータを測定することで、女性の次の妊娠可能な時期と排卵を正確に予測しています。同業他社と異なる点は精度の高さです。89%の精度で1周期あたり平均5.3日の受胎可能日を正確に検出することができると証明されています。チューリッヒ大学病院での1年間の研究で臨床試験が行われ、最初の知見はジャーナル「Scientific Reports」にも掲載されました。
16 inne (ドイツ)
【創業】2016年
【調達】Series Aで€8M (2019年10月) 合計$8.9M (約10億1100万円)
Berlinを拠点とし、唾液を利用した世界初の家庭用不妊治療システムを開発しています。唾液を採取するとinne Readerが唾液に含まれるプロゲステロンの数値を測定します。毎日のホルモン測定値はBluetoothまたはWi-Fiを使用してinneアプリに送信され、アプリでは、ホルモンに基づいたパーソナライズされたメッセージが受け取れます。inneアプリでは、毎日の測定値に基づいて独自のプロゲステロントレンドカーブを作成し、今日の生殖能力と排卵についてより詳しく知ることができるようになっています。
17 Eli (カナダ)
【創業】2019年7月
【調達】Seedで$1.9M (2021年6月)
Montreal, Quebecを拠点とし、唾液を使って自宅でホルモンの数値変動を把握する装置と、女性が不妊治療などに関する意思決定をする際に必要な情報を提供するアプリを開発しています。
18 WOOM (スペイン)
【創業】2015年
【調達】合計$4.4M (約4億9900万円)
Madridを拠点とし、毎日の妊娠可能性や個別のアドバイスを表示するアプリ「WOOM - Ovulation and fertility」を提供しています。アプリ上では、妊活に関する疑問を解消したり、妊活を経験した先輩とコミュニケーションを取ることもできます。
フェムテックシリーズ紹介
フェムテックシリーズでは、世界20ヶ国のフェムテックスタートアップ108社を解決に取り組んでいる問題別に11のカテゴリーに分類し、ご紹介しています。
①不妊治療に関する課題に取り組む6ヶ国18社のスタートアップ
②生理に関する課題に取り組む9ヶ国17社のスタートアップ
③女性用eコマースに関する6ヶ国10社のスタートアップ
④女性特有の病気や症状の検査・治療後のサポートを行う6ヶ国13社のスタートアップ
⑤更年期に関する課題の解決に取り組む3ヶ国8社のスタートアップ
⑥妊娠中の女性をサポートする4ヶ国6社のスタートアップ
⑦女性の栄養管理を助ける3ヶ国6社のスタートアップ
⑧オンライン診療のニーズに応える5ヶ国11社のスタートアップ
⑨産後・子育て期の女性を支える5ヶ国10社のスタートアップ
⑩避妊を助ける5ヶ国5社のスタートアップ
⑪失禁に関するお悩みを解決する4ヶ国4社のスタートアップ
気になるテーマのnoteを引き続きお楽しみください!