「BRICSの時代が来る」のか来ないのか?

朝香豊の日本再興チャンネル に「BRICSの時代が来る」という「リベラル」の幻想...」の動画が掲載された。共通通貨とか参加国拡大とか騒いでいるが、少なくとも参加国の国民にはメリットが発生しない。鶏口を1つ作り、抜け落ちる羽根か支える脚に成るだけですね。仮に時代が来たとしても、その金流に手を突っ込む支配側が潤うだけで、一般の国民は疲弊します。

【「BRICSの時代が来る」時の唯一の摂理】

 私には、そんな時代が絶対来ないと言い切ることが出来ない。歴史的に地域的にはそう言う体制を人類は何度も創ることを繰返して来たことだからだ。

 その範囲であれば、域内排他的勢力の下に、その魅力に釣られ物が集まり煌びやかな栄華が集中出来るからです。

 ①富の集積②域内商取引の認可制③グローバリストの関与の3つが実現すれば、富を目指しグローバリストどもは富の集約者相手のルールを少なくとも表面上は飲み、集約者の下に、集約者が求める文物を齎らす動きをするからです。

 「土の上に角砂糖を置けば蟻は集まる」そう言う単純な生物の摂理で回る覇者であり続ける条件を、覇者が満たし続ける限り継続的に時代は続きます。角砂糖の集積は覇者1箇所に集約され、他所に無いとなれば、少なくとも蟻は表面上は蟻として覇者のルールに従い、覇者の富に見合う表面上の栄華を外よりもたらし続けます。

 覇者が文化や物品生産をしなくとも、それをしている他所からもたらされ、表面上の発展した文明が集積地に出現するのです。これで栄えたのが、歴代中華帝国であり、大陸の各地で覇権を手にした城郭都市国家の姿でした。覇者側に立ち、同調者の下に在る『眼前の限られた糧』を常に必要量接収し続ける役割に居れば栄華の中で摘み食いが出来ます。覇者の周りはその様な輩で満ち満ちて来ますし、それに炙れると、覇者の名で仕切るルールの下での金流の構築をし、それに齧り付きます。

 しかし、覇者の下での栄華のお溢れは覇者の一吠えで消失するので、常に逃げ足だけは速くなければならず、上手く逃走出来れば、覇者の勢力圏外で、同様の生業をする存在になり、圏外の文物の流れを生業にするのです。

 歴代中華帝国で言えば、異民族支配と『特定漢族』が定義する王宮内勢力が覇者であり、王宮外を官吏として取り仕切る輩と域内商人が、何時の世も彼等『特定漢族』なのです。覇権の外の圏外に逃走すると『華僑』と言う存在として、その地域の民衆にマウントする存在となります。

 BRICSの時代をハッキリと夢見るのは、世界を二分したソ連復活を意識するロシアであり、中国共産党です。そして、その次の可能性を秘めているのがインドですがその認識には大きな差があるかと思います。インドの台頭には、中露は牽制する関係であり、ブラジルは南米の面積上での見た目の大国として、南アフリカは多分アフリカ代表として参加が促され、加わっただけかと。

【米ドルに取って代わる通貨創設と参加の価値】

 BRICSの時代実現には、覇者の1箇所に富の集積が実現することが前提になります。富の求心ベクトルが無ければ摂理は働きません。新たな共通通貨と言っても、その集積が前提の話であり、通貨発行権の集約は、地域経済政策権の一つを他の加盟国から剥奪することを意味し、覇権を強めることにしかなりません。そこに加わったところで、加盟国の首脳は牛尾となり、その国民はマウント対象に成るだけです。

 現在の米ドルを決済通貨とするシステムが論理的最良とは言いませんが、取引需要が全世界に及ぶ通貨が基準になるのは何時の世でも自然になることです。例えば江戸期の日本は、独自の閉域の通貨体制を作っていましたが、一度開くと、そのレートは大きな流通の価値で評価され、金貨銀貨は、その基準で発行することに成ってしまうのです。結果、現物の金貨銀貨発行から、金兌換紙幣へ、そして非金兌換紙幣へ推移し、現在、為替レートは、銀行間で行われる市場取引量で変動する様に成ったのです。

 通貨交換需要で決まる自国通貨価値を思い通りにしたい。そんな願望で域内で市場統制をしたり、日常的に市場介入をすることは、物理的に可能なので、願望通りにする国はあります。でも、年間の為替の実取引需要は変えられないのです。

 ドル決済にとって代わりたい願望は理解します。しかし、通貨価値基準となる財貨の裏打ちが必要です。ドル迄は金本位制からの移行で国際決済通貨は決まりました。米ドル価値を決める米国の付加価値生産性が地に落ちない限り、米ドル規模で国際決済通貨として普遍的価値を認められる通貨が発生すことはありません。国際金融資本が、米国から離れることは在りませんので、そうなります。

 天然資源頼み、低賃金良質労働力頼み、そう言う現状の限られた生産価値では、実際に経済のπは増えないのです。それ以外で増やす国なら通貨覇権を手にする可能性がありますが、今、その国は、国際社会から敵国条項をつけられ、自然法上の独立国ではなく、「条約承認国家」として存続する位置付けに在り、首をもたげると、国際ルール変更で潰され続けています。その結果現状変更無く、今の国際金融秩序は安定しているのです。高々1億ちょいの人口規模の島国で実質世界第二位の経済力を保つ国は、人材資源のπが機能することで支えています。

 米ドル$、ユーロ€、ポンド£、円¥この4通貨のみが、24時間銀行間の為替取引量が潤沢に存在し、安定的に取引が成立する通貨です。先ずは、そこ迄取引量が増え安定しない限り、決済通貨として市場の信任は得られません。経済の裏打ち無い通貨何ぞ、誰も信用しません。仮に、€£¥が新たな統合通貨を創設すれば、確実に$に対抗可能でしょうが、絶対にしようとはしません。域内通貨として機能する独自通貨の存在が経済の安定発展には極めて有用で在り、通貨安通貨高すら味方に出来るからです。基軸通貨を抱える負担とコストは、それが払える国がすれば良いことです。その他の国は、自国通貨発行権の維持が自国の経済的独立にとり不可欠なことなのです。€ではドイツに有利になりました。ギリシャは€の通貨安に寄与しますから。€を手本にドイツの様になるかギリシャの様になるのが、拡大BRICSの形ですね。

鶏口と成る実力が無い国は向け落ちる羽根や支える脚になるのです。それに喜びを感じるなら、お入んなさい

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