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映画>『ビヨンド・ユートピア 脱北』
U-NEXTで脱北者と支援する韓国の牧師を扱ったドキュメンタリー米映画『Beyond Utopia』を見た。
1.12(金)公開『ビヨンド・ユートピア 脱北』本予告|ある脱北家族が、自由を手にするまでの決死の旅路に密着ー - YouTube
作品情報
自由を求める亡命者家族と使命感を持って彼らを支援する人々に密着。再現シーンはなく、携帯電話などで撮影された生々しい映像はこれ以上ないほどのスリルに満ちている。
ストーリー
これまで1000人以上の脱北者を支援してきた韓国のキム・ソンウン牧師は、幼児2人と老婆を含む5人家族の脱北を手伝うことに。各地に身を潜める50人以上のブローカーが連携し、中国、ベトナム、タイなどを経由して亡命先の韓国を目指す決死の脱出作戦が始まる。
北朝鮮を扱ったドキュメンタリーはいくつか見たことがあるし、韓流ドラマで『ドクター異邦人』など脱北者を扱ったドラマも見たことがある。
韓国ドラマ「ドクター異邦人」ノーカット字幕版|ドラマ・時代劇 / 韓流|TBSチャンネル - TBS
ドキュメンタリーにしろ、ドラマにしろ、政治が絡むと、何らかのプロパガンダが潜む可能性は非常に高く、どこまでが事実なのだろうか、と疑いを持ってしまう。
小学生3、4年生の頃、米映画『グリーン・ベレー』を映画館まで行って見て、「ベトコンという人たちはなんと残酷な人たちなんだろう」と思った過去がある。
脱北というとどうしてもイデオロギーもプロパガンダも絡むテーマなので、おっかなびっくり見始めたのだが、強烈だった。
脱北って、中国国境の鴨緑江を渡ればそれで済むのかと思っていたが、渡ってからも大変だったのだ。ベトナム、ラオスを経てタイまで行かないと、中国の影響の強いベトナム・ラオスだとつかまると強制送還される。
ソウルで脱北の支援をしている牧師の元に、鴨緑江を渡ったものの立往生している家族がいる、と連絡が入る。祖母、息子夫婦とまだ小学生と幼稚園くらいの孫娘二人。
年寄、子供連れだと人身売買もできない、とブローカーから連絡が来るのだと言う。
中国の監視が厳しくなり、見つかれば強制送還、送還されれば収容所行きでどんな目にあうかもしれない。
元々、公安に目をつけられて追放されそうになったので監視の緩む秋夕に墓参りに行った帰りにそのまま脱北したという。
追放とはある日、車に乗せられて、昔から追放の地である山間部の山中に降ろされ「ここで生きろ」と言われるそうだ。毛布とかを持っていても取り上げられるという。
ともかく先に脱北していた家族と中国で合流して途中からブローカーの車でベトナム国境まで行き、夜中に夜中に密林を歩いてベトナムに密入国する。3時間のはずが6時間たってもつかず、ブローカーが同じところを歩かせているのではないかと疑心暗鬼になる。
隠れ家で数日休み、夜に車でラオスへ。ラオスからは夜中に小舟でメコン川を渡る。
中国にもタイにも入国できない牧師は、「ともかくタイについたら、一刻もはやく警察に捕まってください。そこなら捕まっても安全です」。
スマホの不鮮明な映像で、その行程が記録されている。
ほぼ同時に一人で脱北した女性がまだ10代の息子を呼び寄せようと計画している。
こちらは無事にブローカー経由で鴨緑江を渡って中国に行けたのだが、そこで他のブローカーに通報されて強制送還されてしまった。
ブローカーから切れ切れに電話で入る情報。
拷問されてけがをしたという話。
収容所に送られて、手の打ちようがないという話。
母親からもう忘れてくれ、という伝言。
北朝鮮の日常生活の映像も多く紹介されていた。
まあ、どこまでいっても、ある程度のプロパガンダとイデオロギーは仕方がないのだろうけれど、そこから見えてくるものがある。
北朝鮮の人の朝鮮語って、そんなに韓国と変わらないのだな、と変なところに感心していた。