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読書メモ|限りある時間の使い方 |オリバー・バークマン


中世の農民の仕事に終わりはない。次の日になれば乳を絞り、次の収穫期が来れば収穫する。だから全て完了した状態というのはあり得ない

028

無理に急ごうとしないで、「時間はかかるだけかかる」と思った方が、豊かな成果が生まれることがある

044

あのひとはものすごく仕事が速いねという評判が広まれば、あちこちからどっさり仕事が降ってくる(上司だって馬鹿じゃないから、仕事が遅い人に余分な仕事をやらせようとはしないはずだ)

053

著書「お母さんは忙しくなるばかり」の中で、「省力化のための家電が実際には全く家事を楽にしなかったと指摘する。
「仕事の量は、完成のために可能なじかんをすべて満たすまで膨張する」という有名な法則がある。「パーキンソンの法則だ」

054

詩人のメアリー・オリバーは「注意を向けることが献身の始まりである」と言った。注意散漫な状態では相手を気遣うことはできないからだ。
僕たちが利用している「無料」のソーシャルメディアは実は無料ではない。そこであなたは顧客ではなく。商品だからだ。
ユーザーの興味をひくのは多くの場合怒りや恐怖を掻き立てるコンテンツだ。プラットフォーム側から見ればビジネスモデルに不可欠な要素だ。

117

退屈がつらいのは、単に目の前のことに興味がないからではない。退屈とは「ものごとがコントロールできない」と言う不快な真実に直面した時の強烈な忌避反応だ

129

ホフスタッターの法則をご存じだろうか「どんな仕事であれ、常に時間は予想以上にかかるものである 例えホフスタッターの法則を計算に入れてもだ」

136

1日の困難は1日分あれば十分です

145

スティーブ・テイラーが「正気に戻る」の中で興味深い指摘をしている。ロンドンの大英博物館を訪れた観光客たちが、古代エジプトの遺物ロゼッタストーンを前にして、スマホの画面ばかり見ているのだ。せっかく目の前に貴重な展示物があるというのに、ろくに実物を見ようともしない。(後でそんな動画を見返す人がどれだけいるのだろう)

149

弁護士が家族との夕食や子供の発表会に現れない場合、それはビラブルアワー(請求可能な時間)という慣習のせいかもしれない。売れない時間はすなわり無駄な時間となる。

158

怠けることは単に許容されるだけではなく、人としての責任だと言っていい。シモーヌドボーボワールもこう述べている「ある老人がワインを飲み、満ち足りた気分になる。そのことに価値がないというのなら、生産も富もただの空虚な迷信にすぎない。生産や富に意味があるのは、暮らしを楽しくしてくれる場合だけだ」

173

しかしここで、セティヤの言う「非目標性の活動」という概念が、ショーペンハウアーが見落としていた可能性を示唆してくれる、そこには苦痛でも退屈でもない道がありうるのだ。達成を目標とするのではなく、ただ活動そのものを楽しむこと。僕たちはそんな活動をもっと日々の生活に取り入れたほうがいい

184

それが心から楽しくて夢中になれるのも、自分のチンパンジーレベルの演奏が決してお金やキャリアに繋がらないからだと思う。無益なことを追求する自由、何も気にせず下手くそなことを楽しむ自由、心が洗われますよ

188

「現実を思い通りに動かしてやりたい」という傲慢な態度こそが、苦しみを引き起こす。『道徳経』には、しなやかで謙虚なイメージがあふれている。真の賢者とは、風に吹かれても折れずにしなる木や、障害物を避けて流れる水のようなものだ。事物はあるがままにそこにあり、あなたの意思で変えられるものではない。世界に影響力を行使する唯一の方法は、現実に逆らうのではなく、現実に合わせて動くことだ

本を読む時間なんかないと人は言う。時間はあっても、読書に気持ちを集中できないだけだ。時間をコントロールしたいと言う僕たちの傲慢さを、読書は許してくれない。無理に急いで読もうとしても、意味がすり抜けていくだけだ。何かをきちんと読むためには、それに必要なだけの時間がかかる。それは読書だけでなく、嫌になる程多くのことに当てはまる事実だ。

195

困難で時間のかかる仕事に取り掛かることは、もはやストレスの引き金ではなく、清々しい選択になる。手っ取り早い解決策はありません。不快や痛みからすぐに解放されようとしないでください。魔法の解決策は存在しないと言う現実をまずは認めるのです。幻想を捨ててありのままの現実を醒めためで見つめた時、あなたは何よりも重要な能力を獲得し始めるだろう「忍耐」と言う力だ。

201

難しい問題に直面した時、未解決の状態に耐えきれず、最速でなんとかしたいと思う。コントロールできないという不快感を逃れるためなら、本質的な解決策でなくても気にしない。だから意味もなく相手にキレてしまったり、うまく進まないプロジェクトを投げ出してしまったり、始まったばかりの恋愛を放棄してしまったりする。じっと見守るよりも、さっさとやめたほうが気持ちがラクになるからだ。

209

椅子でお湯を沸かせないからといって、椅子に失望する必要はない
たとえ一流のシェフになれなくても、子供達に栄養バランスのいい食事を用意することは何物にも変え難い重要な行為だ。たとえトルストイのような名作が書けなくても同世代の一握りの人を楽しませることができれば、小説を書く価値は十分にあると思う。どんな仕事であれ、それが誰かの状況を少しでも良くするのであれば、人生を費やす価値はある。あるいはコロナ禍で隣人への配慮をほんの少し取り戻すことができたとしたら、社会を根本的に変革できなかったとしても、十分に価値のある学びだったと言えるはずだ

245

たとえば、今の仕事を辞めるかどうかで悩んでいるとしよう。そんな時「どうするのが幸せだろうか」と考えると、楽な道に流される。あるいは決められずにずるずると引きずってしまう。一方、その仕事を続けることが人間的成長につながるか(大きくなれるか)それとも続けるほどの魂がしなびていくか(小さくなるか)と考えれば答えは自然と明らかになるはずだ。快適な衰退より不快な成長を目指した方がいい

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「環境破壊が終わることを望んでいる、とみんな簡単に言う。だが、それを食い止めるために自分で行動するつもりはないようだ」
「希望などいらない、やることをやるだけだ。鮭が生きられるようにする。プレーリードッグが生きられるようにする。ハイイログマが生きられるようにする。状況が自然に良くなるという望みなど捨ててしまえ。これ以上悪化しないという望みを捨てるんだ。そうすれば我々は自由になれる。解決のために動き出すことが可能になる

高橋 璃子 さんの翻訳も読みやすい。『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か? これからの経済と女性の話』なども翻訳してて個人的に注目してる翻訳者さんです!


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