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読書メモ|シングルマザー、その後| 黒川祥子

ひとり親世帯の貧困率 デンマーク 9.3%
           アメリカ  45%
           日本    50.8%

不動産屋は「母子家庭」と聞くと、途端に顔をしかめた。

第1章 子育ての後に待っていたもの P30

長女だけだったら、まだなんとかなったと思うんです

第1章 子育ての後に待っていたもの P34

「お金がないから、高卒で働いて」とはとても言えませんでした。(中略)これから教育費がかかるという時期に、母子家庭をめぐる福祉のネットワークが一切消える(中略)「これって、「母子家庭の子供は大学へ行くな」と国に宣言されているのと同じですよね」

第1章 子育ての後に待っていたもの P38

「シングルマザーとして、3人の子供を必死に育ててきました。でも今は塾代も学費もビタ一文払わなかった元夫に、子供たちを奪われてしまったんです。」

第1章 子育ての後に待っていたもの P43

公営住宅に応募したが、落選。不動産屋を回って直面したのが「母子家庭、お断り」という暗黙の掟だった

第1章 子育ての後に待っていたもの P48

収入欄に書かれていた数字は「月収600万円」私、びっくりして、「間違ってるんじゃない?パパに確認して」って言ったら本当だった。なのに自分の子の学費にはビタ一文払わない」

第1章 子育ての後に待っていたもの P51

母子家庭にもランクがあって、一番上は死別母子家庭、次に慰謝料や養育費を取り決めた離別母子家庭、私は失踪母子家庭ですから最低ランクです

第1章 子育ての後に待っていたもの P64

「第3号被保険者」制度の創設だ。(中略)働いていない専業主婦が、どうやって保険料を納めるというのだろう。いや、納めなくていいよ、と新たな制度は規定した。(中略)妻たちは自分で保険金を納めなくても、年金がもらえるような仕組みを作ってもらえたのだ。

第二章 1985年 女性の貧困元年 P84

ゆえに女性は専業主婦か、働いても家計補助的な低賃金のパート労働でいいとされ、夫に扶養されることを前提に、家事、育児、介護を無償で担う「日本型福祉社会」の支え手とされた。(中略)専業主婦がいれば、国は福祉に使うお金を最低限にできると。

第二章 1985年 女性の貧困元年 P90

死別でシングルマザーになった女性には、再婚しなければ生涯に渡る「遺族年金」があるのに対し、末子が18歳を超えたシングルマザーには何もない

第三章 老後などない P121

国民年金は免除のまま、遡って払える日は永遠に来ないだろう。

第二章 1985年 女性の貧困元年 P139

子育てを終え、シングルとなったかつてのシングルマザーに、老後を生き抜く力や資産などあるわけがない。

第三章 老後などない P140

「小さな子供がいるってだけで断られました。例えばスーパーのパートでさえ、断られるんです」

第三章 老後などない P147

「中三で受験のために選んだ塾は高かったですね。費用が。中三の1年間だけで、テキスト代、交通費、模試代など全部含めて、100万以上かかってます」

第三章 老後などない P153

もちろん、老後、二人の世話になるつもりはない。いや、(中略)子供が母親まで食べさせるなんて、この不況下では不可能なのだ。

第三章 老後などない P156

授業料の支払いがあるため、自治体の緊急小口資金を借りようと1週間続けて窓口に電話しているが繋がらないということだ(中略)「結局、電話がつながっても、面談までが1ヶ月後とかで、実際に借りられるのはさらに1ヶ月後とかでしょうね。本当に、やっぱり誰もあてにならないし、自分しか頼りにならないって、再認識しました。

第三章 老後などない P158

元夫が起こす調停はすべて、弁護士を立てない本人訴訟。そういう面倒臭い人なんです

第三章 老後などない P168

(2002年の改正で)国は明確に「児童扶養手当中心の支援(福祉)」から「就業・自立に向けた総合的な支援(就労)」へと母子家庭支援政策を転換した
(中略)
私につかえるものはひとつもなく
(中略)
例えば看護師の資格を取るために看護学校に通う場合、月10万円が支給されるのだが、一体これを利用できるシングルマザーがどれだけいるのだろう。月10万円を支給されても働かないと食べていけない。看護師になりたくてもこの額では学校に通うのは困難だ。生活に余裕があり、親のバックアップが期待できるシングルマザーしか使えない代物だった

第三章 老後などない P171

資格を得たことで、司法書士事務所に正社員として入社した。給料は月15万(中略)当時、国保は3人分で月3万近く払っていました。国民年金は払えず滞納していました

第三章 老後などない P171

この国のシングルマザー施策に欠けているのは「シングルマザーは子供をケアする存在だ」という視点だ

第三章 老後などない P176

頑張っても、頑張っても、全然、ラクにならない

第三章 老後などない P178

韓国では2015年に養育費履行管理院という組織を国が作り、養育費の取り立てと払ってもらえない場合は立て替えるという制度を作りました
(中略)
しかも、養育費は子供たちからすると父親は離婚してからも自分達のことを考えてくれていると思える一つの証でもあるわけです。(中略)それが四世帯のうち一世帯にしか支払われていないというのはとんでもないことだと思います。

 インタビュー 神原文子氏 P195

離婚するのはあなたの勝手でしょう、苦労するのを承知で離婚したんでしょう、自分が子供を引き取ると言ったのでしょう、自分で勝手に離婚したのに、なんで国に助けてほしいと言うのだ(中略)政府だけでなく日本国民の中にも同じ意識がありますね。「ひとり親が何贅沢なこと言ってるのか」

インタビュー 神原文子氏 P199

子供にお金をかけるのは親の責任だと。日本で子供は親の所有物のようになっていますね

インタビュー 神原文子氏 P201

同じひとり親でも、死別であれば夫がサラリーマンなら月に十何万円の遺族年金がおりて、加えて持ち家に住んでいる人も多いので家賃負担はありません。しかも遺族年金はその方が亡くなるまでもらえるわけです。しかも遺族年金は非課税です。

インタビュー 神原文子氏 P203

フランスでは、ひとり親以外の家族の方も子育てに不安を感じないと言いますね。(中略)日本と決定的に違うのは、子供は「社会の子供」だと見ていることです。

第四章 世界はシングルマザーをどう見ているのか P211

ペナルティの大きさは第一子よりも第二子、第二子よりも第三子で大きくなっていくことがわかっています。このペナルティは男性には存在していない
(中断)女性が母親になることで、貧困に陥りやすくなると言えるでしょう

インタビュー 畠山勝太氏 P195

 知人が貸してくれました。「はじめに」読んだだけで、涙が止まらなくなり、中断しながら読みました。
 私自身がシングルマザーです。離婚したとき3人の子供たちは0歳、3歳、7歳。(現在18歳、21歳、25歳!!!)死別でなく、親の援助なく、養育費も最初の数年だけ…という結構しんどいパターンなので、かなりこじらせています。
 最近、PLAN75のプロデューサーが手がけた「あんのこと」という映画を観て、当時のことをまた思い出してしまったいきおいで、この読書メモを公開します。本を読んだのはずいぶん前です。
 杏みたいな「できない」が言えないというか言わないでかぶっちゃうタイプ(自分もそう)は、あまりひとと深く関わらないほうがいいと肝に銘じています。引用したところは全て自分にも当てはまります。
 子供によるリターンは、親ではなく社会に還元されます。自分はひたすら働いて社会へ投資しているのだと思うと少しだけ救われます。

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