ROOM’s CIRCLE テーマ:お金/金融「ゲスト:中村将人さん」
ミラツクのメンバーシップ「ROOM」で展開する「ROOM’s Circle」。コミュニティ内外から素敵なゲストをお招きし、緩やかにお話を伺うオンラインの場です。人にフォーカスし、ゲストの魅力を通じて、ネットワークや繋がりを創造しています。
本日は2022年6月16日にお招きした中村将人さんの会をご紹介します。
|本編|
|ゲスト|インパクト/ESGベンチャーキャピタルGLIN Impact Capital代表パートナー中村将人さん
インパクト/ESGベンチャーキャピタルGLIN Impact Capital代表パートナー
“国内第一世代のインパクト/ESGベンチャーキャピタルGLIN Impact Capital代表パートナー。総合商社時代の途上国駐在経験をきっかけにソーシャルビジネスやインパクトESGファイナンスに興味を持ち、ハーバードビジネススクールに留学。米国Acumen Fundにて知見を深めた。””より良い資本主義の構築””をミッションに、国内外の未上場企業に対してインパクト投資およびESG経営戦略策定支援を行う。
|お話を伺ってみて|
「SDGs」や「サステナビリティ」の重要性が叫ばれている中、その分野に力を入れている企業に投資しようという動きもグローバルでは活発になってきています。その投資方法の一つが「インパクト投資」です。中村さんには、なぜインパクト投資の世界に入られたのか、ということや、世界と日本の動きの比較、今後の展望などについてお話いただきました。
現在のお仕事の原点は、インドやインドネシアに赴任していたときに感じた「貧困や格差」の存在だったといいます。それを何とかできなかと悩む一方で、ご自身は会社でひたすら当期純利益のために働いていることにギャップを感じたそうです。
途上国での農業関連新規事業への出資検討を行っていた際に、その事業のソーシャルインパクト(貧困格差の解消など)については全く議論されずに、ただただ事業収益リターンのみを追い求めていました。しかし、その横でアメリカやヨーロッパのインパクト投資家と呼ばれる人たちが、その事業のソーシャルインパクトと事業収益の両取りを目的にバンバン投資をしていく。世の中を良くすることに重点を置いて、かつファイナンシャルリターンも考慮して投資活動をすることに興味をもちました。
出典:GLIN Impact Capital
こうした問題の背景には、短期・中期経済利益のみを追求する現在の資本主義があります。それは、貧困や格差だけでなく、地球環境問題や男女格差、人権問題などあらゆるところに歪みを生み出しているのです。そうではない新しい資本主義(Reimaning Capitalism)が必要だと中村さんは語ります。
「ビジネス(経済活動)のただ一つの目的は利益の最大化である」という50年以上前の経済学者の言葉の呪縛を現代に引きずって、我々も社会問題を大きくするのではなく、今の世界にあった経済のあり方、資本主義のあり方を考え直してアップデートする必要があります。そのアップデートの手段として、インパクト投資の発展と定着があると思っています。
しかし、日本ではまだまだインパクト投資は黎明期。本日のセッションが、インパクト投資を普及するための一助になればと思いました。
—セッションハイライト—①
Q:そもそもインパクト投資とは何でしょうか。
経済的リターンと社会的インパクトを同時に追求する投資のことです。社会的インパクトとは、事業が社会に与えるポジティブな影響を意味します。ビジネス自体が社会課題に対してどのように解決しているのかというものを定量的・定性的に判断して、その拡大を図って投資をおこないます。投資判断をするときには経済的リターンに加えて、こうした社会的インパクトを組み入れます。投資後も財務指標のみならず、インパクトリターンも見ながらサポートするのが特徴です。
出典:GLIN Impact Capital
—セッションハイライト—②
Q:インパクト投資について日本と欧米との違いについていかがですか。
日本企業の中で社会を良くするためのビジネスというと、まだまだ理想論で学生っぽいと思わがちです。しかし、欧米のインパクト投資の人たちと関わると理想論ではなく、経済的リターンと社会的リターン両方をきちんと生み出そうと試行錯誤しています。そこが一番の違いでしょうか。
Q:経済的リターンが出ている間は、社会的インパクトの拡大も求めやすいと思うのですが、企業として存続できないくらいの経営状況なった場合に海外のインパクト投資ではどのように対応しているのでしょうか。
インパクト投資家の中にも幅があり、社会的インパクトが全くなくなった時点で投資を引き上げると明記しているところもあれば、一時的に経済的リターンに集中せざるを得なくなった際に、社会的インパクトもいずれ出せるようにサポートするというスタンスの投資家もあります。
上記のほか、社会的インパクトの評価方法やSDGsのポーズと本質的な取り組みとの違いは、といった質問が多数出て盛会に終わりました。
中村さんは、仲間と一緒にインパクト投資に纏わる海外の最先端の情報をピックアップするニュースレター「ImpactShare」の活動もされています。インパクト投資は欧米の方が進んでおり、その事例について知ることができます。登録は無料です。詳細は以下よりご確認ください。
インタビュアー・文責:ミラツク研究員 鈴木諒子
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