後悔先に立てておきました!④

自分の「後悔先に立たず」なことを公開することで「誰かの後悔が先に立てばいいな」という趣旨で書いています。

前回「ロールモデル・ライバルを見つけることが大事」ということを書きました。ライバルは職場で出会える可能性が高いですが、広い意味でのロールモデルは職場で出会えるとも限りません。では、どこでどうすれば出会うことができるのか。

今から6年前の冬、仕事を終えてから飲み会があり、だいぶお酒が入った状態で帰路につきました。最寄り駅までたどり着き、あとは家に帰るだけ…という状態で目に入ったのが、以前から気になっていたバー。酒の勢いにまかせて、ドアを開け入ってみました。15人いれば満席になるような広さのお店。もちろんチェーン店ではありません。その日は、自分と同じようにお酒がけっこう入ったお客さんが数名いただけ。しかも、グループで飲みに来ている人はいなかったため、静かに飲み、帰路につきました。

心地よい空間だったことは確かだったので、同じ週にもう一度そのお店へ。今度はお店の人と話しました。お店がいつからあるのか、曜日ごとでスタッフが違うということ、オーナーはどんな人か、などを聞きつつ、自分自身がどんな人間なのかというのを話しました。やはり心地いい空間だということを確認し、その日は終了。

それから数日後、再び足を運びます。お店の人から「また来てくれましたね」と声をかけられ談笑。さらに、その場にいるお客さんを「きっと話が合うのでは」と紹介してくれました。その判断に間違いはなく、話が盛り上がり、職種や年齢を超えた知り合いになります。

さらに足を運び、知り合いが増えると「あのお店に行ったことはあるか?」という話に。教えてもらったお店に何度か行ってみると、やはり同じように「顔なじみができ、別のお店を教えてもらう」という流れになります。

このようなことを繰り返す中で、面白い具合に「職種や年齢を超えた知り合い」が増えたのです。「いつ行っても自分が最年少」になるお店があれば、「かなりの確率で、自分が年長者」というお店もあり、幅広い世代の人たちと話すことができました。

「いつ行っても自分が最年少」のお店では、年長者の方と話す中で、その世代の「感覚」はもちろん、「今おかれている立場・現状」を知ることができます。これは「のちのちの自分」の予習になります。そしてこのような場所こそ「ロールモデルを見つけやすい環境」なのです。また、「自分が年長者」になりがちなお店でも、若い世代の感覚・ノリ・現状を知ることができ、これはこれで学び・経験値になります。

オススメは「マスター(店主)が人と人を繋いでくれるお店」。お酒がメインのお店でなければいけない、というわけではありませんが、お酒はいろんなものを簡単に乗り越えさせてくれる力があります。「お酒が正直得意ではない人の場合、「お酒が苦手、強くない」「まだ飲み始めたばかり」ということを汲んでくれるお店ならなおよしです。

バーをオススメするのは「入会金」や「必ず出席しなければいけない」といったようなことがない、というところが大きいです。「ここ、やっぱ違うわ」と思ったら「二度と行かない」「ちょっと時間をおいてみよう」という判断をして、まったく問題がありません。「入会」系のコミュニティならではのわずらわしさがないのがポイントです。「危険を感じたら一杯で店を出る」「1回で見切ったら、それはそれでよし」これを気軽にやっていいのがメリットのひとつです。

「ひとりで行って、知り合いもいない中お酒を飲むのは面白くなさそう」「スマホをずっと見てしまいそう」という方におすすめの「たたずまい方」があります。それは「他のお客さん(or客と店主)の会話を”ラジオ”だと思って聞く」ことです。「30分、ここでしか聴けないラジオを聴きにきた」と思えば、けっこう楽しめます。後ろの席の人たちにチューニングしてもいいし、横の席の人たちにチューニングしてもいい。店主のMCっぷりを楽しむのもありです。時に「踊るさんま御殿」のさんまさんのような、敏腕MCの店主に出会うこともあるかもしれません。

「出会おう」と意気込んでは出会えない人と出会える。それが「チェーン店ではない小さなお店」の楽しさです。お店に数回通うことで、「あのお店もいいぞ」という情報を得られて、目的地が増える、自分のマップが広がる…この流れはまるでRPGのようでした。そこでまた新しい仲間と出会う。これもまたゲームのよう。そして「趣味が一緒」かどうかもわからない人がいる場所で、お店の人がうまくマッチングしてくれる。たとえば「趣味は違うけど、感覚が近い」「感覚は違うけど、地元が一緒」という風に。将棋の道場に行くと「手合い係」の人が同じくらいの強さの人をすぐに見繕ってくれますが、いいお店の店主は、見事な手合い係である確率が高いです。

このようなことに気づいたのが35歳の時。これが今回の「先に立てる後悔」です。お酒が飲めるようになる20歳の時、やろうと思えばこれができたわけです。「お金はなくても時間がある20代」の時、やろうと思えばできたこと。もしやっていたら基本的には「年上ばかり」の中に入ることになるので、ロールモデルを見つけやすかった。「惜しいことをした」と思うのです。

かつて、その日出会った年上の人と話が弾んで「俺が支払いを出す!」となったことがありました。その時の自分は35~6。その人は50代。相手が30代でもそうやって「俺が出す!」と言う人は、たまにですがいます。自分も、行きつけのお店に「どう考えても若い」という人がいて、話す機会があったらきっと「自分が払うからいいよ」とすると思います。実際、そうしたこともあります。何度か通ううちに「おごられるコツ」もつかめるかもしれません。

また、上司(or部下)と同じ世代の人と話す、子ども(or親)と同じ世代の人と話すことで気づくことがあります。「ロールモデル」以外の発見・出会いもある、それが「小さなお店に入る」魅力のひとつです。

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