bayfm 9の音粋 アルバムから2連荘特集
自分のお小遣いで音楽を買うことができるようになった時、
すでに「CD」の時代でした。
幼稚園~小学校低学年の頃は
レコード・カセットテープ・CDが共存。
平成元年にデビューした大物バンドは
「CDだけでデビューする」とまわりに言ったら
「大丈夫?」と心配されたそうです。
我が家にCDプレイヤーが来たのは平成に入ってから。
そういう意味では「CDだけでデビュー」は
時代の先を見据えつつ、
その時の肌感覚にもぴったり合った判断だったのだと思います。
私が”自分のお小遣い”ではじめて買ったCDは
DREAMS COME TRUEのアルバム『The Swinging Star』でした。
12曲入りで3,000円。シングルだと2曲入りで1,000円。
限られたお小遣いの中で買うなら、断然アルバム。
「シングル発売時に聴けなくてもアルバムを待つ」
はじめからそのスタンスだったため、
アルバムを収納するケースのほうが次々と埋まっていきました。
また、同時期、YMO再生にあたり、オリジナルアルバムが再発売され、
それらをコレクション。
「シングルを買う」というのはよっぽどのことで、
ある種「記念」としての購入でした。
アルバムを何度も聴きました。
CDのアルバムとレコードのLPの違いは
・A面とB面がないこと
・ボタンを押せば簡単に次の曲へ行けること
曲の順番、繋ぎ、連なりがLP以上に考えられている。
簡単に好きな曲へ飛べてしまうからこそ、
アルバム作りが丁寧なミュージシャン、バンドほど
「あの曲からあの曲の流れ、繋ぎを聞かせたい」と力を注いでいる。
それは、小学6年生~中学生の自分にも伝わってきました。
スージー鈴木さんと私がDJをつとめている
bayfm「9の音粋」
7月31日(月曜日)は
「アルバムから2連荘特集」を開催しました。
サブスクで、次から次へと曲と出会える昨今。
「1曲通して聴いて、その次の曲が流れる…」という
LP・アルバムならでは”お楽しみ”を後世に残したい。。。
そんな気持ちで提案し、選曲しました。
2年前の特別番組「究極の音粋」の中で
DREAMS COME TRUEのアルバム
「WONDER3」の1曲目「OPEN SESAME」から
2曲目「戦いの火蓋」に入る、あの繋ぎが好きだ…
という話をしました。しかも、中村正人さんご本人に。
「これしかない!」というシメ方からの入り方。
奇跡みたいなトラック1からトラック2への移行。
「こういう計算された絶妙な間」は、
CDシングルの「表題曲とカップリング曲」では
存在しないのです。
いわんやレコードのシングルをや。
レコードの場合は裏返さないといけません。
CDの時代こそ「素晴らしいアルバムの曲繋ぎ」は存在したはず。
それでいてレコードのLPにあったはず。
気軽にスキップできないからこそ、
流れるように次の曲がはじまるなり、少し間を持たせるなり、
何かしらの工夫をしただろう…。
そう考え、スージー鈴木さんに提案したところ、
スージーさんからも出るわ出るわの大騒ぎ。
ということで7月31日の「アルバムから2連荘特集」と相成りました。
やってみて気づいたことは2つ
①これは、テレビでやることはないだろう
②とはいえ、ラジオでならやるのか。そんなことはない。
ということ。
「繋ぎ」を聴くためには少なくとも
1曲目を長めに聴く必要がある。
いわゆる「フリ」をしっかり聴いたうえで繋ぎの部分を迎えないと
あまり楽しめない。それが①の理由。
そして②の理由としては、音しかないラジオは
テロップや映像で間をつないだり
ごまかしたりすることができないため、
「2曲フルコーラス」でかけないとサマにならない、ということ。
加えて、アルバムや曲についての解説をしっかりふりこんだうえで
聞いてもらわないと「曲が2曲続けてかかった」で
終わってしまうかもしれない。
そのためには、それなりの時間を要する。
(曲だけで少なくとも6分、長くて10分くらい必要)
というのもあって、「アルバムから2連荘特集」は
誰でも思いつくのだけど、
やっていそうでやっていない特集なのでは?と、
放送日が近づくにつれ思うようになっていきました。
生放送直前、シン・ラジオ月曜日のヒューマニスタ
遠山大輔さんと少し話しました。
「今夜はこんな企画をやるんですよ、こんな意図なんです」
という話をしたところ一言「いやー、悔しい!」というリアクション。
「それ、いい企画だな!」が突き抜けると「悔しい!」になるのは
私もよくわかります。最大級の賛と受け取りました。
くわえてディレクターの方からも
「番宣聴いて、今日の特集面白そうだなと思ったんです」と
声をかけられました。
さらに、放送を終えた3日後、
シン・ラジオ木曜日のディレクターからも
「あれはいい企画でしたね」との言葉。
特にトリッキーなことはしていないし、
「アルバムならではの、知らない曲をかけてやろう」とは
していません。
ただただ私は、電気GROOVEのアルバム「A」における
「あすなろサンシャイン」からの「Shangri-La」
この繋がりを聴いてもらいたかったのです。
この2曲の繋がりが素晴らしいというのは
1997年の5月から、ずっと自明でした。
SNSで「あすなろサンシャイン シャングリラ」で
検索をかけてみてください。
私と同じことを言っている人がたくさんいます。
「A」を聴いた人は全員体験しているのです。
このアルバムは、私が17歳になる前日に発売されました。
今でも覚えています。
授業を終え、即帰路につき、途中のCDショップで購入。
地元に着きバーミヤンへ。
「ココナッツプリン」「杏仁豆腐」「ドリンクバー」を注文し再生。
1曲目の「かっこいいジャンパー」から持っていかれ、
その席から動けなくなりました。
全曲繋がっているアルバムではあるのですが、
特に「猫夏」から最後までの流れ、繋ぎに体がかたまったのです。
これはとんでもないアルバムが来たぞ、と。
翌年、電気GROOVEが好きなクラスメイトと友達になり、
「A」について話したところ、
やはり「あすなろサンシャイン」からの流れの話題になりました。
自分だけじゃなかった。
なんならこのアルバムを買った34万人は同じ体験をしたんだ。
知ってるんだ。
高校時代の自分にとって「クラスメイト」+「34万人」は
じゅうぶんすぎるほど「日本全体」でした。
もう、日本全体の人たちがこの繋ぎに触れたのだろう、と。
考えてみたらそうでもない、と思うまでに26年かかりました。
ずっと「あすなろサンシャイン」からの「Shangri-La」を
聴いてもらいたいと思っていたのに、
9の音粋がはじまって丸3年が経ち、4年目に入ってしまいました。
でも、ベストなタイミングかもしれません。
この2曲の流れは「夏」に聴いてナンボの爽快感。
そして、去年参加せてもらった
「ドリカムディスコ2022」で得たものが
1年かけて私の中でグツグツと育って、今回に至ったのです。
「時は来た。それだけだ!」
とはまさにこのこと。
DREAMS COME TRUEと電気GROOVEでいうと
石野卓球さんは「Shangri-La」について
「ドリカムを聞いているような人たちが
間違って買ったら面白いと思って作った」と話したとか。
卓球さんに言いたい。どっちも好きな人間もいるんだ、と。
そして、オンエアしてみて気づいたことプラスもう1つ。
「Shangri-Laのサビはベブ・シルヴェッティの
スプリング・レインをサンプリングしている」
これも「みんな知ってる」という前提に体と頭がなっていました。
オンエア上、スージーさんとちぐはぐになり、
SNS上も「それって、あれよね」みたいな空気になったのは
そういうことです。
どれだけ準備しても、生放送中に気づくこと、思いつくことがあったり、
放送を終えてから気づくことがあったり、
生放送はやはり楽しい。再確認しました。
ぜひ、タイムフリーでお楽しみください。
生放送を聴いたあなたもぜひもう一度!
そしてSNS上に番組のリンクを放ってください。
radikoの番組リンクというのは
ラジオ番組という桃源郷への入り口なんです。
思っている以上に大事…
いや、この番組リンクについて何か「思ってる人」は
少ないように思うな…。
「生放送に続いて2度目聴取」でも
「タイムフリーで初聴取」でも、どちらの方もぜひ
聴き終えたら感想とともにSNSへ番組リンクのシェア、
よろしくお願いします。
https://radiko.jp/#!/ts/BAYFM78/20230731210000
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