【ラジオの話】耳だけ退屈な時間

確定申告のシーズンです。
レシート、領収書、支払調書、
必要な書類と格闘していた10年前。
粛々と作業を進める上で
心を落ち着かせてくれたもの。
それは聴き慣れた音楽でも
テレビでもなく
「その日はじめて聴いた
 まったく思い入れのないラジオ番組」でした。

喋り声の主はTHE ALFEEの坂崎さん。
自分の体のうち
手と目が忙しい中で
耳だけ退屈している。
その「自分の耳」の相手を
坂崎さんはしてくれました。
自分の目と手は坂崎さんと
向き合っていないのです。
耳だけが坂崎さんと向き合い
楽しんでいる。

フィジカル、体は
やらないといけないことと向き合い、
メンタル、心は
楽しいものと向き合うことができる。

「ラジオ」の魅力のひとつで
他にない特異なものだと思うのです。

もちろん、全身で向き合う人がいていいし、
全身で向き合う番組もあっていいのです。
高校時代の自分にとって
「伊集院光のUP's 深夜の馬鹿力」は
まさに全身全霊を向けて聴き
ハガキ、FAXを送っていた番組でした。
人生を大きく動かした番組です。

このような番組は
雑誌やムックのラジオ特集で
何度も語られがちです。

だからこそ、人生を大きく動かさないけど、
日常に並走して、
耳のお相手をしてくれる番組の魅力を伝えたい。
支えてくれる人、企業を見つけたい。

「耳だけ退屈」という状況は
生活家電や機械の進化により
昔よりも減っているような気もしますが
まだまだ存在するはず。
いろんな人と会話する中で
そのような時間を見つけていきたいと思います。

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