SXSW 2021から読み取る7つの兆し ③AI Nation
3月に行われたSXSW Online 2021を振り返り、VISIONGRAPHが独自に読み取った7つの兆しをご紹介します。
Algorithm becomes King before we know it.
誰かが善意/悪意を持ってつくったアルゴリズムが社会をその形に変えていく
業務の効率化・無人化による労働力不足の解消、データの分析・予測など、AIが私たちの生活にもたらす便利さの具体的なケースでは、そのメリットばかりが強調されています。一方でデメリットについては、「AIが仕事を奪う」といったコピーは印象的ですが、本質をついていない議論が話題になっては忘れられて行きました。
専門家たちが昔から警笛を鳴らしていた、AIがもたらす本当の脅威。今、私たちにはその片鱗が見え始めてきました。フェイクニュース、デマの拡散といったわかりやすいものだけでなく、行き過ぎたターゲット広告・信用調査など、自分たちが意識できない所で「誰かに判断される」時代になっているのです。
効率化という”善意”を持ってつくられたAIが、結果的にある一定の人たちの差別・排除を助長するという現象が起きてくる、しかも気付かぬうちに。SXSWでは、これが本当の脅威だと気づくためのセッションが盛んでした。
SXSW 2021で発見した、AIの未来を考えるきっかけを与えてくれた兆し3選
①AI開発と個人のプライバシーはどちらが優先されるべきか
Session: AI and Great Power Competition
急速なAI開発が進む中国では、顔認証や位置情報などの国民の個人情報を収集・管理する事により、膨大なデータ処理能力と次世代の社会システムを構築し始めています。対して米国のような民主主義国家では、個人のプライバシーを尊重するためにAIによる社会管理システムの導入には慎重な態度が取られています。今後もし国家間の争いが激化し、個人情報の保護が不利益を生むようになった時、私達は自分たちのデータを提供したいと思うでしょうか?
②AIが人々の思想をコントロールするアルゴリズムの危険性 Session: AI Will Not Solve Your Nazi Problem
2020年の米国の大統領選挙では、インターネット上でのフェイクニュースや過激な思想の拡散が問題となりました。この問題にもAIのアルゴリズムが影響し、人々の分断を加速させているといいます。本当にフェアで偏りのないメディアは作れないのでしょうか?
③AIは差別のない社会を実現するか?それとも・・・ Session: Fighting Unconscious Bias in AI with Diversity
全ての人々を平等に評価するはずのAIも、実はその開発者である人間が持つ無意識のバイアスや社会環境に影響を受けているといいます。特に男性の科学者・研究者が多い業界で生み出されるAIは、男性寄りの思考になってしまい、女性やマイノリティの社会進出の妨げとなる危険性を含んでいます。
数ある事例から兆しを抽出し、未来のコンセプトをつくる
VISIONGRAPH Inc. / 未来予報株式会社は、イノベーションリサーチとコンセプトデザインを強みにした未来像{HOPE}をつくる専門会社です。SXSW Japan Officeとしても活動しています。
世界のイノベーティブな事例のリサーチや、コンセプトや戦略の設計、Futuristによる講演・勉強会の開催など、お気軽にお声かけください。
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