SXSW EDU2019に見る 子どもの未来 / iGeneration
教育に特化したファミリーイベント・SXSW EDU(サウス・バイ・サウスウエスト イーディーユー)。
日本からも教育関係の視察者が集う、人気イベントです。
今回は、SXSW EDU2019で上映される映画「Eighth Grade」から、子ども・子育ての未来について考えたいと思います。
実際にオースティン在住で二児の母である当社メンバーのAyaが、自身の子育ての中での課題感とともにお伝えします
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iGeneration - SNS ギニーピッグ世代
物心ついた時からスマホやiPadなどを使って育って来た1995年以降に生まれた世代のリサーチを進めている研究者達は、この世代をiGeneration (iGen)と呼んでいるらしい。
私の子供2人ともまさにiGenで、上の娘は最初のiPhoneが発売された2007年生まれ、スティーブ ジョブズのあの有名なiPhone発表の年だ。
親は自分自身が育った環境やその経験を羅針盤 に、取説のついてこない子育てをする。私の世代が子育て真っ只中の現在、スマホを始めとするdeviceをベイビーの時から普通に与えられ、多くの子供がビデオゲームやdeviceに没頭する現代の子育ては前例が無いだけに今後どんな影響が出てくるのか未知の領域である。
私の娘は11歳だが、彼女の友人の多くがスマホを持っている。その中にはインスタをやっている子も多い。より安全なインターネットの使いかたなどについてあまり干渉しない親が多数派を占めている様子だ。スマホを子供が持ってくれていると親は安心だからという理由がほとんどだ。
スクリーンタイムと子供の精神衛生との関係
アメリカでも子供のインターネット使用時間と、うつ病、不安障害、社会性の欠如などの精神衛生問題との関わりについてのリサーチがここ数年大きな話題になっている。1年ほど前から”Screen Agers"というドキュメンタリー映画が多くの地元の小、中、高等学校で無料で公開されるようになり、この前代未聞のデジタルエイジ子育てのナビゲートの仕方をより多くの親に考える機会をコミュニティーぐるみで与えている。
今年SXSW EDU(3 /4 - 3/8)でも上映される、2018年夏に公開された: Eighth Grade では14歳のシャイな女の子(ケイラ)が、’なりたい理想像’と’現実の自分’の狭間で不器用に苦しんでいる様子が上手に描かれている。この映画の中で中心的な役割を果たすのが’ソーシャルメディアの存在’で、自分の理想像(外見も中身も)をSNSに頑なに掲載し続けるケイラの姿がある。家に帰ると優しい父親(父親と2人暮らし)が世話を焼いてくれているにも関わらず、ケイラはスマホやパソコンばかりしている。
SNSなしで育った大人でもタイムラインに上がってくる友人達の完璧にキューレートされたキラキラ生活の断片ばかり見ていると、時によっては気分が落ち込む事もある。オンライン上での自分の価値に重きを置くようになると、現実とオンライン世界の両方で、ストレス量が倍増される危険性がある。
シリコンバレーのママパパは子供にスマホを与えない?!
最近ママ友パパ友の間でも話題になっているのが、所謂シリコンバレーに勤め、どうやったらより多くの人・子供がなるべく長い時間スクリーンを使い続けるか、という研究開発を手がけてきたようなテック系の親達が、自分の子供にはiphone、iPad, ビデオゲームなどを与えない親が多いというリサーチが幾つか出版された。Silicon Valley parents are raising their kids tech-free
物事の多くがそうであるように、世の中の便利なもの素晴らしものには反面がある。インターネット、スマホの世界に子供が足を踏み入れる時、使用する際のルールを決め、ネットの長所と共にそれがもたらす危険性も頻繁に会話できる環境づくりが大切ではないかと痛感している。
おまけ:スマホ使用契約書のススメ
私も色々と考えた結果娘がこちらの中学(6th grade - 11−12歳)に入学する際に、彼女の友人ほとんどスマホの中、10年前は『カッコよかった』Blackberryを以下の条件をつけて渡すことにした:
ー夜8時半以降は使わない
ー充電はリビングエリアの決まった所以外でしない
ー面と向かってその人に言えない事はテキストで送らない
ーネガティヴな(特に他人に対しての)内容をテキストで送らない
このときに大事なのが、この約束事を言い渡すとき上から目線で『これをとにかく守りなさい!』ではなく、一つひとつのルールについて何故それを守ることが大切なのかというバックグラウンドを説明する。子供は『自分を守るためにある』とちゃんと理解できた親との約束事は守る傾向にあると思う。
未来予報株式会社
未来像<HOPE>をつくる専門会社。大手メーカーやスタートアップとともに、リサーチに基づく未来のストーリーやビジュアルを作り出している。日本唯一のSXSW公式コンサルタント。
『10年後の働き方』(インプレス社)を発売。培養肉マイスター、バイオ衣装デザイナー、3Dプリント建築家など、世界で実際に進められているプロジェクトから、50の未来の職業を提示した。Amazon情報・コンピュータ産業カテゴリーでベストセラーを獲得。その活動がBRUTUSやAXIS、WIREDなどメディアに取り上げられている。虎ノ門ヒルズ・六本木ヒルズ、日本財団ソーシャルイノベーションフォーラムなど講演活動多数。
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