SXSW 2021から読み取る7つの兆し ⑥Intersectionality
3月に行われたSXSW Online 2021を振り返り、VISIONGRAPHが独自に読み取った7つの兆しをご紹介します。
Intersectionality: Beyond Ism
社会の歪みをインターセクショナルな枠組みで理解する
インターセクショナリティとは、性別・人種・社会階層・貧富・セクシャリティ・能力・障がい・身体的特徴など、個人が持つアイデンティティの一面だけにフォーカスすると一見差別がない、もしくは差別が是正されているように見えるとしても、複数の属性が交差するところで特有の抑圧があることを理解するための枠組みのこと。
元々はブラック・フェミニズムから生まれてきた概念で、人種差別では黒人男性が、女性差別では白人女性が問題の対象として取り上げられやすいため、黒人女性への差別問題が取り残されてきたことを考える視点として生まれました。
現代で言うと、例えばフェミニストがトランスジェンダーを批判・嘲笑したりする場合、インターセクショナルな視点が足りないと言えます。アメリカ社会で、アジア系人種に皮肉を込めてつけられた「モデルマイノリティ(=マイノリティのお手本)」という言葉にも表れています。
個人のアイデンティティが複雑化、多層化する世界では、各個人の視点がより重要になってくると考えるべきです。たとえ同じ女性であっても一括りにはせず、それぞれ違う被差別体験があると互いに理解しあうべきでしょう。
これからの時代、DiversityやInclusiveを尊重した相互理解の世界を実現するためには、Intersectionalな視点が必須になってくるでしょう。
Futuristが考える、Intersectionalityの未来予報: 様々な人の被差別体験をVRで体感し、本人の立場で考える授業が必修科目に。
「抑圧される被差別者」と「特権階級」の現実世界の構造を未来に持ち込まない為には、全ての人がインターセクショナルな視点を身に着けるべきです。
年齢・性別・出自・人種などで自分を規定せず、「男だから」「白人だから」「お金持ちだから」と他者を一括りにせず、社会にどんな人がいてどんな差別があるのか、体験的に知る学びの機会が必要ではないでしょうか。
SXSW 2021で発見した、Intersectionalityの未来を考えるきっかけを与えてくれた兆し
AI開発におけるIntersectionalityな視点の重要性 Session: Intersectionality and Design for Responsible AI
現状の差別構造や権力構造から脱却した真に公平な社会システムを構築していくために、今後AIが社会に与える影響力が次第に強くなっていくであろう中で、AI開発においてもIntersectionalな視点が重視されています。
VR空間はIntersectionalな視点を学びやすい!? Session: Out of This World: Fashioning the Metaverse
VR空間では、肉体と離れたより自由で制限のない(自分で容姿やジェンダーなど決められる)世界で生きる事になります。それが良い方向に働くこともあれば、現実の差別思考が表れる事で、悪影響となる可能性も高いのではないでしょうか。その危険性を認識した上で、どのようにメタバースのプラットホームを作り上げていくかが議論されています。
数ある事例から兆しを抽出し、未来のコンセプトをつくる
VISIONGRAPH Inc. / 未来予報株式会社は、イノベーションリサーチとコンセプトデザインを強みにした未来像{HOPE}をつくる専門会社です。
SXSW Japan Officeとしても活動しています。
世界のイノベーティブな事例のリサーチや、コンセプトや戦略の設計、Futuristによる講演・勉強会の開催など、お気軽にお声かけください。
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