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満ちてゆく、3月。

3月。
一大めんどくさイベントの確定申告が終わって
娘たちのダンスの発表会も2公演終わり
この後は長女の卒業式、息子の卒園式と控えている。

3月は毎年何かと忙しいものだが、今年はより一層心も体も落ち着かない。
「未来ちゃんはいつもどっしり構えていて堂々としている」と言われるがとんでもなくて、しょっちゅうソワソワクヨクヨモジモジしている。
今年の3月はそのソワソワクヨクヨモジモジに磨きがかかってしまう。

長女が中学校に入学する。
いつでも“我が子の成長”の先陣を切って歩んできた彼女の強さは、下の子たちの“今”を見ていて度々思い知らされる。
しっかりしている彼女に甘えてきた。
しっかりせざるを得ない環境をつくってしまった。
申し訳ない・ありがとうと思う気持ちをよそに、段々と思春期に差し掛かる彼女とのやり取りはどこかぎこちなくなっていく。
面と向かう時間が少なくなっていく。


私は残念ながら、子どもの成長や成功が自分の生き甲斐になるような、甲斐甲斐しい母親ではない。
だけど子どもにとっての節目は親にとっても大きな節目であり、子どもたちから滲み出る不安を感じとってしまう。

これからどんなことが起こるの。
これからどんな生活になるの。
これからどんな大変なことが待っているの。
怖い。不安。怖い。不安。怖い…

そんななか、先日長女が踊った発表会のナンバーが、優里の「ビリミリオン」だった。

何十回立ち止まっても
それでも僕を諦めない
僕が生きる理由は
僕が決めるから
僕らが生きる時間は
決して安いものじゃないから
後悔しない選択を選んで欲しいの


―4年前。
癌で2ヶ月入院した後、さらに追加で抗がん剤治療を提案されていた。
しかしあまりに辛い治療に心が挫けそうになっていて、治療を続行するか迷っているとき、長女にそれを正直に話した。
すると、彼女はこう答えた。

「頑張っているのはママだから、後悔しない選択を選んでほしい」

そう言いながら泣いていた、当時小3の長女。
その後、追加治療も含め半年かけて全ての治療を終えた。
そしてやっと私が自宅に戻り、始めたダンス。

4年後、あの時の言葉に乗せて、長女は軽やかにステージで舞っていた。
4年前の言葉がリフレインして、涙が止まらなかった。

とっくに雨は止んでいるのに、わたしは傘をさしたままだった。
あなたはもう、これからの未来を楽しむ準備はできている。
不安で怖いのは、子どもじゃなくて、いつだって親である私の方だった。

ごめんね。
もう大丈夫。
何も心配いらないよ。

あなたが生きる理由は、あなたがちゃんと決められる。
あなたの時間を何に費やすかは、あなたが選んでいい。
だけどいつでもあなたを愛し、見守っているよ。
それでも迷ったときは、いつでも手を差し伸べるよ。

そう言いながら、そっと手を離すときが来たんだと思う。


「頑張っているのはあなただから、後悔しない選択を選んでほしい」

今度はこちらがふっと背中を押してあげられる存在でありたい。
母親の役目としてではなく、ひとりの大人として。


3月。
別れがあるからこそ、出会いがある。
手放すからこそ、満ちてゆく。

新たな門出を迎えるすべての親子の、幸せを願って。

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