長さの単位の話(看板屋さん編)の2 サンスケからBIMへ
群馬県高崎市の「あなたの街の看板屋さん」未来社の「中の人」でもあるHMです。
「サンスケ」と呼ばれる定規があります(ました?)。「三角スケール」の略で、サムネの画像のものです。学校で使う「三角定規」とは別のものですし、銭湯にいた職業の方とも異なります。
トレッシングペーパーに鉛筆で図面を描いていた頃は、図面を描く人も読む人も必需品でした。
縮尺ごとに目盛りがふってあり、縮尺の異なる図面を見るときに、いちいち計算しなくとも長さのわかる便利な定規です。
ちなみに看板屋さんを含む建築関係が使う縮尺は、1・2・3・5がメインです。
全体を 1/50 や 1/20 で描き、詳細を 1/10、1/2 で補足するてな感じです。
1/6 とか 1/7 は使いません。だって割り算すると端数が出て面倒ですものね。3も割り切れない数ですが、「尺寸」と相性が良いので使いやすい縮尺です。
また、不動産屋さんや土木関係の方は規模が大きいので、1/250 とか使うようです。
そんな便利な「サンスケ」も、いまや設計者・デザイナーの抽斗(ひきだし)の片隅に追いやられています。営業マンも持ち歩く姿は見かけません。
デジタルの時代です・・・
看板屋さんのデジタルは、写真や色の情報も含む「意匠(デザイン)」を扱うのがメインのため、CAD(キャド、製図ソフト)は使わず、データはイラレ(Adobe Illustrator)で作成します。
イラレに縮尺の概念はないため計算が必要とはいえ、それでも画面上で数値入力して作業するので定規を使う習慣がなくなりました。
(最近、イラレに寸法線が簡単に引ける機能が追加されました。便利です。)
なんて、デジタル化100%みたいな話しをしていますが、営業マンの中には、A3 の図面を A4 で縮小プリントして「これのサイズは大体どれくらい?」と尋ねられることが多々あります。縮尺もなにもあったものではありません。「『だいたい』でよければ A3 でプリントして「サンスケ」であたれ」と怒鳴りたいところですが、小心者の私にはそれができず、データを立ち上げ『これ』の数値を確認して計算して教えてあげます。とほほ ←愚痴ここまで
知り合いの現場監理の方は図面を持たず iPad(タブレット)一択で仕事をされていますし、生成AIがますます便利になるなどデジタル化は進歩を止めません。
さて、看板屋さんであろうが、常に変化・進歩を追いかけなくてはいけないことを裏付ける記事を見つけました。
大阪万博でパビリオン作ろうとしたら、図面すらみれなかった日本のデジタル環境。正確にはBIM(ビム・3次元データ)が見れる環境が日本になかった、というお話しです。
無料のJW CAD を筆頭に CAD(キャド・2次元データ)がメインの日本では BIM を使える人材も少ないようで、記事では「『技術の日本だから』なんてあぐらかいてて、実は日本の技術者って、すっごいレベル低いんだよ。世界を知らないだけ」と締め括っています。
これに関しては「無料の JW CADソフトの罪、もしくは高価すぎる BIMソフトの罪」というお題で別の機会に書きたいと思っていますが、いずれにしても身が引き締まります。
今日はこの辺で みなさん!ご安全に〜!
HM