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【イベントリポート】東工大起業家のホンネ 起業から大企業グループ入りを経て身につけた事業感覚、キャリア戦略

みらい創造アカデミー開講!第一回 Guest:FIVE株式会社 松本大介さん

「みらい創造アカデミー」は、東工大関連ベンチャーキャピタルキャピタルであるみらい創造機構が運営する、東工大生向けのキャリア教育アカデミーです。
■ 大企業/スタートアップ/若手研究者を招待した講演会
■ 進学/就職に活かせるキャリア教育コンテンツ
■ 人文社会系学生との交流支援
などを中心に、東工大生が社会に羽ばたくための「あったらいいな」を提供しています。

記念すべき第一回のゲストは、FIVE株式会社でVP of Product(プロダクト責任者)を務める松本大介さん。

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Co-founderとして立ち上げた会社がLINE社に買収された経験をお持ちの松本さんに、「起業から大企業グループ入りを経て身につけた事業感覚、キャリア戦略」と題して
■普通の東工大生だった松本さんが起業し、事業を運営する考え方を身に着け活用する方法
■そこから見えるキャリア
■新卒2-3年目までにこういう考え方ができると視野が広がっておススメ
という内容でお話頂きました。

なぜ起業するに至ったのか?

大学院でソフトウェアエンジニアのアルバイトを経験し、ソフトウェア開発に一定の自信を得た松本さん。新卒入社後、スタートアップへ転職しました。
理由はスピード感。松本さんは研究室生活においても、成果が世間からのフィードバックをもらうまで、そして実用化までは5~10年の時間がかかることを辛く感じていました。自分が作ったものがすぐに顧客に評価され、即日売上を生む。その世界に圧倒的に魅力を感じ、転職。
そしてそのスタートアップを退職した際、
▶普通に転職
▶起業する
の選択肢から、せっかくなら面白そうな方をということで起業を選びました。

スタートアップで働くことの最も大きな魅力は?

スタートアップは業務量は多く、多くの報道ほどキラキラしていないと松本さんは言います。しかし、スタートアップは大きな課題に真剣に向き合い続けており、スタートアップ環境で生き残っている人たちは基本的に強い。
スタートアップで働くことの最も大きな魅力は、ぐちゃぐちゃな環境で結果を出すことによる圧倒的な戦闘能力の向上です。そして「正しい」スモールチームであれば、圧倒的に視野が広がります。ここで「正しい」とは「倫理に反していないこと」「世の中に価値をだすために行動していること」「急成長していること」です。

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事業活動を科学する

松本さんは、東工大生は「売ること」よりも「作ること」を得意とする人が多いと思うけれども、エンジニアだからこそ、理系だからこその”科学的な”事業運営ができると言います。
事業の戦闘力を上げるには、事業構造(お金の流れ)を定量的に把握し、事業の課題や進捗を数字をつかんで定量的に解像度高く捉え、これらの定量的データを集めきった先に、意思決定おける直観の意味が出てくる。事業における仮説検証のスピードを上げていくにも定量的根拠を集める必要がでてきます。
DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中、事業に対する科学的なアプローチの重要性は高まっており、理系のスキルが求められています。

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エキサイティングな世界を体験してほしい!

今後社会人となるみなさんも、自分で事業を運営する経験をしてみてほしい、こんな面白い世界を知らないのはもったいない!と松本さん。
理系(オタク)人材は「高専/大学→(大学院→)大企業でR&D」という進路が非常に多いけれども、ぜひ「自分で作ったものでお金を稼ぐ」経験をしてみてほしい、と言います。開発を受注するのではなく、自分の意志で、主体的に世の中の新しい仕組みを考えて実装し、それに対して世間からフィードバックをもらう、そんなエキサイティングな働き方をぜひ知ってほしい。正しいスモールチームで、自分の視野を広げ、スキル・戦闘力を高めていってほしい、と締めくくりました。

参加者のみなさんからの質問とその答えを一部紹介します。

Q.なぜレモンの画像なんですか?
A.梶井基次郎の「檸檬」という小説が好きで。病んだ若者が京都の町を練り歩く、シュールレアリスムのおすすめ小説です!

Q.マネジメントをやろうとするとエンジニアとしてスキル向上に使える時間が削られてしまうのでは?個人的には20~30代は技術力を向上をさせて長期的にインパクトを生む存在になりたいと思っています。
A.私の場合は、技術に集中していた時期もありましたが、実際に事業を動かす経験をするとそちらの方が好きだとわかりました。技術的バックグラウンドは長所だと認識していて、事業と技術のどちらに軸足を置くかは好みの問題だと思っています。

Q.起業したいけれど、何で起業したらいいかわかりません。
A.理由は後付けでいいです。実際の起業家の人でも、後で考えたらそうだった、という人は多いです。起業が目的でもいいと思うが、世の中に価値を与えるためにやってほしい。目に見える割と小さな問題から取り組んでみると、自分が得意なことや本質的な問題が見えてきます。

Q.スタートアップを始めたときにメンバー集めと資金調達はどうしましたか?
A.メンバー集めは基本リファラル。大学の先輩や同期に声かけしました。社会人経験がある人なら、仕事をしていく中でイケてると思った人に声をかけていくイメージです。資金調達については、当時スマホの動画広告は最後のフロンティアだと言われていたので、そこに投資すべきだし、技術的に可能ということを投資家へ伝えていきました。

Q.人脈やネットワークを作るため、コミュニティ等にどのように参加していますか?
A.苦手分野なのですが、エンジニア系だと勉強会でイケてそうな人に声をかけていきました。学生だと、積極的に社会に出ている人は少ないので、挑戦していたり、アウトプットしていると目に留まる可能性が高いと思います。

研究、起業、事業売却、大企業グループでの事業運営などご自身の経験から、社会人が聞いても非常に濃密で示唆の深い内容でした。また、質疑応答にも好きな書籍から資金調達、VCとの付き合い方についてまで、気さくに答えて頂き、学びのある会となりました。

みらい創造アカデミーでは、これからも経験豊富な東工大の若手の先輩を中心に、東工大生がキャリアを考え、より良くするコンテンツを提供していきます。月二回程度の開催を予定していますので、東工大生はぜひご参加ください!

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