重任登記の解説!放おっておかない!株式会社設立後の手続き
重任登記とは?
株式会社の役員には任期が定められています。そして、任期の満了と同時に同じ人を再任することを重任といいます。
任期は一律で決まっているわけではありません。
会社法上の原則では役員の任期は2年とされていますが、一般的な非公開会社の場合は任期を最長で10年まで伸ばすことができます。役員が代表者のみの会社や家族経営の会社は任期を10年としているところも多いのではないでしょうか。
ちなみに非公開会社とは会社法第2条の公開会社の定めと逆のこと、発行した株式の全部又は一部の譲渡について会社の承認が必要だとする定款の定めを設けている会社のことを言います。自分の会社はどっちかな~と思った方は、株式会社であれば、定款の中に役員の任期に関して記載する項目がありますので、確認してみてください。
重任登記をしなかったらどうなる?
会社法上、「会社の登記事項に変更が生じた場合、2週間以内に変更登記を申請しなければならない」と定められています。
役員の重任は、この「会社の登記事項の変更」に該当しますので、原則、変更があってから2週間以内に重任登記をする必要があります。
登記を怠った際は、会社法第976条の「過料に処すべき行為」の1号「この法律の規定による登記をすることを怠ったとき。」に該当し、本来登記すべき期限を過ぎてしまうと100万円以下の過料が科される可能性があります。
計算方法などが明確になっているわけではないので、一概にどのくらいの期間過ぎたら過料が、いくら科されるとは言えませんが、本来登記すべき期間から離れて行くほど科せられる可能性が高まり、金額も大きくなる事例が多いです。この場合、会社ではなく代表者個人に対して過料が科せられます。
株式会社の場合は、役員の重任登記をしないままでいると、最後に登記をした時から12年を経過したとき、その会社は休眠整理作業の対象となります。その後も登記又は事業を廃止しない旨の届出をしない場合には、解散したものとみなされ、登記官の職権により解散の登記がされることになります。これをみなし解散といいます。
過料が科されたり、会社を解散させられたりと放おって置いても何も良いことが有りません。繰り返しになりますが、会社役員の方は定款の確認をして、自分の任期がいつ終わるのかをご確認ください。また、これから株式会社を設立しようという方も、重任登記が必要だと言う認識で設立手続を進めて下さい。
重任登記の手続方法の一例
登記の申請は法務局で行います。重任登記といっても、様々なケースがありますので一例を挙げて解説します。
役員は代表者1人
任期10年
取締役会の設置はなし
任期満了後再任
代表取締役を株主総会決議で選定
こちらのケースの場合、4種類の書類が必要となります。
株式会社 変更登記申請書
株主総会議事録
株主リスト
就任承諾書
この他、司法書士に申請の代理を依頼する場合は委任状も必要です
1つ目の書類、株式会社変更登記申請書には法務局に届け出た会社実印を押印します。代表者ではない人が代理で申請をする場合は、代理人本人の住所氏名を記入し、代理人の認印を押印します。代理人による申請の場合は会社実印の押印は不要です。基本的に代理人は司法書士が行います。
この申請書には収入印紙貼付が必要です。資本金1億円以下は登録免許税1万円、資本金1億円超は3万円の収入印紙が必要です。
株式会社 変更登記申請書の様式は、法務局のホームページでダウンロードできます。
2つ目の書類である株主総会議事録には、選任決議によって取締役および代表取締役を重任した旨を記載し、代表取締役は会社実印を押印します。
もし、株主総会議事録の中に、選任された役員の本人が就任に承諾した旨を記載すれば、4つ目の種類 就任承諾書の添付は不要です。
この場合,変更登記申請書に,「就任承諾書は,株主総会議事録の記載を援用する。」と記載してください。
これらの書類を用意しましたら、管轄の法務局に提出もしくは郵送し審査を受けます。提出した内容に不備がなければ、これで手続きは完了です。
本来なら役員の任期満了前に重任登記が必要ですが、10年に一度といった場合ですと、どうしても忘れてしまいがちです。また、今回紹介したの必要書類はあくまで一例です。役員の数や、取締役会設置の有無など様々なケースが存在し必要書類も変わってきます。会社の定款を確認し、もし役員の任期が近かったら、お近くの司法書士や法務局に相談してみてください。
建設業や不動産業など許認可が必要な業種の場合は要注意
役員の任期を過ぎてしまった場合は、当然、重任登記が必要なんですが、もし、会社が建設業や不動産業など許認可が必要な業種の場合は重任登記の他に、許認可の要件に合わせて何かしらの調整や手続が必要になる可能性が有ります。
本来なら令和元年に重任登記が必要だとします。そして、令和3年になって、重任登記が必要な事に気が付いたとします。
そして、重任登記の手続をする際の書き方によっては、登記をしなかった約2年間と、許認可の書類上の役員の記載事項に違いがでる可能性が有ります。こうなると、許認可を受ける際の必須要件にも差異が出てしまう可能性が有り、許認可の取り消しに繋がる可能性も出てきます。
まとめますと、役員の任期が過ぎてしまった、更に現在、建設業や不動産業など何かしらの許認可を受けている。この場合は自力で申請ではなく、許認可の専門家である行政書士に相談の上で、司法書士に重任登記のを依頼するようにすることをお勧めします。
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