中小零細企業にとって2023年の最大の出来事はインボイスになる!登録事業者になるべきか?【税金のコラム】
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この記事は2022年5月に作成しておりますが、インボイス制度について世の中全体に「未だ先だ~」という雰囲気を感じております。1年半先の準備よりも明日の売上というのは、新型コロナウィルスの影響で苦しむ経営者が身近に居ることから理解できますが、企業の財務にとって事の次第では追い打ちを掛けるような出来事になるのがインボイス制度です。
事業の減益に繋がりかねないにも関わらず、名前も英語を用いているし、税務署や政府の説明・PRも何となく弱く、本来なら国内経済にとって重要な出来事になるのは間違い無いのです。今回は特に中小零細企業がインボイス制度と向き合う際の肝となる「適格請求書等発行事業者=登録事業者」になるべきか否かに焦点を当てて解説したいと思います。
消費税計算の仕組みとインボイス制度のおさらい
現在行われている消費税額の計算の基本は、売上代金と一緒に受け取る消費税『課税売上に係る消費税額』から、仕入代金に含まれている消費税『課税仕入れに係る消費税額』を差し引いて計算します。
例えば、商品1個を販売し売上110万円(税込み)を計上したとします。この売上には消費税10万円が含まれ、これを預かった消費税と言います。この商品の仕入れるための代金を55万円(税込み)とします。この支払いには消費税額の5万円が含まれ、これを支払った消費税と言います。預かった消費税から支払った消費税を差し引き、消費税額5万円を納めます。
【計算式】
預かった消費税:10万円ー支払った消費税:5万円=消費税納付額:5万円
では、インボイス制度についておさらいです。先程の例の様に、預かった消費税からー支払った消費税を差し引くこの計算を「仕入税額控除」と言います。現行の制度では仕入先が消費税の申告義務の有る課税事業者か、申告義務の無い免税事業者かを問いません。つまり、消費税を納めるための計算に当たり、仕入先が免税事業者だった場合、仕入先は消費税を納めていないが消費税が含まれているものとして計算できます。
インボイス制度とは、今後「支払った消費税」は課税事業者からの仕入しか認めない!とする制度です。よって、先程の計算式を例にすると、インボイス制度が始まり、仕入先が免税事業者だった場合…
【計算式】
預かった消費税:10万円ー支払った消費税:0=消費税納付額:10万円
…となります。課税事業者からの仕入れであることを証明するためには、請求書の発行者の識別番号が記載された「適格請求書等」の保存が必要になります。そして、適格請求書等発行事業者になるには予め登録申請を行わなければなりません。
免税事業者への影響
取引先が課税事業者であれば、ほぼ間違いなく「今後も取引を続けたければ適格請求書等発行事業者=登録事業者になってください」という旨の依頼が来ます。そうなると免税事業者から課税事業者となる選択をして適格請求書等発行事業者になることになります。
これまで消費税の申告義務の無かった事業者が消費税の分だけ負担が増えることになります。おそらく全国的に見ても個人事業者の割合が多い建設業や飲食業にとっては税負担はかなり大きくなると予想されます。更に、これまでの所得税確定申告に加えて消費税申告が必要になるので事務負担も増えることが予想されます。
業種別…免税事業者であり続けることは損か?得か?
飲食店の場合…
これは「客層」によります。つまり、お客さんがインボイス制度に準拠した請求書・領収証を必要とする事業者かどうかで対応が変わります。
『住宅街の飲食店』は、個人・家族連れ等の事業者以外の方が主な客層と思われます。この場合は免税事業者であり続けてもダメージは少なそうです。しかし、オフィス街に出店してい飲食店は、会社の接待・慰安などで利用することが多くなり、インボイスを必要とする事業者が多くなりそうです。接待や業務上の慰安で使われやすい立地の場合は、免税事業者のまま、インボイスを発行しない店でいますと客が他の店(インボイス発行店)に移る可能性があります。
建設業の場合…
一人親方・小規模な建設業者の場合は免税事業者の方も多いと思います。
取引先が同じ建設業者・不動産業者・その他一般企業など事業者の場合は、取引先が課税事業者であればインボイス制度適用の請求書や領収証を求めてきます。この場合は登録事業者、つまり課税事業者にならないと、取引継続・単価等の変更を迫られる可能性があります。課税事業者への変更を躊躇い、未だ判断ができていない場合は2022年中に取引先との相談が必要です。
その他の事業の場合…
飲食業と建設業の例で上述した通り、免税事業者の方は取引先が個人か事業者かで判断をすることになると思います。都市部に多い個人の大家さんもテナント貸しなどを行っているのであれば2022年中に対応を決めて借り主に表明しないとトラブルになりかねません。
インボイス制度を税理士2名が詳しく解説してます!
調査官経験もある国税OB税理士&地域密着型税理士がインボイス制度について動画で詳しく解説しております。是非こちらもご覧ください!