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扶養の範囲はけっきょくいくら?扶養には税と社会保険の2種類が有る!

令和4年も残り2ヶ月となりました。年末調整・確定申告と何かと「扶養」という言葉に触れやすいこの時期に、皆さんの疑問にお答えしたいと思います。

テーマの通り税金と社会保険の両制度に扶養という考え方が有ります。税金の扶養は扶養する人の税金が安くなる制度のこと。具体的には所得控除ができる制度です。社会保険の扶養は、扶養されている人は社会保険料を負担しなくてよくなる制度のことで、扶養する人の社会保険料が安くなるというものではありません。

更に会社員や公務員など給与をもらっている方が加入する厚生年金と健康保険には扶養がありますが、国民年金・国民健康保険には扶養という考え方は無いです。国民健康保険はそれぞれの収入に応じて保険料を納付します。国民年金保険料は定額です

税金の扶養

先ず、税金の扶養の話に入る前に、収入と所得の解説から致します。
収入とは必要経費差し引く前のお金のことです。
個人事業者なら売上に当たります。会社員なら給与の何も引かれていない額面部分の事を言います。

所得とは収入から必要経費を差し引いたものです。事業者なら売上から必要経費(仕入や人件費など)を引いたものが事業所得となります。
売上ー必要経費(仕入や人件費など)=事業所得

会社員なら給与収入から給与所得控除をして残ったものが給与所得となります。
給与収入ー給与所得控除=給与所得
給与所得控除とは、給与をもらっている方にも仕事に必要な自己負担の経費が有るだろうという考えから、給与収入額に応じ概算で出したものです。国税庁のホームページでは給与収入ごとの給与所得控除額の表が確認できます。

税金の扶養 【扶養控除】

本題に入りましょう。税金における「扶養」は生計を一にする、年間の所得が48万円以下の配偶者か親族です。扶養に入れられる親族の範囲はこちらの図を御覧ください。また、16歳未満の親族は扶養に入れません。これは児童手当を受給できるためです。

生計を一にするとは、生活の面倒を見てもらっていることを言います。同居以外にも仕送りをしてもらっている家族も対象です。
年間の所得が48万円以下とは給与収入で換算すると103万円以下です。
公的年金の受給額で換算すると65歳未満の方だと108万円以下、65歳以上の方だと158万円以下が扶養の対象になります。

もし、扶養に入れている方が年間の所得で48万円を超えている場合、給与収入のみで計算すると103万円を超えている場合は、扶養から外れます。
例えば大学生のお子さんがお父さんの扶養に入っていたとします。お子さんがアルバイトを頑張りすぎて令和4年の給与収入が110万円になったとします。この場合、令和4年についてはお父さんの扶養から外れてしまいます。しかし、次の年のアルバイトの収入が80万円だったら、令和5年はお父さんの扶養に入ります。

税金の扶養 【配偶者控除と配偶者特別控除】

配偶者については少々扱いが変わります。
配偶者も年間の所得が48万円以下、給与収入で換算すると103万円以下であれば配偶者控除の対象になりますが、年間の給与収入が103万円以上でも配偶者「特別」控除が受けられます。配偶者の給与によって段階的に控除額が下がりますが、給与収入が約201万円までは配偶者特別控除が受けられます。

更に、扶養をする方の年間の合計所得額が1000万円を超える方は配偶者控除、配偶者特別控除共に受けられません。
青色申告者の事業専従者として給与をもらっている方、白色申告者の事業専従者の方も扶養に入れません。

社会保険の扶養

ここでは社会保険の扶養の話をします。
本題に入る前に、社会保険における収入の考え方についてお話します。税金では主に所得の額を基本として扶養に入れるかどうかの判断をしておりましたが、社会保険では収入の額を元にして判断します。収入の中には基本給はもちろん、残業代や賞与、通勤手当等も収入に入りますのでご注意ください。

社会保険において扶養に入れる方は、扶養をする人に生計を維持されて年間収入が130万円未満の方が対象です。
扶養の対象者が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満となり、被保険者(扶養をする人)の年間収入の2分の1未満である場合になります。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3160/sbb3163/1959-230/

また、扶養に入ることができる親族について、直系尊属と言われる父母・祖父母・曽(そう)祖父母、配偶者、子、孫、兄弟、姉妹の場合は同居せず仕送りなどでも扶養していると見なされます。それ以外の親族の場合は同居することが必要です。どの様な親族が対象になるかは少々複雑になります。全国健康保険協会のホームページに社会保険制度上で扶養に入れられる親族の範囲の図がありました。下記リンクの下段をご確認ください。

令和4年10月以降 短時間のパート・アルバイトでも社会保険の適用対象者が増えます

上記が原則ですが、収入が年間106万円の方は注意が必要です。令和4年10月から短時間労働者の社会保険の加入義務の適用範囲が拡大されました。

令和4年10月以降、勤務先の従業員数が100人超の会社にお勤めの方で
・週所定労働時間が20時間以上(週の労働時間が40時間の会社の場合)
・月額賃金が8.8万円以上
・学生ではない(休業中・夜間学生を除く)
これらに当てはまるからと言って即社会保険に加入という訳ではありませんが、加入義務が発生してしまう「可能性」があります。

従業員数100人超の基準が、正社員、フルタイムのパート従業員、フルタイムの方と比べて週当たり4分の3以上働いている従業員とこれらに当てはまる従業員が100人超ということなので、短時間勤務の方は含みません。よって、100人超が働いている企業だからといって必ず対象となる事業者であるとも限りません。

自分の勤務先はどうかな~とご不安な方はお勤め先に質問してみてください。経営者の方であれば社会保険労務士にお尋ねください。

動画でも詳しく解説しております


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