雇用保険料と介護保険料…そして一部の健康保険料率がUPします!
雇用保険料率がまた上がります。令和4年から2度にわたり上り、令和5年度4月分からまた上がることになりました。介護保険料も上がります。そして都道府県ごとに料率の違いがありますが健康保険料率も一部の地域で上がります。
サラリーマンにとっては税金よりも負担額が大きいのがこれらの社会保障に関する出費ではありますが、何故か関心の薄いテーマです。是非、ご自身の給与にどれくらい影響するのか?給与明細を確認しながら御覧ください。経営者の方は自分の役員報酬はもちろん、会社の資金繰りに影響する内容になりますので経営上の情報収集としてお役立てください。
雇用保険料率
先ず雇用保険から解説いたします。雇用保険と言えば会社員が仕事を辞めた時にもらえる失業保険が有ります。雇用保険の目的は「労働者の生活及び雇用の安定と就職の促進」です。
失業保険の他にも、出産・育児・介護等により継続して働けなくなった時の給付金も雇用保険から支給されます。会社員の給与から天引きされている分と会社で負担している分が雇用保険の財源となっております。
この保険料を積み立てして、失業・出産・育児・介護の休業をした方への給付に宛てます。この他、会社のみが負担する保険料が有り、同じく積み立てをします。これを雇用安定資金と言い、雇用を維持するための助成金や雇用者の教育訓練などの財源に充てます。
雇用保険料率アップの背景
何故、今回の雇用保険料率がアップされたのでしょうか?
令和2年中から新型コロナウイルスの感染拡大と、これに対処するために繰り返し出された緊急事態宣言やまん延防止などの感染防止策、外出の自粛などで国内の経済が大きく停滞しました。この影響で失業を抑えるために企業に対して行った雇用調整助成金などの支援、更に失業者が増えたことで失業保険の支給額も大幅に増えています。これらの財源が先程お話した雇用保険料です。助成金や失業保険の財源の為の積立金や雇用安定資金が減ってしまったので今回の雇用保険料率のアップとなりました。
では、どれくらい上がっているかと言いますと…下記の「一般の事業」の料率を参考にお話します。
令和3年…労働者負担:3/1000|事業者負担:6/1000
令和4年の4月以降…労働者負担:3/1000|事業者負担:6.5/1000
令和4年の10月以降…労働者負担:5/1000|事業者負担:8.5/1000
令和5年…労働者負担:6/1000|事業者負担:9.5/1000
多くの方が該当する「一般の事業」を例にすると、労働者負担の場合、令和3年の1000分の3から令和5年は1000分の6と倍増しております。
事業主負担は令和3年の1000分の6から令和5年は1000分の9.5と1.5倍以上の増加となりました。
健康保険料
ここでは、主に中小企業に勤務する方が加入する全国健康保険協会…協会けんぽの社会保険料についてお話します。参考までに、健康保険に関する他の組織として個人事業やその家族が加入する国民健康保険、主に大企業に勤務している方が加入する組合健康保険、公務員の方が加入する共済組合などが有ります。
社会保険料には3種類有ります。先ず病院に掛かった時にお世話になる健康保険料、満40歳から65歳未満まで徴収される介護保険料、現在の会社員では65歳から受給開始になる厚生年金保険料の3種類です。この中で令和5年度に改定が有るのが健康保険と介護保険です。
健康保険料率は加入している組織によって違いが有ります。そして、今回お話する協会けんぽの場合、全国の都道府県に支部があり、その支部ごとに料率が変わってきます。
例えば、宮城県における令和5年度の健康保険料率は10.05%です。東京は10%で、大阪と北海道が10.29%となります。協会けんぽの場合、都道府県毎に出費される医療費に基づいて算出する仕組みになっているため地域差が出てしまいます。
都道府県別に令和5年度の社会保険料率が一覧になっている表が有りますのでをこちらをご覧ください。
この表をよく見ると保険料率が上がったのは47都道府県中13都府県のみです。しかし、料率の上がった所を見ていただくと人口が集中している地域であり、この地域の人口を合計すると日本の人口の約57%にあたります。今回の健康保険料率改定の影響が伺えます。
【参考】保険料率が上がった地域の人口合計と国内人口の割合…概算値
7222万人/1億2570万人
令和5年度において健康保険料率の上昇率が一番大きいのが東京都です。料率が9.81%から、今年度は10.00%となり上昇率は1.9%となりました。また、今回の料率改定で一番健康保険料率が高いのは佐賀県の10.51%で、一番健康保険料率が低い県が新潟県の9.33%です。
介護保険料率
介護保険料のお話をします。協会けんぽの令和4年度の介護保険料は1.64%でしたが、令和5年度は1.82%まで上がりました。健康保険と異なり介護保険は一律になります。介護保険料を負担する方は満40歳から65歳までの方です。
健康保険料率が下がった地域でも介護保険料率は全国一律で上がるので、地域差は有りますが前年度よりも健康保険料+介護保険料の合計では上がった地域も有ります。
厚生年金保険料率に変更無し
健康保険料と介護保険料のお話をしてきましたが、厚生年金はどうでしょうか?厚生年金保険料は18.3%で固定されております。
給与計算や人事に関するご相談
みらい創研グループでは税理士・社会保険労務士・行政書士・宅建士・FPなど専門家が多数在籍するグループ企業です。今回のテーマである社会保険や労務に関するご相談、給与計算などの事務に関するご相談はグループ企業の仙台社会保険労務士法人へお問い合わせ下さい。
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