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源泉徴収票の見かたと役割

源泉徴収票の概要

源泉徴収票は給与を受け取った方に発行されます。在職、退職に関わらず発行します。令和4年中から令和5年も引き続き在職している方はもちろんですが、例えば令和4年の途中で退職しても、アルバイトやパートでも、短期間しか働いていなくても、給与の支払いをする会社や事業者は源泉徴収票を発行しなければなりません。
源泉徴収票には1月1日から12月31日の間でいくら給与を払ったか、また、どういった計算過程を経て源泉徴収したかが書かれています。詳細については後ほど詳しく解説します。

住民税との関係
源泉徴収票は国に納める所得税と復興特別所得税の計算過程が書かれていますが、住民税のことは書かれていません。しかし、この書類は住民税の計算と深く関わっています。これは、源泉徴収票の提出先を説明すると分かります。
給与の支払いをする会社や事業者は、皆さんに渡した源泉徴収票と同じ内容を税務署と市町村にも提出します。市町村への提出は給与を受け取った方の住民票の在るところに出します。この源泉徴収票を元に市町村は、皆さんから徴収する住民税の計算をします。そして、新しい住民税額は6月から翌年5月までの毎月の給料から徴収されます。ただし、社員の方で普通徴収を選択している方は自分で住民税納付します。

源泉徴収票には何が書かれている?
ここでは源泉徴収票には何が書かれているかをお話します。
源泉徴収票は大きく5つに分かれています。

1段目は給与を受け取った方の住所や氏名など個人情報が書いております。
2段目は給与収入から諸々を差し引いて最終的にどれだけの税金を算出したかの計算過程が記載されています。
2段目の向かって一番左側の種別ですが例では「給与・賞与」と書かれております。これが役員の方なら「報酬」、公務員の方なら「俸給」となります。

給与から得た収入を給与収入と言いますが、源泉徴収票のこの部分「支払金額」に該当します。税金や社会保険料など何も差し引かれない状態のことを言います。

この給与収入から最終的に税金を計算する過程がこの様な式になります。
① 給与収入ー給与所得控除=給与所得
② (給与所得ー所得控除)✕税率=所得税額
③ 所得税額ー住宅ローン控除(税額控除)=源泉徴収税額

「給与所得控除後の金額」欄のこの部分の金額が給与所得と言われる部分です。
給与所得は給与収入から給与所得控除を行った後の金額を言います。
先程の計算式で言うと①に当たります。

所得とは、収入から必要経費を差し引いて、残ったものを所得と言います。給与をもらっている方に必要経費が有るだろうという考えから、給与収入額に応じ概算で必要経費分としています。これが給与所得控除です。

「所得控除の額の合計額」とは先程の計算式②に当たります。所得控除についてはこの後にも詳しく話しますが給与から差し引かれる社会保険料や、配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除額などが所得控除に当たり、これらの控除の合計額を記載します。
最後の「源泉徴収税額」の欄は計算式③に当たります。

3段目は給与所得から差し引く所得控除や税額控除の各項目が記載されています。所得控除というのは先程お話した通り、社会保険料や、配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除額などがこれに当たります。税額控除は住宅ローン控除が該当します。
この所得控除・税額控除に関する情報は、皆さんが会社に提出した年末調整の各書類を元にして会社が計算しております。

4段目は3段目の控除項目の詳細が書かれております。例えば扶養控除であれば、3段目には扶養する親族の人数しか書かれておりませんが4段目には名前など扶養親族の個人情報が書かれています。また、生命保険や地震保険、更に住宅ローン控除についても控除額計算の基礎になる詳細が書かれています。

最後の5段目「支払者」の欄は給与を払った人…つまり勤務先の情報が書いてあります。会社名や個人事業者であれば事業主の氏名、住所、法人番号又はマイナンバーがここに記入されます。

源泉徴収票は必ず発行される?

ここまでお話した通り、源泉徴収票には、票を発行した会社や事業者が支払った給与や賞与などの収入に関する事項と、所得と税金に関連する情報が書かれています。会社に提出した年末調整の各書類の情報をまとめたものになります。

では、年末調整をされなかったり年の途中で退職した人の源泉徴収票はどうなるのでしょうか?
この場合でも源泉徴収票は発行されます。ただし、年末調整は行っていないので非常にシンプルな内容になります。会社から受け取った給料収入と給与所得控除後の金額、年末調整をされる前の源泉徴収税額が書いてあります。
たまに、パート・アルバイトには源泉徴収票を発行しないとか、退職した人に源泉徴収票を発行しないといったケースが見受けられますが、それはNGです。

退職した人は今後自分で確定申告をするか、中途入社の場合は、新たに入社した会社で通算して年末調整を行ってもらいます。また、パート・アルバイトの場合も扶養してもらっている親族に対して1年間の所得額を知らせるためや、各手続きで所得を証明しなければならないことも有ります。源泉徴収票はこういった証明書類として使うため、必ず発行してもらうようにしてください。
また、源泉徴収票を発行する前に勤務先が倒産したとか、以前の勤務先に何度言っても発行してくれないといった場合は「源泉徴収票不交付の届出書」という書類を税務署へ提出してください。

源泉徴収票はどんな時に使う?

会社から受け取った源泉徴収票はどんな時に必要か事例をご紹介します。
先ず、自分で確定申告をするときには源泉徴収票が必要になります。
住宅ローン控除を受ける最初の年、ワンストップ特例制度を利用せずにふるさと納税をした方、医療費控除の計算は会社の年末調整で行うことはできません。ご自身で確定申告をする必要があります。この時に源泉徴収票の情報が必要です。

この他、会社員の副業やWワークと言った勤務先からの給与以外に複数の所得が有る方の確定申告にも源泉徴収票が必要です。
注意が必要なのは確定申告をする際に源泉徴収票の「添付」が必要なのではなく、票に書かれている情報が必要になる点です。特に郵送で確定申告書を提出する方はご注意ください。
確定申告以外に必要になる場面として、自分の所得を証明する手段として使う場合もあります。例えば住宅ローンを組む時や、一部の公立保育園の入園の際に必要となる場合も有ります。

源泉徴収票はいつ発行される?再発行はできる?

原則はその年の最後の給与・賞与が確定して、年末調整も終わった時です。よって、早い会社であれば12月25日とか12月30日など給与支払日に合わせて年内に発行する所もあります。年末調整はかなり煩雑な業務になりますので、1月中に発行という会社も多いです。

この他、年の途中で退職したり死亡した場合は、その時点で確定した給与額と源泉徴収額が書かれた源泉徴収票が発行されます。
もし、源泉徴収票を失くしてしまったら会社に再発行を依頼してください。税務署や市町村に依頼する方も居るようですが受け付けてもらえません。


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