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北海道大学法学部2・3年次編入試験(英語)の解説をします[第1回]

北海道大学法学部2年次編入の全般的な説明は未来舎のHPを参照してもらうことにして、ここでは英語の試験問題自体の解説をします。解説する問題は令和6年度の問題の一部ですが、著作権の問題が微妙なので、出題された英文そのままではなく、解き方に影響の少ない範囲で文を変更しています。ご了承ください。

問題文

まずアメリカ市民の陰謀論者に対する態度についての文であるという説明があり、問題文が続きます。最初の1文は国防総省がUFOについて公式報告を発表したという文で、その後に、次の文(一部変更)があり、そこが下線部和訳の1問目になっていて、配点は9点です。

The official report does not tell you much of anything, except that these objects remain unidentified. But, for the Department of Defense to publicly acknowledge that we cannot explain what these objects are or how they move breaks a long-lasting taboo on taking UFOs seriously.

■第1文
The official report does not tell you much of anything, except that these objects remain unidentified.【予想配点3点】

単語 official 公式の 
   except that SV ~ということを除いて
   object 物、対象、目的
   remain+形容詞 ~のままである[形容詞は補語(C)で第2文型]
解説 
① ポイントはnot…much of anythingのとらえ方。
  muchが名詞なのでtellの直接目的語と見ると、「公式の報告書はあなたに多くのことを述べていない」が文の骨格になる。この「多く」にof anythingという修飾語句がついている。anythingは否定文で使われると「何も」「どんなこと…も」という意味になるので、「公式の報告書はあなたに何も多くのことを述べていない」というのが逐語訳になる。これでほぼ合格ライン。
  ただし、この和訳で、youを「あなた」と日本語にしている点はやや問題だ。本問のようなyouは、誰か具体的な「あなた」を指しているわけではない。読み手を含む「人」全体を指している(いわゆる総称のyou)。このような使い方は日本語にはないので、こうしたyouは日本語にしないのが普通。

② except that以下は特に問題はない。these objectsがS、remainがV、unidentifiedがCの第2文型で、「これらのものが未確認のままであるということを除いて」となる。「これらのもの」は、直前にあるUnidentified Flying Objects (UFOs)のことなので、これを補って「未確認飛行物体が未確認のままであるということを除いて」としてもよいが、特に指示のない限り「これらのもの」で問題ない。

③ 全体を合わせれば、「これらのものが未確認のままであるということを除いて、公式の報告書は何も多くのことを述べていない」となる。

採点基準
 SVOCの把握の誤りがあればマイナス3点。except that~とremain第2文型の意味の誤りはマイナス2点。その他の単語の誤りは1つにつき1点マイナス。
 
■第2文
But, for the Department of Defense to publicly acknowledge that we cannot explain what these objects are or how they move breaks a long-lasting taboo on taking UFOs seriously.【予想配点6点】

単語 
the Department of Defense 国防総省(Departmentは米国や英国の「省」。日本の「省」(および英国の一部の省)はMinistryという)
publicly 公的に
acknowledge that SV ~と認める
how どのように
long-lasting (形)長く続く
taboo タブー
on~ ~について(の)
take O seriously Oをまじめに考える

解説
① ポイントはS(主語)とV(述語動詞)の把握。
  不定詞の前にfor~を置くと、文の主語とは別に不定詞に主語を付けることができる。for~ to doという形で「~…すること・ための・ために」などの意味になる。たとえば、This is a role for John to play. は「これはジョン果たす役割だ」となる。
 
  本問の「for the Department of Defense to publicly acknowledge」もこの形。そうすると、「国防総省公的に認める」となる。

② 問題はこの不定詞の用法。
  名詞用法なら、「国防総省が公的に認めること」となる。そして最初に出てきた前置詞のない名詞(句)なので主語になり、日本語では主語や主題を示す助詞「は」「が」が付いて「国防総省が公的に認めることは/が」になる。
  本問のように文の最初に不定詞が来る場合、副詞用法のこともある(形容詞用法は前に名詞がないのでありえない)が、その場合は後ろがコンマで切れて、SVが続く形になるのがふつう。本問ではその形になっていないので名詞用法と考える。
  
③ Vはどれか。
  主語が【for the Department of Defense to publicly acknowledge…】
  ならば、これに対応するVは何かが次の問題。
  そこで主語と動詞の対応を意識して読んでいく。

   … that we cannot explain   
                                          what these objects are
              or how they move              
           breaks a long-lasting taboo…
  
  weにはexplain、these objectsにはare、theyにはmoveが対応しているが、breaksに対応する主語がない。そこで最初に戻って、主語の【for the Department of Defense to publicly acknowledge】に対応するVはbreaks、Oはa long-lasting tabooと判断する。

  訳してみると「国防総省が公的に…認めることは、長く続くタブーを破る」。これが文の骨格。

④ この骨格に枝葉がついている。
  まず、acknowledgeには目的語としてthat節(~と[いうこと])が付いていて、節の中のSはwe、述語動詞はexplain、目的語は what these objects are (これらの物は何か)と how they move(どのようにそれらは動くか)の間接疑問文。
  訳してみると「私たちはこれらの物が何か、またはどのようにそれらは動くかを説明することができないと認めることは…」。 
  残りはon taking UFOs seriouslyだが、単語がわかれば問題なく「UFOをまじめに考えることについて(の)」となる。

⑤ 全体をまとめる。
  「国防総省が、これらの物が何か、またはどのようにそれらは動くのかを私たちは説明することができないと公的に認めることは、UFOをまじめに考えることについての長く続くタブーを破る」。これで合格ライン。
 
採点基準
 ① 主語のついた不定詞が主語である点の見落しはマイナス3点。
   英語をよく勉強している人は、forには前置詞として不定詞の主語を示す場合のほかに、等位接続詞のforを知っているかもしれない。これは理由を示し、「というのは~だからだ」という意味。もし等位接続詞のforと思ってしまうと、文全体の主語を the Department of Defenseと読んでしまい大幅減点となる。
   等位接続詞のforは、前の文の理由を示すために使う。そうすると、forの前にButがあるのはおかしい。for以下の文が直前の文の理由を示すなら、Butという逆接がつくのは変だ。だから、本問ではforは等位接続詞ではないと判断するが、勉強している人ほどミスしやすい嫌な問題だ。
 ② VOの把握のミスもマイナス3点。
 ③ what these objects are (これらの物は何か)と how they move(どのようにそれらは動くか)の間接疑問文のSVの把握の誤りはマイナス2点。
 ④ take O seriooulyのイディオムの誤りはマイナス2点。
 ⑤ その他、単語の誤りは1個につきマイナス1点。

次回は引き続き和訳問題の2問目を解説します。


 
 
 
 
  
 

 
 
 


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