光本恵子 第1歌集『薄氷』より…
二十歳の鼓動
ぎゅっと握ってみたけれど答えてくれない二十歳の乳房
傷つきながらの愛だった タバコの臭いをぶつけて去っていった人
ジンフィズに酔いしれてにっと笑った唇また思い出す
白い河床
分れて一年――わだかまりも消え晩秋の落葉に身を焦がす
名をそっと口の中でつぶやき手の平に書いて握りこぶしつくる
裸電球から落ちる灯り この下宿は女ひとりに広すぎる
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