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栽培は「根張り」が大事! (農業)

こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。今日は「根張り」についてお話したいと思います。
野菜の生育の状況をみて根張りがいいとか、根張りが浅い・深いなどと言ったりしますが、根の張り方が茎・葉や花に実といった地上部の育ちにどのようにえいきょうするのでしょう?

根の様子は普段、土の中にあるので目で見ることはほとんどできませんが、実は茎・葉の育ち方に強く影響をしています。

例えば地上部が大きく育った野菜は根量も多く長く伸びて土をがっしりと捉えているので引き抜くのに非常に力がいります。逆に根張りが弱くてスルスル抜けるような野菜は、茎や葉が伸びず草丈が小さいままです。ほとんどの野菜は地上部と地下部を見比べるとよく似た形になっています。枝を上に伸ばす垂直型のナスは、根が深く下へ伸びると枝も自然と上向きに立ち上がり勢いよく育ちます。一方、ツルが地を這うかぼちゃは根も地下の浅い部分を水平方向に広がります。これは根と茎・葉が互いに干渉しあいながら歩調を合わせていわばシンメトリーのように成長しているからです。

野菜の根張りが良いとおのずと地上部の生育もよく、地上部と地下部のバランスがうまくいっているということです。野菜の生長が地上部と地下部の二人三脚だとして、最も大切なのはスタートです。野菜の一生のうち決定的な瞬間は二つあります。
地上部と地下部をバランスよく成長させていくためのは2つのタイミングが重要となります。

<植物の生長を決める2つのタイミング>
1つ目は種まきのタイミング。種子の発芽から初期育成にかけてどのような環境に置かれているかで乾燥や暑さ寒さに対する強さ、節の長さから花芽の数まで、その野菜を形作る要素が決まります。
2つ目は植え付けのタイミング。それまで種子に蓄えられた栄養によって成長してきた苗が畑という外部の環境から栄養を得て育つようになる、いわば独り立ちのタイミングです。

この2つのタイミングは野菜の環境に対する順応性が最も高まる時でもあります。種をまいた環境、植え付けと環境にあわせて野菜は自らの形を変化させます。このタイミングの時期にしっかりと適した環境に整えることで農業者にとって思い描いた栽培を実現することに近づくことができます。

<水の与え方は非常に重要です!>
種まきでも苗の植え付けでも根をできるだけ勢いよく伸ばし根張りを強くすることが、後々の生育の良し悪しにも繋がります。種まき、植え付け時に全ての野菜に共通する重要なポイントは「水」の管理です。上手く行えばびっくりするくらいよく育ち後の管理も楽になりますが、間違うと生育が鈍くなり手をかけてもなかなか大きくなりません。昔から「苗半作」といわれるように、苗の段階でしっかりと成長させることが後々の生長に大きな影響を及ぼします。水のやり方にはしっかりと気を付けましょう。

<種まき時の水のやり方は?>
種がストレスなく発芽するには適度な土の湿り気が必要です。ところがこの「適度」が案外難しいのです。十分な水がなければ、そもそも種は発芽しません。しかし水が多すぎると根は酸素を吸えず、そのまま腐る事もあります。かといって水が少ないと途中で発芽が止まったり、根が伸び始めた時に乾いて枯れてしまったりします。
 
種まきの時には土がほどほど湿っていて、しかもその湿り気が長く持続することが必要です。そこで予め畑に水を撒いて充分に湿らせておく「根水(ねみず)」を行います。自然の降雨後の適度な湿り気を人工的に再現する方法です。

この状態で種を蒔いて発芽させると根がストレスを受けることなく素直に伸びることができます。

<植え付け時の水のやり方は?>
一方、苗の植え付け時には既にポットの中で根が旺盛に伸びています。そこで根の勢いはなるべく妨げることなく、畑の広い空間に移し替え、のびのびと根を伸ばさせるようにすることが大切です。ところが植え付け前後に苗の周りの土に水をやると贅沢な環境に根が怠けて勢いよく伸びるのをやめてしまうことがあります。過保護状態ですね。また 過度な湿度になると根が十分な空気を吸えずに痛みが生じる原因にもなります。そこで水を多すぎも少なすぎもせずに与えることが大事です。

植え付けの1日前に容器に溜めた水の中に 苗の根鉢を沈めます。根鉢にたっぷりと水を吸わせた後に植え付け、植え付け後は水やりを行いません。植え付けから少し経って葉から蒸散が進むと苗が水を欲しがり始めます。この時、根鉢から周囲の土に水が浸透したことにより両者の間には水の通り道ができています。根はこの通り道を通るようにして勢いよく伸びて広がります。


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