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イチゴの成り疲れのメカニズムと対策

摘花作業を行い、一株に成らせるいちごの量を減らして株の負担を減らす

こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。
イチゴ栽培において、収穫量の維持と品質向上は農家の皆様にとって重要な課題です。しかし、長期にわたる収穫期間中(1~2月頃)に「成り疲れ」と呼ばれる現象が発生し、収量や品質の低下を引き起こすことがあります。

イチゴの成り疲れのメカニズムを解説し、効果的な対策についてご紹介します。特に、葉面散布による対策は、成り疲れの改善に有効な手段の一つとして注目されています。

○イチゴの成り疲れのメカニズム
イチゴの成り疲れは、様々な要因が複合的に作用して発生します。主な要因としては、以下の点が挙げられます。

(栄養バランスの乱れ)
窒素過多:葉や茎の成長が過剰になり、果実への養分供給が不足する。
リン酸不足:
 花芽分化や果実肥大に必要なリン酸が不足し、収量や品質が低下する。
カリウム不足:果実の糖度や食味に関わるカリウムが不足し、品質が低下する。 

(根の機能低下)
・連作障害:土壌病害や線虫の発生により、根の吸収機能が低下する。
・過湿:土壌の排水性が悪く、根が腐ってしまう。
・乾燥:土壌水分が不足し、根の養分吸収が阻害される。 

(環境ストレス)
・高温:高温により光合成能力が低下し、養分生産が不足する。
・低温:低温により生育が停滞し、養分吸収が阻害される。
・日照不足:日照不足により光合成量が減少し、養分生産が不足する。 

(果実の負担)
・果実の肥大
 果実の肥大には多くの養分が必要であり、株への負担が大きくなる。
・収穫量の増加
 収穫量が増加すると、株の養分消費量が増え、負担が大きくなる。


○イチゴの成り疲れの対策
イチゴの成り疲れを改善するためには、以下の対策を総合的に行うことが重要です。

・ケイ酸カリなどの施用により根の活力を維持させる
・地下部の環境を良好に保ち、収穫始期までに健全な根を確保、維持する
・加温、電照、炭酸ガス施用により草勢を維持する

・適切な肥培管理:
 肥料の種類と量:土壌診断に基づき、適切な肥料の種類と量を施用する。
 追肥:生育状況に合わせて、適切な時期に追肥を行う。
 液肥:液肥を活用し、速やかに養分を供給する。 

・根の機能回復:
 連作対策:輪作や太陽熱消毒を行い、土壌病害や線虫の発生を抑制する。
 土壌改良:有機物の投入や排水対策を行い、土壌環境を改善する。
 根の活性剤:根の活性を高める資材を施用する。 

・環境管理:
 温度管理:
 ハウス栽培では、適切な温度管理を行い、高温や低温によるストレスを
 軽減する。
 換気:適切な換気を行い、湿度を調整する。
 日照管理:日照不足の場合は、人工光源を利用する。 

・葉面散布:
葉面散布は、養分を直接葉から吸収させる方法であり、成り疲れの改善に有効です。 特に、微量要素やアミノ酸などを葉面散布することで、株の活性を高め、収量や品質の向上に貢献します。

※葉面散布の注意点
 葉面散布を行う際には、以下の点に注意する必要があります。
 散布濃度:適切な散布濃度を守り、過剰な散布は避ける。
 散布時期:晴天の日中を避け、早朝や夕方に散布する。
 散布回数:必要に応じて、適切な間隔で散布する。 

イチゴの成り疲れは、様々な要因が複合的に作用して発生する現象であり、適切な対策を講じることで改善することができます。特に、葉面散布は、成り疲れの改善に有効な手段の一つとして注目されています。

高品質で安定的な収穫量なイチゴ栽培を目指しましょう。


【問い合わせ】
TEL 080-3396-5399
MAIL t.ogawa19720117@gmail.com



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