資材高騰!厳しい時こそ考えよう (農業)
現在の農業の経営環境は重油価格が高騰しているし、肥料や薬剤、梱包資材などの資材の高騰や物流費用などの輸送価格の高騰により大幅なコストアップの状況を強いられています。
一方で過去30年もサラリーマンの給料が上がっていないということから、野菜価格相場もそう簡単には上がらない、、という状況で、コストの増加分を販売単価へ転嫁することが難しい状況です。
つまり「利益=売上高―総経費」ですから、売上高があがらず経費だけがあがるので、利益が減少する状況になっており、経営環境は非常に厳しいものとなっています。
また、その原因は国際情勢やコロナ禍や温暖化、世界的な人口増などいろいろな要素が複雑に絡み合っているので、経営環境が改善する出口がいつになるかわからないというのが現状です。温暖化、世界的な人口増などは長期トレンドですから、もしかしたらこのような厳しい経営環境は延々と続くかもしれません。
そういった中でも生き残っていく農業者と潰れていく農業者が存在します。それはこの厳しい環境の下で何をするかが分かれ道になると思います。
生き残っていく農業者になるためにやることは以下の3つです。
① 資材の仕入先の見直し
景気が良く経営が順調にいっているときにはあまりこのような資材の仕入れ先を見直すことはしないと思いますが、このようなタイミングで、一度、立ち止まって仕入先を見直すことが重要です。様々な業者から見積をとりながら単に見積金額の安いところに決めるのではなく、どうすれば価格を安くできるのかを提案してくれる業者と付き合うことがポイントだと思います。例えば自分がいくらぐらいで仕入れたい、、というのがあり、業者が提示した金額と乖離がある場合に、数量をまとめて購入してくれれば安くなるであるとか、他のものとセットで購入してくれれば安くできるとか、農業者側の立場も理解しながら提案してくれる業者を選定したほうがいいと思います。
② 農園の課題の洗い出しと改善活動
経営状況が順調な時は前に進むことばかりを考えて、現状の課題とかを立ち止まって考えることはしないものだと思います。そこでこのようなタイミングで思い切って経営課題の洗い出しと改善活動を実行していくことが重要だと思います。経営状況が厳しくなっているのは従業員もわかっていますので、従業員の理解・協力も得られやすい環境になっていますし、このタイミングで農園作業を効率化できるようにしっかりと課題の抽出と改善ができれば、農園が効率的な筋肉質な体制となり、景気が改善したときには飛躍できるようになります。
③ 販売価格の交渉(原価計算のすすめ)
なかなか販売価格をあげるような交渉は難しい状況ですが、やはり農園経営を少しでも良くしようと思えば、販売価格をあげる交渉は必要です。だって明らかに資材費コストは上がっているわけですから。。。しかし単に販売価格をあげてくれ、、といっても購入する側としてはそう簡単に話に応じてはくれません。そこで話の俎上に乗せて建設的に話を進めるためには、実際に農作物を作るのにどれぐらいのコストがかかっているか、そして今の資材高騰でどれぐらいコストが上がったか、を見える形にして、このような状況だから売り先の業者も頑張ってください、、という形にしていくこと重要なポイントだと思います。売り先の業者にしてもなにも提示されない状況で「高く買ってくれ」といわれても判断のしようもないし、このような状況では譲歩のしようもありませんが、作物の実際の栽培コストを目の前にすると、どれぐらいまでなら価格アップに応じられるか、、の判断もできるし提示してくれやすくなります。
そのためには、農作物の原価計算をして生産コストが見える状態にしていかなければなりません。原価計算はできれば販売する単位まで落とし込むことがわかりすくてよいと思います。例えば300gパック単位で販売している場合は1パックあたりで、段ボールの箱単位で販売している場合は1箱当たりで、kg単位で班日している場合はkg単位で原価計算を行いましょう。
経営環境の良くない時期にこそ経営者は取り組まなければならないことが、よりよく見える時期だという視点に切り換えて、農園改善に取り組むことが重要で、それができる農園こそが生き残っていくと思います。
【関連記事】--------------------------------------------------------------------
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?