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根の周辺環境を整えよう!(根圏)

こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。野菜作りでは根張りが非常に重要です。根が健全にしっかりと張ることで水分や肥料成分を吸収できるからです。ですから根がしっかりと張れる環境を作ることが重要です。
そこで今回は根の周辺の環境(根圏)についてお話したいと思います。

〇根圏とは
根圏(こんけん)とは、植物の根とその周辺の土壌環境が互いに影響し合い、構成される極めて根に近い範囲を指します。根圏は、根の分泌物や脱落した細胞、根毛などが土壌微生物に影響を与え、微生物の活動が根の生育に影響を与える、密接な関係で成り立っています。

〇根圏の範囲
根圏の範囲は、一般的に根の表面から5~20mm程度とされていますが、植物の種類や土壌条件によって異なります。近年では、根の内部も根圏の一部として考える場合もあります。これは、根の周辺に寄生する菌糸が根の細胞壁に侵入し、作用することが分かってきたためです。

〇根圏の役割
根圏は、植物にとって以下の重要な役割を担っています。

・養分・水分の吸収:
根は、根圏の土壌から養分や水分を吸収します。根圏の微生物は、根の養分吸収を促進する役割を果たします。

・病害虫からの防御:
根圏の微生物の中には、病原菌や害虫を抑制するものがあり、植物の健康維持に役立ちます。

・土壌構造の改善:
根圏の微生物は、土壌の団粒構造を形成し、排水性や通気性を向上させる役割を果たします。

〇根圏の環境
根圏の環境は、根の分泌物や微生物活動の影響で、周辺の土壌環境とは大きく異なっています。根圏の土壌は、有機物含量が高く、pHが酸性側に傾いている傾向があります。また、根圏の微生物量は、周辺の土壌に比べて数千倍から数万倍も多いと言われています。

また根圏では硝酸態窒素濃度が高くなります。これは植物の根は、成長に必要なエネルギーを生成するために、糖や有機酸などの分泌物を土壌中に放出します。これらの根分泌物は、土壌中の微生物にとって栄養源となり、特に硝酸化菌と呼ばれる微生物の繁殖を促進します。硝酸化菌は、アンモニア態窒素を酸化して硝酸態窒素に変換する能力を持っています。そのため、根圏では根分泌物によって硝酸化菌が増殖し、硝酸態窒素の濃度が高くなります。

上のグラフからも根から近いところでは硝酸態窒素濃度が高く、pHは低くなっており中心から離れると硝酸態窒素濃度が低くなり、pHは高くなっていることが見てとれます。中心から3mm以内になると劇的に環境が変わっていることがわかりますね。

また微生物の数も根の表面から5㎜以内が非常に高密度で微生物が存在していることも上記のグラフからわかります。

〇根圏管理
根圏管理とは、植物の根とその周辺の土壌環境を良好に保つことを指します。根圏は、植物にとって養分や水分を吸収する重要な器官である根を取り巻く環境であり、根の生育に大きな影響を与えます。

根圏管理の目的は、以下のとおりです。
・植物の生育を促進する
・病害虫の発生を抑える
・土壌の質を向上させる
・環境負荷を軽減する

〇根圏管理の方法
・有機物資材の投入:堆肥や腐葉土などの有機物資材を土壌に投入することで、土壌の団粒構造を改善し、保水性や通気性を向上させることができます。また、有機物資材は微生物の餌となり、根圏の微生物活動を活発化させます。

・緑肥の栽培:緑肥とは、土壌にすき込むために栽培する植物のことです。緑肥は、土壌に有機物を供給し、土壌の物理性や生物性を向上させる効果があります。また、緑肥の根は土壌を深く掘り起こし、排水性や通気性を改善する効果もあります。

・輪作:同じ場所で同じ作物を栽培し続けるのではなく、異なる作物を輪番で栽培することで、土壌の病害虫の蓄積を防ぎ、土壌の肥沃度を維持することができます。

・適正な施肥:植物に必要な養分を適量施肥することで、植物の生育を促進することができます。施肥量が多すぎると、土壌の塩類濃度が高くなり、根を傷めたり、環境負荷を増加させたりする可能性があります。

根圏の環境を良好に保つことで、植物の生育を促進できることが分かってきています。根圏の状況は目に見えないですが、可能であれば根の観察なども実施して植物を元気に育てたいですね。


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