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連作障害ってなに? (農業)

こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。
土を使った農業をしている人にとっては「土づくり」が非常に重要で、土づくりをするうえでの課題として「連作障害」があります。従来通りに育てていても、何故か収穫量が激減する、植物が枯れ始める、成長スピードが鈍化したなどの状態になったら同じ土地で同じ作物を連続的に作り続けていないかを確認してみてください。

<連作障害の症状>
連作障害とは同じ畑で同じ科の野菜を作り続けると野菜の生育が悪くなったり病気や害虫の被害がひどく出たりする状態のことです。

「忌地・厭地(いやち)」とも呼ばれ、昔から生育が悪くなる現象として知られていました。野菜で連作障害のリスクが高いのは、トマトやナスなどのナス科、キュウリやゴーヤなどのウリ科、インゲンやエダマメなどのマメ科、キャベツやブロッコリーなどのアブラナ科などです。

連作障害の代表的なものの一つにセンチュウによる被害です ネコブセンチュウなどが植物の根に寄生すると水分の吸収を妨げます。根を見るとコブが数珠のように連なっているのでわかりやすいです。

同じように根にコブができて、養水分の吸収が妨げられる根コブ病は土から伝染する土壌病害でアブラナ科だけが感染します。他にもナス科に多く発生する青枯病ウリ科に多く発生するつる割れ病など多くの種類の土壌病害があり葉の萎れや黄化、枯死などを引き起こします

<主な病気>
・ナス科:青枯(あおがれ)病、萎凋(いちょう)病、半身萎凋病
・ウリ科:つる割(つるわれ)病
・マメ科:立枯(たちがれ)病
・アブラナ科:根コブ病
 

<主な害虫>
トマトやナス、ピーマン、キュウリ、カボチャ、インゲン、ホウレンソウ、ジャガイモなどを連作したときは、根に寄生する「ネコブセンチュウ」や「ネグサレセンチュウ」などの被害に遭いやすい


<連作障害の原因>
①特定の微生物の増加
土の中には様々な微生物がいます。肥料を分解して野菜が吸収できる形にするなど野菜にとって良い働きをする微生物がいる一方で病気を引き起こす病原菌もたくさんいます。植物の根からは微生物の餌となる有機物や糖、アミノ酸などが分泌されており、土の中の微生物はこれらの物質を求めてその周囲に集まってきます。微生物にも好き嫌いがありさらに同じ科の植物は似通った物質を分泌するため同じ科の野菜を続けて作ると集まってくる微生物も同じ種類になってしまいます。つまり同じ科の作物を作り続けると生物相のバランスが崩れその科をターゲットとする病原菌の密度が高くなってしまいます。 その結果、土壌病害が発生しやすくなります。

 
② 生育抑制物質による自家中毒
植物は自分の身を守るために他の植物の生育を抑制する物質を根から分泌しています。周囲に他の植物が入ってこないように生育抑制物質を出しているのですが、この物質の濃度が高くなると自分自身の生育にも影響が出てきます(自家中毒)。これも連作障害の原因の一つと考えられています

 
③養分バランスが崩れる
野菜が必要とする養分は野菜の種類ごとに異なっています。さらに同じ科の野菜であれば同じような養分を必要とするケースが多いです。そのため連作をすると多く必要とする養分は不足しあまり必要としない養分は土の中に残っていきます。その結果、土の中の養分バランスが崩れます。野菜が吸収する養分は相互に影響し合うことが知られています。例えばカルシウムは土の中のカリやマグネシウムが過剰になると根が吸収できなくなります。マンガンはカルシウムが少ないと過剰に吸収してしまいます。そのため土の中の養分バランスが崩れると欠乏症や過剰症が起こりやすくなり生理障害が発生します。さらに生理障害が起きると野菜の体力が低下するので病害虫の被害も受けやすくなります。 なお連作障害による特定の養分の過不足は微量要素でも起こります。こちらは直接欠乏症や過剰症に結びつきます。


【問い合わせ】
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