植物体内での水の循環! (農業)
〇植物は水でできている!
植物の体はほとんど水でできているといえます。乾物にすると質量は元のわずか約10%程度になります。つまり80%以上は水分なのです。水が不足すると葉や茎がしおれることからもわかるように植物は細胞内の水の圧力で硬さを維持しピンっと立っていられるのです。また植物の生命活動において重要な光合成にも水が重要です。植物は空気中の二酸化炭素(CO2)と水(H2O)を材料にして葉の葉緑体に光エネルギーを受けて炭水化物(ブドウ糖:C6H12O6)を合成します。
植物の成長に必要なたんぱく質や酵素などは光合成でできた炭水化物をエネルギーや材料として作られます。その工程で必要な窒素やリンなどの栄養分を根から吸収し全身に行き渡らせる媒体となるのもやはり水で、体内で行われる代謝をスムーズにする働きを担っています。 植物体内の水は主に葉の裏側にある気孔から大気中に水蒸気として放出され(蒸散)、人間が汗をかいて体温を下げるように植物の体を適温に保ちます。蒸散は気温の高い夏の日中は特に盛んに行われるため他の季節にも増してより多くの水が求められます。
〇植物体内での水の循環
植物の葉には気孔と呼ばれる無数の小さな穴があります。酸素・二酸化炭素水・水蒸気などが出入りする穴で植物体内の水の移動は気孔の働きと密接な関係があります。通常、気候は日中に開いて二酸化炭素を取り込みます。葉に光が当たると光合成が始まり、水が必要となります。気候が開いて蒸散が行われ水蒸気が放出されるとその分を根から水を吸い上げます。
吸い上げられた水は導管を通って葉まで送られます。吸水→体内→蒸散という植物の生命活動を通じて水は循環しています。
一般に葉の表面積が大きい植物ほど蒸散量も多く水を吸う力も大きいため成長に多くの水を必要とします。植物の根は養分や水分を効率よく吸収するため表面に根毛と呼ばれる細い糸状の突起を発生させて表面積を増やします。 根毛は根の表面積1㎠あたり2万本以上あると言われ 養分や水分は主にこの根毛から吸収します 。
〇植物はどのようにして水を吸い上げているのか
根が水分を吸収する仕組みは2つあり1つ蒸散による吸い上げ(受動的吸水)、もう一つは浸透圧による吸水です(能動的吸水)。後者を「根圧」いい 健全な土壌では植物はこれを利用して水を取り込むことができます。ただし肥料の過剰性をなどにより土中の溶液濃度が高くなりすぎると浸透圧が逆に働き水分を奪われて根が痛みます。これが濃度障害(肥料焼け)です。
植物の吸水量は蒸散による受動的吸水の方が、根圧による能動的吸水よりも圧倒的に多いです。植物の養分吸収は根から行われますが水に溶けるものしか吸収できませんので、吸水や水の植物体内での循環を知ることは非常に重要です。
蒸散による受動的吸水は主に日中に行われ、日射や湿度などの影響を受けやすく、この吸水では肥料成分としてはアンモニアやカリウムなどが吸収されやすいです。そして蒸散は主に葉で行われるため吸収された水は主に葉に流れ込み果実にはあまり流れ込みません。一方、根圧による能動的吸水では肥料成分としてはカルシウムやマグネシウムなども吸収され、日中の受動的吸水では届きにくい果実や生長点、葉の先端などに送り届けられます。
植物体内での水の循環はこのようにして行われ、植物の生長を促しているのです。
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