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【植物基礎】種なしトマトってどうなってるの?

こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。今回も植物基本をテーマに「種なしトマトってどうなってるの?」についてお話したいと思います。

トマトの果実の中には、ふつう種がいっぱい入っています。
ところが輪切りのトマトをじっと深く観察してみると種なしのものがあります。なぜ種がないのだろうかという不思議が生まれますよね。

●オーキシン(トマトトーン)
トマトが栽培されているハウス温室では、花が咲きめしべに花粉がついて種ができると果実は大きくなります。でも温室栽培ではトマトの果実を実らせるために花粉がつくという刺激がなくても実を肥大させる作用のある物質を与える方法があります。
これはオーキシンという物質です。これは中学の理科でならった植物ホルモンです。この物質には種が作られなくても果実を大きくする働きがあります。そのため花にオーキシンの溶液を吹きかけると花粉がつかなくても果実が肥大します。オーキシンを与えて果実を肥大させると花粉がめしべに受粉して果実ができるわけではないので、果実が肥大しても種はできません。
このオーキシンは「トマトトーン」という名前で一般に販売されているもので、第一果房を確実に着果させ生育を安定させるためや非常に暑い時期などでハチが飛ばず、受粉が難しい時期などに使用されます。
そのためハウス温室で栽培されているトマトには種なしのものがあるのです。
トマトの場合、種があっても邪魔にはならずそのまま食べられますから種なしに気づいていないことが多いのです。

●単為結果性トマト品種
もう一つ 種無しのトマトができる場合があります。単為結果と呼ばれる性質を持つ トマトが栽培される場合です。

これは花の中で受粉や受精が行われなくても 果実が自分で大きくなるという性質です。この性質を持つ品種では果実を実らせるために 特別な物質を与える必要はありません。またクロマルハナバチなどに依存することもありません。

通常のトマト品種を栽培している場合、先ほど記載しましたように第一果房を確実に着果させるためやハチが飛ばないような暑い時期に着火させるためにトマトトーンを散布するのですが、散布方法としては花1つ1つに丁寧に吹きかける必要があり、非常に手間な重労働的な作業になります。

(トマトトーンを散布する作業)

単為結果の性質を持っているトマトであればこういった作業は一切必要ありませんので農作業的には非常に楽になります。

現在ではこのような性質を持つ品種が開発され、栽培品種として苗や種子が市販されています。

大玉トマトでは「ハウスパルト」、「ドルチェレッドビッグ」など、ミニトマトでは、「エコスイート」、「べにすずめ」などがあります。

トマトを食べるときにはよく観察して種の有無を確認してみましょう!


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