石灰(カルシウム)資材の基本 (農業)
こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。桜も咲き春らしく暖かく(暑く)なってきました。この時期になってくるとたくさんの植物が活動してきますので農家の方は忙しくなるし、家庭菜園の方はにぎやかになってくるので楽しい時期ですね。
今回は家庭菜園の方向けに土作りの基本的な話です。
土づくりのカルシウム資材ではよく苦土石灰を使います。
苦土石灰は、炭酸カルシウムである石灰と、酸化カルシウムであるマグネシウムを混ぜたものをさします。
「苦土(くど)」とは聞き慣れない名前ですが、マグネシウムのこと。マグネシウムを舐めると苦いことから「苦土」という名前がつけられたと言われています。苦土石灰は効果が穏やかでかつマグネシウムも補給できるので使いやすい資材です。
・消石灰・有機石灰との違い
「石灰と聞くと、消石灰や有機石灰をイメージするけれど、苦土石灰と何が違うの?」と疑問な方もいらっしゃるのではないでしょうか。
学校のグラウンドに白線を引くために使われていた白い粉が消石灰。
消石灰は、石灰に水を加えて作られるもので、苦土石灰と見た目は似ていますが、phが12という強いアルカリ性なのが特徴です。カルシウムを含むという点では、主な成分は炭酸カルシウムで、マグネシウムが含まれないのも苦土石灰と異なります。
また、有機石灰は名前の通り有機物から作られた石灰のことです。牡蠣などの貝殻や卵の殻を砕いて作られます。有機石灰も消石灰と同様に、主成分は炭酸カルシウムです。phの中和のためにも使われる苦土石灰とは異なり、有機石灰は栄養分の補給や、微生物の活性化のために使われることがほとんど。値段も苦土石灰よりも高価です。
有機石灰は効果が緩やかなので、土壌に入れるタイミングや順番を気にすることなく使用できます。pH調整だけではなく、土壌の通気性や排水性を高めることができます。
<苦土石灰の効果・メリット>
〇pHを中和させる
苦土石灰を利用する一番のメリットは、pHを中和させることです。日本は降水量が多いため、土壌も酸性に偏りやすい性質があります。酸性に傾きすぎた土壌では、農作物を育てにくいため、アルカリ性側に傾かせ、中和する必要があります。
そのため、アルカリ成分が含まれる苦土石灰を利用してpHを中和させます。消石灰はアルカリ性が強すぎるので、素人には扱いが難しいため、苦土石灰を使って徐々に変化させるのがおすすめ。
また「少しだけ酸性に傾いているから、苦土石灰よりも穏やかに中和させたい」という場合には、有機石灰もおすすめですよ。
〇カルシウム・マグネシウムの補給
苦土石灰を利用する二つ目のメリットは、カルシウムとマグネシウムを同時に土壌に補給できることです。
カルシウムは土壌のpHを中和させるためだけでなく植物の生長にも非常に重要な肥料です。カルシウムは植物の耐病性を高める働きがあり、細胞壁を強くするとともに、食打つ地内ではペクチン酸カルシウムとなって細胞と細胞を漆喰のようにしっかりと固める働きがあり害虫の植物体内への侵入を阻止します。
雑学ですがペクチン酸カルシウムというのは非常に身近なモノにもあり、例えば子供のころの夏場のデザート「フルーチェ」はフルーチェに含まれるペクチンと、牛乳中のカルシウムが反応してドロドロした状態になります。
苦土石灰にはそれに加えて苦土(Mg)が含まれており、苦土(Mg)は植物が光合成をするために必要な葉緑素を作るために重要なものです。苦土石灰を使用することでこれらのモノを同時に補給することができます。
葉っぱが黄色っぽくなっている植物は、マグネシウムが足らず、葉緑素が作られにくくなっているのが原因のこともあります。
マグネシウムやカルシウムなどの栄養素が足りなくなっている場合は、苦土石灰で栄養補給しながら土壌のバランスを保つのがおすすめです。
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