見出し画像

豊かな土づくりには時間がかかる (農業)

堆肥をたくさん施しているのに植物の育ちが悪い、うまく育たない、、といった言葉を有機栽培を始めたばかりという人から良く相談されます。 有機物が少ない畑では土壌生物の数が少ない状態なのでそんな状態の土にいきなりたくさんの堆肥や肥料を入れても十分に機能しません。
 
永年、有機物を投入してきた畑の土には1 g 当たり10億~100億もの土壌生物が生きているといわれています。土壌生物は土壌微生物と土壌動物に大別されます。土壌微生物は有機物を酵素で化学的に分解する糸状菌などの菌類や細菌類などです。 土壌動物はダンゴムシやミミズ、トビムシなどの有機物を食べて物理的に分解する生き物を指します。

画像1

すぐには野菜が吸収できる化成肥料と違い、鶏糞や油かすなどの有機質肥料は分解されないと栄養分が植物に吸収されません。 この分解に大きな役割を果たすのが生き物たちです。有機物を土の中に投入すると有機物を炭素と無機物に分解してくれます。 根の細胞壁から吸収できる大きさにまで分解された肥料成分を野菜が取り込みます。 また有機物が分解された後に残る腐植物質は粘土や鉱物を結合して土の団粒構造を作ります。いわゆる土作りの理想とされるフカフカの土になります。 このように多様な土壌生物が相互に関わって有機物の分解に関わり、その過程で土の団粒化を促していくのです。
有機質の肥料や堆肥を入れ、微生物の種類と数が増えてくることで土は豊かになり植物の生育に適した土になっていくのです。
 
ところで一口に土壌動物と言っても大きさは様々で体長1 mm 以上の大型土壌動物(ミミズ、ヤスデ、ダンゴムシなど)、体長0.2から2 mm の中型土壌動物(ダニ・トビムシ・ササラダニ)、体長0.2 mm 以下の小型土壌動物(センチュウ・クマムシなど)の3タイプに分けられます。

画像2

画像3


これらの土壌動物が 有機物や有機物を分解する微生物を食べ、また他の土壌動物の食べ残しや排泄物・捕食性の土壌動物が食べた生き物の遺骸を微生物が分解します。このようにして複雑に入り組んだ生態系を織りなしています。 土壌動物を肉眼でもかろうじて存在が確認できるのが中型以上のものです。トビムシやササラダニは特に種類と個体数が多く「陸のプランクトン」ともいわれる存在です 。他の土壌動物の餌にもなって土壌の生態系を下支えしています。

画像4

(写真は上から、ダンゴムシ、トビムシ、センチュウ、クマムシ)

【問い合わせ】
TEL     080-3396-5399
MAIL  t.ogawa19720117@gmail.com



【関連記事】-----------------------------------------------------------------------




いいなと思ったら応援しよう!