台木選びで収穫量が増える!
こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。
農作物の苗には「実生苗」と「接ぎ木苗」があります。実生苗とはタネをまいて育てた植物を指し、簡単にいうと種から育ったそのままの苗ということができます。自根苗ともいわれます。一方接ぎ木苗とは普通に育った苗の茎を切って、そこへ別の植物の茎をくっつけた苗のことをいいます。その時、土台となる根側の植物のことを台木といい、台木の上に接着して花や実をつける植物のことを「穂木(ほぎ)」といいます。
接ぎ木をすると、台木と穂木、それぞれの特性のいい所どりをすることができます。
接ぎ木のやり方は、上部を切り落とした台木の切り口に穂木の切り口を合わせ、接合部分を専用のテープやバンド、クリップなどで固定するのが一般的なやり方です。台木と穂木の切り口にある「形成層」という分裂組織同士がくっつき、傷口で新しい細胞をつくることで、両者の間で養分や水分が行き来できるようになります。
しかし上と下で他の植物同士をくっつけても植物は生きているというのはすごい生命力ですよね。まるで「ケンタウルス」みたいなで哺乳類では考えられないですね。
接ぎ木は病害虫や環境ストレスへの抵抗性、樹勢・草勢の強さを目的に行われます。もともとは病害虫や環境ストレスへの抵抗性目的が主でしたが、最近では樹勢・草勢の強さの目的を主に考えるケースも増えてきています。こういった台木を強勢台木(強草台木)といい根張りが良く、栽培後半まで草勢を維持できるので収量アップにつながります。
さらに種間雑種台木とよばれる台木は、トマト近縁種との交雑種で、通常の強草台木よりもさらに草勢を強く維持できることを目的に育成されたもので、根域が制限され、根詰まりや根傷みが起こりやすい養液栽培に向いています。
促成トマトの養液栽培において、この種間雑種台木に接ぎ木をすると、自根で栽培した場合と比較して約30%近くも増収したという結果も得られています。(千葉県農林総合研究センターより)
このようにナス科やウリ科などの果菜類では、こうした特性に優れた台木専用品種が数多く育成されています。
台木を選ぶ際は目的に合わせて選ぶ必要があります。
トマトの場合、青枯病の発生しやすい圃場向けの台木としては「キングバリア」、肥沃な圃場や穂木品種の草勢が強く、草勢を抑えて作りたい場合は、「グリーンガード」、長期栽培をねらって安定した草勢維持を図るには、中位な草勢でスタミナがある「グリーンセーブ」、草勢を強くしたい場合は、「グリーンフォース」などを選ぶとよいとされています。穂木と台木の草勢などの性質や圃場の特性をしっかりと考えて選んびましょう!
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