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経験や勘 (農業)
こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。
今日は「勘や経験に頼らない農業をIoTで実現」・・・という言葉をよく聞きますが、経験や勘について考えてみたいと思います。
農業にIoTのシステムを導入すると経験や勘に頼らなくても栽培がしっかりとできるようになり、栽培が品質的にも収量的にも安定するかのように言われているケースもあります。
本当にそうでしょうか?
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例えばハウス栽培において環境制御システムを入れることで、温度・湿度(飽差)・CO2濃度・光量・潅水をある程度コントロールできるようになります。そしてPCやスマホからデータの変化を見ることができるようになります。
しかし、地域によって気象条件も違いますし、地形によって日の当たり方も変わればハウス内温度も違ってきますし風向きによってもハウス内の環境状況に違いが生じ、それによって生育状況にも違いが生じます。また定植する株数や時期によっても違いが生じます。
そこで環境制御システムでパラメーターを設定する際には、上手に栽培している農家の設定をまずコピーするなどしますが、それでも地域差などにより生育に違いが生じます。
生育の状況を見ながら、コピーした設定を徐々に調整していく必要があります。
つまり「生育の状況を見ながら調整していく」というのは経験を積んでいなければなかなかできないものです。植物の状態を見てデータを見る、そして仮説をたてて栽培の各要素を微調整する、これを何度も何度も繰りかえす。
さらに日々の温度・湿度(飽差)・CO2濃度・光量・潅水の状況をモニタリングしてデータから見える状況と実際の生育状況とを比べあわせ、よりよい生育状況を作り上げようとするならば、「データを読み解く力」が必要になり、数多くのデータを見てきた経験が無ければデータの小さな変化を見つけ出すことはできません。つまりデータを分析できるようになるのも経験が必要です。
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また、栽培経験やデータ分析経験がたくさん積まれているからこそ、「こうすればよりよくなるんじゃないか!」というひらめきが生まれてきます。これが経験により培われた「勘」ということになります。
つまりハウス栽培で環境制御システムを導入しても「経験や勘」というのは必要になってきます。
「経験や勘に頼らない農業」が確立するのは、各地域、各作物、各品種ごとの膨大な量の栽培に関するデータがビックデータとして積み上がり、そのビックデータをもとにAIが人間で経験を積むならば百年もかかるようなデータをもとに学習し、AIが経験することでようやく人間の経験や勘に頼らなくてもよいという状況になると思います。
今まで人間が年月をかけて積んできた経験をビックデータとしてAIに学習させることで経験させてしまうんですね!
うーん、本当に「経験や勘に頼らない農業」というのは実現可能だろうか?
むしろAIが導き出してきた「答え」を、自分の頭で間違いないか判定できる能力を求められるのではないかとも思います。
その判定する能力を養うにもまた「経験」が必要ですよね。
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