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憎っくき黄化葉巻病! ~トマト栽培~

こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。先日、友人のトマト農園を訪問したところ、定植して1カ月程度なのに黄化葉巻病が発生して株を撤去し植え直しをしているとのことで嘆いていました。植え直しをするとなると、1カ月間育ててきた労力、時間も無駄になってしまいますし、撤去、植え直す労力が追加で必要になりますし、苗代などが追加でかかるので、農家としては大損です。。。

そこで今日は黄化葉巻病について書いてみたいと思います。

●黄化葉巻病とは
トマトの黄化葉巻病は、タバココナジラミという小さな昆虫が媒介するウイルス病です。このウイルスに感染すると、トマトの葉が黄変し、葉脈が浮き上がり、葉が巻くといった特徴的な症状が現れます。

(黄化葉巻病の症状)
・葉の黄化: 上位葉から順に葉脈の間が黄化し、次第に全体が黄葉します。
・葉の巻曲: 葉が上または下に巻くように変形します。
・生育阻害: 生長点が萎縮し、生育が阻害され、果実の収穫量が減少します。

●黄化葉巻病の原因
タバココナジラミがウイルスを媒介し、健全なトマトに感染させます。高温乾燥条件下では、タバココナジラミの発生が活発になります。感染力が強いので次から次へとあっという間に広がってしまいます。
またハウス内の衛生管理不足で雑草や前の作物の残渣などがあると、タバココナジラミの隠れ家となり、発生源となります。

●黄化葉巻病の被害
(栽培面での被害)
・果実の収穫量の減少:
 病気に感染した株は、生育が阻害され、果実が正常に生育しません。
 そのため、収穫できる果実の数が大幅に減ってしまいます。

・早期枯死:
 重症の場合、植物全体が枯死してしまうこともあります。

・果実の品質低下:
 感染した果実は、形が悪くなったり、味が変わったりすることがあり
 ます。市場価値が下がり、出荷できなくなる可能性もあります。

(経営面での被害)
・収入の減少: 収量と品質の低下により、収入が大幅に減少します。
・防除費用: 薬剤散布や防虫ネットの設置など、防除に多額の費用がかか
 ります。
・労力負担: 病気の発生を防ぐための作業や、発病株の除去など、多く
 の労力を必要とします。

(その他の被害)
・翌年の感染源: 感染した植物は、翌年の感染源となるため、翌年の栽培
 にも影響を及ぼします。
・近隣の農家への被害: タバココナジラミが飛散し、他の農家のトマト
 に感染が広がる可能性もあります。

●黄化葉巻病対策(予防)
(施設管理)
・防虫ネットの設置: ハウスの開口部には、0.4mm以下の目合いの防虫
 ネットを張り、タバココナジラミの侵入を防ぎましょう。

・出入り口管理: 出入り口には二重のカーテンを設置し、開閉時のタバコ
 コナジラミの侵入を防ぎましょう。
・換気扇のフィルター清掃: 定期的に清掃し、タバココナジラミの侵入を
 防ぎましょう。

(栽培環境管理)
・雑草管理: ハウス内外の雑草を徹底的に除去し、タバココナジラミの
 発生源を減らしましょう。
・輪作: トマトの連作を避け、他の作物との輪作を行うことで、土壌中
 のウイルス量を減らしましょう。
・抵抗性品種の導入: 黄化葉巻病に抵抗性のある品種を栽培すること
 で、発病リスクを軽減できます。
・誘引資材の設置: 黄色の粘着トラップなどを設置し、タバココナジ
 ラミを誘引・捕獲することで、個体数を減らしましょう。

(定期的な観察)
・葉の裏側: タバココナジラミは葉の裏側に付くことが多いので、定期
 的に葉の裏側を観察し、早期発見に努めましょう。
・生育状況: 植物の生育状況に異常がないか、定期的に観察しましょう。

●黄化葉巻病が発せしてしまったら・・・
 一度発生してしまうと、完全に防ぐことは難しくなりますが、被害の
 拡大を防ぐための対策が必要です。

(発病株の処理)
・早期発見: 発病株は、他の株に感染を広げる前に、早期に発見し、隔離しましょう。
・除去: 発病株は、根ごと抜き取り、ビニール袋に入れて密閉し、焼却処分しましょう。

(薬剤散布)
・登録のある薬剤: タバココナジラミに効果のある薬剤を、登録どおりに
 散布しましょう。
・抵抗性発生防止: 同じ種類の薬剤を繰り返し使用すると、薬剤抵抗性
 を持つタバココナジラミが発生する可能性があるため、ローテー
 ションを組み、異なる種類の薬剤を散布しましょう。

(天敵の利用)
 タバココナジラミを捕食する天敵を導入することで、生物的な防除を
 行うことも可能です。

(その他)
・総合的な防除: 黄化葉巻病の防除は、一つの対策だけでは効果が期待
 できません。上記の対策を組み合わせ、総合的に行いましょう。

・専門家の相談: 病害虫の発生状況や、適切な防除方法については、
 地域の農業指導センターや種苗会社に相談することをおすすめします。

黄化葉巻病対策は、早めの対策が重要です。 定期的な観察を行い、
少しでも異常が見られたら、すぐに対応しましょう。

【問い合わせ】
TEL 080-3396-5399
MAIL t.ogawa19720117@gmail.com


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