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光を有効活用しましょう!(農業)

こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。既になんどかお話している内容になりますがLAI(葉面関指数)についてです。

環境制御を導入しているハウスの場合で完璧に環境を作り上げている場合の葉の光合成速度を仮に100とすると、その状態の葉が3枚あれば、光合成量の合計は300となります。一方、環境が最適でなく光合成速度が70という状態であっても、その葉が5枚あれば光合成量の合計は350となります。光合成速度が高い葉が少数あるよりも、環境がパーフェクトでなくとも葉数が多ければトータルの光合成量は多くなります。

私のブログですでに何度か取り上げている葉面積指数(LAI)ですが、作物の葉面積を表わす指標で、圃場面積当たりの葉の総面積のことをさします。

例えば、ひと株すべての葉の面積を合計して1.5㎡ある植物が、1㎡に2株あればLAIは3となります。葉面積が増えるほど作物の受光量も増えそうだが、一定以上増えると、重なり合った下の葉には光が当たらなくなりますので葉の数がおおければいいというものではありません。トマトではLAIが3~4、キュウリではLAIが2くらいで約90%の光が植物に吸収されます。

受光量は、床面に落ちる光が目安となります。ウネ間(通路)や株間が一日中明るいのは、光が有効に使われていない状態といえます(光を無駄にしてしまっている)。せっかくの光を無駄にはしたくないので葉を増やして葉面積が増えれば床面に到達する光も減ります。施設園芸では床面に逃してしまった光を反射させてより効率的に使うためにグランドシートを白にしたりもしています。

白いグランドシートは光を反射する

しかし闇雲に葉を増やせばいいというわけではなく適正なLAIを保つことが大事です。

●LAI(葉面積指数)の計算方法
葉面積を求めるには、株を抜き取って葉をばらし、総面積を測かることになりますが、栽培中はそうするわけにはいきません。そこで、実務的には以下のような計算式を使います。

LAI=
完全展開葉1枚の面積(㎠/葉)×株当たり葉数(葉/株)×栽植密度(株/㎡)

トマトの場合、完全展開葉1枚の面積は800~1000㎠の範囲となる。これは季節や栽培法によって変わることもありますが、品種によってだいたい決まっています。

完全展開葉

例えば、「桃太郎」では、完全展開葉1枚分の面積は800㎠でした。10a当たり2500本定植し、一株当たり18葉を残して摘葉したとします。この時、上部5葉が未展開葉とすれば、完全展開葉は13枚となります。上部5葉の合計面積を完全展開葉の約2枚分と計算し、株当たり葉数を合計15枚とすると、LAIは、800㎠×15葉×2500本/10a=3.0となります。

●LAIを時期によって調整する
最適なLAIは、時期によって変わります。トマトでは光の強い時期にはLAI4~5、光の弱い時期には3くらいがよいといわれています。光が弱い時期に葉面積が多すぎると、下のほうの葉は光合成せず、呼吸消耗だけしてしまい他の葉がつくった「糖」を消費してしまいます。

LAIは栽植密度か摘葉の加減で調節します。先ほどの例でいうと栽植本数を10a当たり3,000本とした場合は、同じく18葉を残すとLAIは3.6になります。一方、栽植本数は10aあたり2500本のまま、少し多めに摘葉して15葉残す管理にすればLAIは2.4となります。

LAI管理は、まず、栽植密度を決め、栽培途中には摘葉で調節するやり方が良いです。


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