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三島に行っていました その2

「三島に行っていました その1」の続きです。

何度か三島を訪れているうちに「三嶋大社→すぐ近くのはま寿司」という謎の定跡ができていました。そもそも生魚があまり得意ではないため、普段は寿司をほとんど食べないんです。そういった意味で謎です。

おいしく食べられる生魚がまぐろとえびしかないので、たとえばまぐろならノーマルまぐろ・たたき・炙り・漬け・鉄火巻きのようにまぐろの変化をひたすら指します。

一皿が100円や150円で、さらに自分は少食なので、何も気にせず注文しても2000円以内におさまります。会計を済ませて、生きてるってすばらしいなあとほろ酔いで歩いていたところ、源兵衛川に出会いました。

おそろしくきれいな水にびっくりしました。なんと蛍も来るそうです。それは地元の方々の尽力によるもので、桜の次は蛍に会いたくなりました。
そしてこの美しい川のほとりでなぜだかナンパをされて、ほろ酔いで気分よく歩いていたところをだいなしにされてしまいました。しかもうまく断り切れずに連絡先を交換してしまったのですが、即ブロックで乗り切りました。ナンパなんてほとんどされたことがないため軽視しておりました。あの局面における最善がなんだったのかいまだに分かりませんが、無事だったので、これでよかったということにしました。

次の日は、ずっと行ってみたかった楽寿園に行きました。
少しだけ雨が降っていました。
楽寿園は、とても大きな公園のような場所だと思っていたのですが、小さな遊園地や小さな動物園、沼津クラフトビールが飲めるお食事処、蒸気機関車の展示や郷土資料館など、予想以上にいろいろなものがあって、想像していたよりも100倍楽しい場所でした。

田中茉裕の「小さなリンジー」を思い出しました。
どうしてこんなにかばんが吊るされているのだろう? とふしぎに思っていたら、
異色の図書館でした。本当にすてき。
第一印象は「どうしてここにこれを作ろうと思いついたのだろう」でした。
かがみのいえの内部です。
外側はいくつかの種類の鏡で覆われていました。これは「げんじつ」
これは「ほそめ」
「ふとめ」
「のっぽ」
これはさすがに笑ってしまいました。
蒸気機関車の展示がありました。C58形というそうです。
運転席がめちゃくちゃかっこよかったです、ジブリの映画みたいで興奮しました。
郷土資料館の展示の説明パネルなのですが「藍を建てる」って美しすぎませんか もはや詩
こちらも郷土資料館の展示です。この作品のことは知らなくて、さっそく『老ハイデルベルヒ』をKindleでダウンロードして読みました。太宰治にとって、三島は重要な場所だったようです。この展示パネルを見るまで私はそのことをまったく知らなかったです。
郷土資料館の展示に夢中になっているうちに、雨がすっかり上がってきれいに晴れていました。
まだ午前中でしたが、沼津クラフトビールとみしまコロッケとフランクフルトという最高なことをしてしまいました。クラフトビール、本当においしかったです。
移動中は江國香織の『旅ドロップ』を読んでいました。旅がテーマのエッセイ集で、ひとつのエッセイが3ページで終わるため、移動中に最適な読みやすさです。比較的薄い文庫本なので旅のおともにおすすめです。

その他、もういちど三嶋大社に行ったり、あらためて源兵衛川のほとりを歩いたり、さわやかに行ったら140分待ちと言われてあきらめたり、宿の近くの中華屋さんで餃子と野菜炒めとレモンサワーをいただいたり、青嶋先生に昇級のお祝いのお手紙を書いて投函したり、宿のフリードリンクコーナーでワインをいただきながら太宰治の短編を読んだり宮田愛萌ちゃんの小説集を読んだり、おみやげ屋さんで見つけた「伊豆の国ビール」を部屋で飲んだり、なぜか50TAを聴いたり、できるだけ穏やかに過ごしました。酒飲んでばっかりですね。

SNSから離れることも今回の旅の目的のひとつでしたので、離れて過ごしておりました。というのも、長引く不調の原因のひとつは確実にSNSだったからです。他人の書きこみによってむやみに感情を動かすことは自律神経によくないらしいです。
離れても、支障はまったくありませんでした。
もう少し離れたままで生きようと思います。

今回は少し長めに滞在して、できるだけのんびりしようと決めていました。行きたいところや食べたいものはたくさんあったけれど、そのためにがんばることはしませんでした。だから、行けなかったところも食べられなかったものもたくさんあります。それらは、次に三島へ行くときの楽しみとして大切にとっておくことにします。

東京に戻ってきて、通り慣れた道を歩いている時に、自分が改善されていることがよく分かりました。
キャッシュがクリアされたブラウザってきっとこんな気分なのでしょうね。
今、私の視界は透き通っています。できるだけこのまま生きていかれるように、自分を大事にしてあげたいです。

三島は相変わらずいいところでした。
ここを故郷として生きるのは、人として本当に美しいことだと思います。

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