第二回 未来をつくるケアマネcafe
令和5年12月22日 第2回未来をつくるケアマネcafe開催(ZOOMによるオンライン開催)※ケアマネcafeと通常のkaigoカフェの同時開催として行った。
来年は介護保険制度改定の年。
制度にかかわる仕事をしている人の多くが、その動向に関心を寄せている。そのため今回のケアマネcafeはスタートから参加者の熱気をパソコンの画面越しに感じた。
なにしろタイトルが「2024年介護報酬改定の審議報告解説と居宅介護支援事業所の経営戦略」!
小濱介護経営事務所代表の小濱道博氏により、2024年介護報酬改定で更なるチャンスを迎える居宅、成長する居宅、撤退する居宅をズバリ解説されるというのだから、目と耳を大きく開いて臨もうと誰もが身を乗り出していたはず。
今回の介護報酬改定率案はプラス2.04%だが、本体としては0.61%で、処遇改善が0.98%、0.45%が施設光熱費等なので、居宅介護支援事業所にとっては0.61%の部分だけで厳しい改定になっているというお話。なぜその流れになったか、各介護サービスにおける収支差率を見せていただく。また、事業所の統合で大規模化している実態がある、と。この「大規模化」という言葉は後々頭の中で繰り返されるキーワードになった。
今まで散々耳にしてきたがここに来て見送りになった新事業や、居宅介護支援事業所の介護予防支援の許認可、地域包括支援センターが行っていた総合相談業務の居宅介護支援事業所への委託、公表システムの中での財務諸表の公表義務化などなど、メモをとりながら百名近い参加者の方々をチラリと見ると、皆さん同じように真剣に何か書き込んでいる様子が伺えた。
次に特定事業所加算の見直しや、介護予防支援の新たな報酬区分、モニタリング訪問の手段の見直し、入院時情報連携加算、通院時連携加算についての解説。同じ加算でも、算定要件が変わることが多いから要注意!自分で書いたメモに、強く波線を引く。実際に要件が変わったことに気がつかずに算定を続けて返還になった事業所もあるとのこと。怖い。ターミナルマネジメント加算はとりやすくなった。
BCP、虐待防止、感染症対策、身体拘束、、、これらは揃えて推進しておくことが義務化されている書類に、気を焦らせている事業所も多いだろう。期日はどんどん迫っている。
小濱氏の話は続く。ケアプラン作成に係る主治の医師等の明確化、テレワークの取り扱い、公正中立性の確保のための取り組みの見直し、ケアマネ1人当たりの取り扱い件数、同一建物減算、重要事項説明書のweb上掲示など、これらの解説を1時間という短い時間の中で非常にわかりやすく伝えてくださった。制度の話は一般的に難しいという印象があるが、理解を深め有意義な時間を過ごすことができ、その後のグループでの対話も活発にすすめられた。
参加者はケアマネジャー以外の方も多く、様々な視点で今回のお話をとらえられていた。また、施設ケアマネの方からは居宅のケアマネが担っている業務内容について新鮮な発見もあった様子。以下、対話の中でどのような意見が出たか抜粋して紹介する。
「ケアマネ不足で介護難民が出てこないかな。」
「これからは、ICT化はやらざるをえないと思った。」
「大規模にしていきなさいという国からのメッセージを感じた。」
「制度改定が大規模に有利になっているが、小規模のところの良さも出していきたい。」
「すごく勉強になった。報酬はマイナスにならなくてホッとしている。」
「件数を増やせるか不安。」
「モニタリングは利用者さんがIT化困難。ZOOMも使えない。」
対話の時間は、講師の方のお話を聴いた後で気になった点や、今後の方向性、それぞれが思うことを共有できるのがいいところ。各グループにファシリテーターもいるので、初対面の人同士でも会話しやすいのではないだろうか。耳だけ参加もOKである。今回のcafeで得られた情報が土台となり、春に向けての心構えができたように思う。これからの報酬単位の発表や細かい通知に注目していこう。
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記事執筆 下猶 好恵
特養やデイサービスで介護職員を経て、施設ケアマネを4年間経験。在宅支援をやりたくて小規模多機能型居宅介護に移り、10年。絵を描くこと、本を読むこと、お茶の時間が大好きな管理者兼ケアマネジャー。