終活のポイントー6 ~代償分割の対策~
遺産分割の具体的方法として、下記の3つがあります。
①現物分割
個別の財産について、相続する数量・金額・割合を定めて分割する方法
⇒現金・預貯金など相続割合に応じて分割可能な財産に適している
②換価分割
財産の一部または全部を金銭に換価し、その代金を分割する方法
⇒土地や建物などの不動産を売却し、売却代金を分割する等の方法
③代償分割
特定の相続人が現物財産の一部または全部を取得し、その代償(債務)と
して自己の固有財産を他の相続人に支払うことにより分割する方法
⇒土地や建物を特定の相続人が取得する代わりに、金銭を他の相続人に支
払う等の方法
今回は【代償分割】の対策についてご紹介していきます。
配偶者居住権の活用
例えば居住用住宅の他に財産があまり無い場合、多くのケースでは配偶者が居住用住宅を相続し、他の相続人には代償分割として金銭を支払うことになりますが、金銭があまり無いため結果的に住宅を手放さなければならないということが発生します。
この問題を解決するため、2019年に民法が改正され、【配偶者居住権】が創設されるようになりました。
配偶者居住権は、被相続人所有の建物(自宅)に引き続き配偶者が終身または一定期間住むことが出来る権利です。
「遺産分割」「被相続人の遺言、遺贈、死因贈与」「家庭裁判所の決定」のいずれかによって成立します。
(例)相続人が配偶者(妻)と子ども2人、相続財産が自宅2,000万円と預貯
金1,000万円のケース
妻と子どもの法定相続分は2分の1ずつ(妻:1,500万円、子ども:1,500
万円)のため、自宅を売却しないと子どもへの500万円分が払えなくなり
ます。
ここで配偶者居住権を利用すると、妻は自宅の居住権だけを取得し、居住
権の評価額で相続財産を計算することができます。
仮に居住権の評価額が1,000万円であったとすると、
妻:自宅1,000万円(配偶者居住権)+預貯金500万円
子ども:自宅1,000万円(負担付き所有権)+預貯金500万円
となり、妻は預貯金500万円も相続することができます。
なお、配偶者居住権を利用する旨をあらかじめ遺言等に残しておけばスムーズに成立しますが、居住建物を配偶者以外の第三者と共有していた場合はこの権利は成立しません。
終活の一つとして、不動産登記の内容を確認しておくことも重要です。