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ロシア軍、ウクライナ東部バフムト近郊で前進か~西側がロシアの有利を報道し始めたか~【日経新聞をより深く】

1.ロシア軍、ウクライナ東部バフムト近郊で前進か

英国防省は10日、ロシア軍がウクライナ東部の最激戦地であるドネツク州バフムト近郊の街ソレダルの大半を制圧した可能性があるとの見解を示した。民間軍事会社「ワグネル」の精鋭も投入し、東部の要衝であるバフムトの制圧に向けて攻勢を強めているとみられる。

ウクライナのゼレンスキー大統領も9日のビデオメッセージで、ロシア側の厳しい攻撃に耐えているソレダルでのウクライナ兵のおかげで「我々は追加の時間と力を得られている」と指摘。ソレダルでの自国軍の苦境が深まっていることを示唆した。

軍事専門家の間では、バフムトには東部の戦況を一変させるほどの戦略的重要性はないとの見方が多い。ただ、11月にヘルソンなどドニエプル川西岸の支配地を失ったロシア軍はバフムト制圧に名誉挽回をかけているとみられ、多数の兵員を投入してきた。

一方、ウクライナ軍も長大な塹壕(ざんごう)をつくって応戦。ロシア軍の歩兵による絶え間ない陣地攻撃を撃退してきた。ウクライナ軍によると、今回のソレダルへの攻撃にはプーチン大統領の側近が率いるワグネルの兵員も多数参加しているという。

バフムト周辺の戦闘による兵員の犠牲は膨らみ続けており、死者は双方合わせて一日数百人にのぼるとみられる。ゼレンスキー氏は9日、「ソレダルの地はロシア兵の死体で覆われている」と語った。

(出典:日経新聞2023年1月10日

当然、ロシアにも犠牲が出ていると思われますが、日経にロシア軍が有利に進めていることが報道されるのは非常に珍しいことです。

2.ロシアトゥディの報道

ロシアトゥディでも同様の報道があります。西側、ロシア側が同様の報道をしていますので、相当戦況は、ウクライナに厳しいものになっていると思われます。

問題はこの後です。ウクライナ軍が押され始めた時、NATOはどう対応するか、です。フランス、ドイツ、米国に続いて英国も戦車の提供を決めました。

ウクライナ軍が厳しくなれば、その分、NATOは強力な武器を提供する必要があります。そうなれば、NATOとロシアの戦争という様相を呈してきます。

ロシアがNATOと戦っているという認識を明確にすれば、この戦争はロシアとNATOの全面激突ということになります。

その場合、ロシアは戦術核を使用することを示唆しています。ロシアとNATOの通常戦力同士の戦いであれば、戦力はNATOが上。その場合、ロシアは戦術核を使用するとしているのです。

もはや、ウクライナ軍というよりも、NATOが戦っているといえる段階に入っています。停戦なく、戦いが続けば、ロシアが制圧するのか、それともNATOが出てくるのかのどちらかです。何とか、ウクライナ側が停戦に応じることを望みます。

3.そもそも、西側に大儀はあったのか?

元フランス大統領のオランド氏は、元ドイツ首相のメルケル氏のインタビューに続いて、ウクライナ東部のドンバス地方における紛争を停戦とするミンスク合意を守るつもりはなかったと答えています。

「ミンスク合意によって、ロシアの攻勢はしばらくの間、停止した。重要なのは、西側諸国がこの猶予を利用して、ロシアのさらなる試みを阻止する方法を知ることであった」

このように、オランド元大統領は語っています。この戦争はロシアの「力による一方的な現状変更」などといわれましたが、実際は、ミンスク合意という停戦の協定を守らなかった、そして守るつもりもなかったのは、協定に参加したドイツ、フランスであったということを暴露したのと同じことです。

戦争は2022年2月24日に始まったのではなく、すでに起こっていたわけであり、その停戦協定を守らなかったのは西側であるということが明確になったともいえるのです。

日本を含む西側は、それでも、ロシアは悪という主張を続けるでしょうが、その他の国々は中立の立場をとっている国も多くあります。果たして、米国、EU、英国の西側とされる国々を信用してくれるでしょうか。

オランド元大統領のインタビューを酷評しているのが、ウクライナ戦争を報道しているジャーナリストのパトリック・ローレンス氏です。

上記の記事の中で、「米国の外交官をまともに相手にする国はますます少なくなっている」と述べています。

私たちが信じ込まされている西側からの報道。これは、かつての日本が経験した大本営発表ではないのでしょうか。

一方向からだけの情報を流され続けているこの国のメディアの在り方に心底、怖さを感じます。

未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞から学ぶ】

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宮野宏樹(Hiroki Miyano)@View the world
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